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ラノベ: 『冴えない彼女の育てかた 11』感想

 もういいから好きにしてろやつーか爆発しろ!

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 というわけで感想は一行で終わってしまったので、後はいつものように加藤について書くことにしましょう(笑)。

 この巻の表現を少し借りて加藤を表現すると、超絶ムズいチョロインって感じになるかな。
 今回、倫也は巡璃ルートのシナリオに手を付けたんですけどスランプに陥って、相談した相手がなんとあの紅坂朱音。
 しかしあの人、こと創作のことになると人が変わりますよね。人が変わるとわざわざあの変人に対して言うということはつまり、存外真っ当なアドバイスをくれているということです。倫也としては随分助かったのではないでしょうか。
 でも、それで辿り着いた対処法として巡璃のモデルである加藤に丸投げ……という程ではないにしても、共同作業を依頼するという辺り、実は倫也も十分紅坂と渡り合えるくらい変人かも(笑)?

 それで冒頭に感想を書いたような状況になるわけですが、倫也が書いたシナリオの中の倫也と加藤の様な二人が、これじゃヒロインが主人公好きになるわけないじゃんという突っ込みを受けることに。

『ただ、ほんのちょっとだけ、足りなかったんだよ。
 下げて、下げて、下げた後の、たまに上げてくれる、一言が……』

 シナリオに的確な突っ込みを入れるのはいいんですが、それ何を言っているのか気付いてるんですかね(笑)。

 ところで、このところサブヒロイン(ですよね?)に一冊くらいかける流れがあったわけですが、さすがメインヒロイン加藤恵。なななんと、とんでもない「引き」で続くことになってますな。つまり二巻かそれ以上かけるわけですか。
 ……おかしいですね。加藤は『冴えない彼女の育てかた(仮)』に“転”は要らないと言ってたのに。

ラノベ: 『クローバーズ・リグレット』感想

 これは、プロの犯行による二次創作ですね(笑)。


 まあ、普通はスピンオフとか言ってるわけですけど。
 作品タイトル長いので省略しましたが、勿論オリジナルは『ソードアート・オンライン』。こういう「オルタナティブ」シリーズは既に『ガンゲイル・オンライン』が出ていますが、あちらがどちらかというとキリトの物語の系譜っぽい感じがするのと対照的に、こちらはアスナの物語の系譜っぽい感じがします。

 それは別に難しい話をしたいのではなく、物凄く肌感覚みたいなものなので、もう個人の感想ですとしか。
 こちらの『クローバーズ・リグレット』には確かにスリーピング・ナイツや≪絶剣≫、メディキュボイドなどのキーワードが登場しているのですが、それで単純につながると言っているわけでもありません。が、やはりそれらが登場した≪マザーズ・ロザリオ≫編は、それとアスナという人物が極めて強く結び付いているので、やはり一部がつながっていると全体的にそれに染まってくる感じがしますね。特に雰囲気とか。
 それと関係あるかどうかわかりませんが、主人公の(ゲーム中では)ナユタは≪戦巫女≫なのでやはり赤と白だし、スピードに特化していたりするし、ここまでくると単なる偶然でしょうけど母音を追ってみるとアスナとナユタは一緒だし。

 というわけでこの『クローバーズ・リグレット』の話ですが、舞台は、≪アスカ・エンパイア≫という和風のゲームで、なんとあのユウキが最初にプレイしていたVRMMOなのだとか。ちなみに、この物語の時点で既に彼女は亡くなっています。
 今、この≪アスカ・エンパイア≫では「百八の怪異」というイベントが展開中です。これは、一般のユーザーにより≪ザ・シード≫を使って作られたものを含む、というかそれが百個なので大部分がそれに該当するのですが、計百八の、まあ怪談みたいなクエストを順次配信するというもの。

 ゲーム中で探偵業を営むクレーヴェルという人物が登場するのですが、ナユタと彼女の友人(社会人ですが)のコヨミは、ヤナギなる老人による彼への依頼に巻き込まれ、クエストの一つのクリアを目指すことになります。ところがそのクエストは、幽霊が出るとか何とかで配信停止になってしまいます。
 さて、依頼はどうするか?

 いつもの感想の書き方だと一応その辺りの展開も概略を書くのですが、本作でそれやろうとすると無茶苦茶長くなりそうなので省略して、本当に感想だけ書くことにします。

 主人公のナユタは、そしてクレーヴェルもそうなのですが、親しい人物をSAOで亡くしています。本作は、そのようにSAOが残した傷跡がテーマになっているように思います。
 クレーヴェルはまだ比較的わかりやすい。彼を救えなかった後悔、そのような犯罪を起こした茅場への怒り。
 しかし、ナユタは全く異る道を選んでいます。

 本作では、オリジナルである『ソードアート・オンライン』シリーズ、特に≪マザーズ・ロザリオ≫編でメディキュボイドとして提示されていた、VR技術のゲーム以外での活用法について更に踏み込んでいます。
 それは、例えばメディキュボイドがそうであったような平和的な道に限らず、犯罪のようなことまで想定しています。そして、このシリーズ全体の出発点にあるフルダイブ型のVRという技術にそれは必ずしも依存しておらず、つまりは、現実のVR技術とその比較的実現性の高い延長線上にあるものにも当てはまると言えます。

 そしてもう一つ。
 これは終章の更に最後の方になってやっと描かれるのですが、≪ザ・シード≫が一般の人にも扱えるようになったことで、本来の想定とは違う使用法が出てきます。……いや、そうでしょうか。これは茅場の意図が作中でもあまり描かれていないこともあり何とも言えず、彼は想定外の使用法の登場を想定していたのかも知れません。
 ともあれ、比喩的にはナユタは、VRMMOの世界に引き籠もっていたわけです。しかしそれは結果的には、傷付いた心の治療にもなっていた。
 これもフルダイブを使ったメディキュボイドと同じように、きちんと研究されれば医療や福祉に役立つ道があるのかも知れないという可能性を示唆しているように思います。まあ、ナユタの場合は運良くうまく行ったのだとも言えるわけですけど。
 そして、こちらもやはり、必ずしもフルダイブ型のVRに依存しているとも言えない。

 このような視点から見てみると、今、我々が住んでいる現実の世界でもVRの技術が商品化に結び付いたりしていますが、本作はその向かう道を見据えた、近未来を舞台にしていつつも現代よりもほんの一歩先を探る物語なのかも知れません。
 勿論、上記のようにマイナスの面も含めてです。

ラノベ: 『冴えない彼女の育てかた 11』感想の前に

 もしくは読む前の感想。

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 この表紙と口絵と173ページの加藤のためにもう一冊買おうかどうか迷っているところです(笑)。

 ちなみにカバーのそでの部分には加藤について、

本来のアドバンテージである、特性がないというキャラ特性を手放しつつあります。って、まさかこれって何かのフラグじゃ……

などと書かれています。気になる……。

ラノベ: 松智洋氏原案『メルヘン・メドヘン』とな?

 え、……知らなかった。

集英社スーパーダッシュ文庫『迷い猫オーバーラン!』『パパのいうことを聞きなさい!』を始めとして、数々の大ヒット作品を手がけていた松智洋先生が今年の5月、肝臓癌により43歳で永眠されたことは記憶に新しい。

その松智洋先生が原案を手がけていた新シリーズが先日、ダッシュエックス文庫・2周年記念プロジェクトにて発表となった。タイトルは『メルヘン・メドヘン』、イラストレーターは『変態王子と笑わない猫』などでおなじみのカントク先生である。

 ふむ。カントクさんイラストだと!?

───『メルヘン・メドヘン』も「松っぽい」と感じるところはありますか?

ストーリーワークス:松智洋の作品で中心を貫くのって、『迷い猫オーバーラン!』『パパ聞き』では『家族』『友達』などが根底にありましたが、その集大成として今回は、「物語」そのものをテーマとしていて、物語が「人と人の絆」「繋がり」を作るということを描いていきます。

 こういう辺りはもう、いかにもって感じがします。
 うーむ、読めるのはいつになるのかな。

 ところでどうでもいい話ですが、主人公の鍵村葉月の変身後って、足の辺りを見ると何だか今期やってる某アニメを思い出しちゃう。あの作品妙に気になってるし、変身後の姿という共通点もあるし。

ラノベ: 『ガーリー・エアフォース VII』感想

 ついに、「世界が閉じ」ましたね。

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 つまり、まだ描かれていないことは沢山あるし、今後の世界の行方を決めることになるであろう慧の判断と決断の詳細もわかりませんが、全体の構造も判明し、ザイが一体何者でどのように誕生していて、グリペンらアニマがどういう存在なのかについても明かされました。

 それにしても、面食らいます。
 まず冒頭、物語が始まるところ(及び各区切り)に場所や日付が書いてあるのですが、それが一体何年のことなのかは書いてない。登場人物も、蛍橋三尉って一体誰だ?とか。
 しかし話が進むにつれ、それがいつ頃なのか、世界はどういう状況なのか、そういったところは見えてきます。何より、グリペンが登場しますし。ただ、多くのことが前の巻まで展開してきた物語と違っています。
 特に痛ましいのが、イーグルです。蛍橋の怒りも尤もなのですが、私のような読者はこれまで描かれてきたイーグルを知っているのでショックも大きいですね。まあ、最後に意趣返しとも感じられる展開があるのですが。

 そして、人類とザイとの戦いももう決戦が近いという辺りになって、全てが一挙に物凄い勢いで明かされます。これは作中で謎が解けるという意味ではなく、まあそれもあるんですけど、読者に対して「彼等」が何者であるかが知らされるのです。
 この辺りの、まるで世界が一変するかのような描写の仕方は見事です。

 ところで、ザイがどのような経緯で生まれたかとか、アニマがどんなものかという辺りについては、ITに親和性の強い読者が好物とするものではないでしょうか。というかこれが好みでないようであればここまで読んでないのではないかとも思いますが(笑)。
 つまり、<実体>とか<影>とか<本質>とか<叡子>とか、そういう人が好みそうなキーワードです。最後のは多分作中で生まれた用語だと思うんですけど。
 あと、アニマの研究について日本が先んじている理由なんかも面白い。単なるご都合主義ではないんですね。擬人化大好きな人が多い国ですから。

 解けた謎と言えば、グリペンに色々と妙な手管を伝えた技本の人というのが誰なのかもわかりましたし(笑)。

 それにしても、本作の中で人類が辿り着いた領域ってとてつもないですね。なんですかあの「燃やす物」って。まるでダイヤモンドを燃やして暖を取るみたいな世界の終末感は酷い。そんなことができるのに、先はないんですね。
 そんな袋小路を避けるために慧は、一体どんな決断をしたのか?
 最後に一言だけ示されたその意思は、一体どのようなものなのか?
 あのように宣言した慧はどのように「世界を救う」のか?

ラノベ: 『天使の3P! ×8』感想

 登場人物に対し、特定の基準で妙に扱いの格差がある気がするんですよね〜(笑)。

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 7巻に続いて短編集(のような感じ)ですが、あとがきによると、そういう構成の仕方(あとがきではフォーマットと表現しています)に切り替えることにしたようです。
 でもまあこの8巻は、何となくですが次のステップにつなげるための「ため」というような感じもします。なんせ、ラストで響が何やららしくもない行動に出ていますし、そのちょっと前には自分の将来についてとか考えていますし。いやそれがあったから行動を始めたんでしょうけど。
 そういう意味では、嵐の前の静けさじゃないですが、大きな変化の前の一服、非日常の前の日常、という位置づけなのかも知れません。違うかも知れませんけど。

 あと、この巻の特徴としては、桜花の出番が比較的多いということが挙げられると思います。単に登場するというだけでなく、エピソードの中心にいるという意味で。
 例えば、最初のエピソードであるPASSAGE 1の着物で初詣で〜祭事の配信では、結局は桜花の「残念」なところが発端でありなおかつ本人も被害に遭っている(笑)し。PASSAGE 2のバレンタインデー絡みでは響とデート!しちゃうし。

 ちなみに、冒頭に書いた「扱いの格差」ってのが一番出ているのはこのPASSAGE 2だと思います。
 そもそもメインヒロイン級の5〜6人と比べていくつか年上の桜花がとっても残念美人だったりというのもありますし、それより更に年上である「女性用下着の専門店」の店員さんと来たらもう。
 要するに、特定の基準ってのは年齢のことなんですけど(笑)。

 さて、本作の感想を書くときにはもう定番になってしまっているテーマですが、今回もくるみが妙に年齢にそぐわないことを言っていました。というかこれもだいぶ前から言ってるような気がしますが、男前っぽい?

 終盤、将来のことについて考え始めた響に、厳しいことを言いつつフォローもしているという配慮っぷり。リヤン・ド・ファミユの、いやもしかするとDragon≒Nutsのことも含めてなのかも知れませんが、バンド活動の役に立てているのかと言う響にくるみは「がんばってるんじゃない?」と言った後に、こう続けています。

「でも、結果が出ていないならがんばっていないのと同じかもね」

 しかし、続けてこうも言っています。

「……ごめんね。悩めるお兄ちゃんは、励ますだけじゃ納得してくれないと思って」

 いやあなた何歳ですかと訊きたくなる台詞です(笑)。しかも、いつもこうだというわけではないですからね。多分、今回のネタは悩んで然るべき、かつまだ若い響には重大なテーマであることへの配慮もあるのでしょう。なんせ、更にこんなことも言っていますから。

「難しいことを考えてるんだから、悩むのも仕方ないわよ。普通の高校生は、そんなことで悩まないでしょ」

 くどいようですが、あなたおいくつですか(笑)?

 で、何か珍妙な話を始めて一体どこに着地するのか、それとももう話は終わってるのかと思いきや、ピアノの先生に「音楽家の手をしてる」と誉められた話が出てきて、

「……だから、お兄ちゃんも音楽家の手よ。私の家族なんだから」

と締めくくるのです。
 なんとなく、前言撤回した方がいい気がしてきました。これはどちらかというともう、母親の役割でありやり方ですよね。
 一体どんだけスーパーガールなんだか。

 さて、前述しましたが今回自ら考え自ら行動を始めた響。彼はラストで、一体何を考え何を始めたのでしょう。
 一応大きなヒントはあるのですが、アニメとともに次巻を楽しみに待つことにしましょう。

ラノベ: 『君の名は。 Another Side:Earthbound』感想 その二

 我ながらウザいと思いますが、昨日の感想の続きです。

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 昨日のエントリに追記でもいいかなーとも思ったのですが、ちょっと長くなったし、それはそれで面倒なので。ブログシステムの都合で。

 今回は、各章についてちょっとずつコメント、という感じで。あと、最後にみつは(三葉)について一言。

 まずは、瀧の第一章。
 でもこれは比較的というかほんとにコメントちょっとだけで、みつはってどういうやつなんだ?という疑問を提示するための章のような気がします。が、逆に言うとじゃあそこまでは何だということになるわけですが、瀧ってこういうやつだったのか、という感じでした。
 つまり、瀧ってこういうやつだけど、じゃあみつはは?というのがこの章なのかなと。

 第二章はテッシーなんですが、テッシーって結構真面目に色々考えていたんですね。糸守のこととか、家業のこととか。やっぱり、さすがあんなことができるだけのことはある、という感じ。
 ただ、テッシーが今回、やっとみつはのことがわかったみたいなことを思っているんですけど、それって実は瀧のことなんですよねー(笑)。
 ということは、みつはって結局は、テッシーみたいなやつにはわからないやつってことなんでしょうかね。

 第三章の四葉ですが、ここではちょっと物語作り、というか描写の仕方というちょっと次元の違うことを考えてしまいました。いや、四葉自身は千年くらい時間をすっ飛ばしたりしてくれたんですけど。
 何かというと、四葉がそこで見てきて再現した舞を見て、一葉さんが昔はそうだったと言うシーンについて。それだと、一葉さんかもしくは近い代の人がきちんと伝えきれなかったことになっちゃいますよね。
 そこはそうではなくて、一葉さんが四葉の舞を見て、ああ、それなら意味がわかると思い当たるとかにすれば良かったのでは、と思うのです。そうすれば、「形に刻まれた意味は、いつか必ずまたよみがえる」という言葉にもつながったのにな、と。

 さて第四章の俊樹。
 ……俊樹さん、よく二葉さんと結婚しようなんぞという気になりましたね。あれはムラ(いや町ですけど)の人たちのいうことが正しい(笑)。ただまあ、神も人として生きてみたいと思うこともあるかも知れないし、彼はそれに捲き込まれたのかも? そして、それがムスビなのか。
 この章では、どのようにみつはが生まれてきたのかがわかるような気がします。身体のことではなく、いやそれも描かれていますけど、その存在がどのようにして編み出されたのか、みたいな。

 ここで前述のように、最後にみつはについて。
 この作品、見終えて思い出した小説があります。それは、新井素子の『いつか猫になる日まで』です。
 みつはは今回の大事件に関わることで、あの作品で戦争をやっていた宇宙人のようになってしまったのではないかな、と。つまり、ここから先は「余生」なのではないか。
 勿論、彼女は普通の人間でもあり、であれば普通の人生を普通に送ることはできる筈。でもそれはそれで、「もくずのように」という印象です。一度そういう連想をしてしまうと、ついね。
 まあ実際みつはにはそんなところもあるし。実は第一章で瀧が感じていたように。

 第一章の瀧は、みつはがどういうやつなのか問いを投げ掛ける役割、という風に書きましたが、でも実のところ、その瀧が一番答えに近いところにいたようですし、だからこの物語では瀧がみつはと出会ってるのかもですね。
 それがどのように選択されたのか、というのが最初の感想に書いたようにパラドックスなのであり、つまりは神のなせるわざであり、ムスビなのでしょう。

ラノベ: 『君の名は。 Another Side:Earthbound』感想

 先日見てきた劇場アニメ『君の名は。』ですが、手元にその小説版が二冊あります。一冊は新海誠監督によるノベライズ版『小説 君の名は。』で、もう一冊がこちら↓。

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 前者は、まあ一回しか見ていないですけど劇場版とほぼ同じ内容だと思います。アニメの二つ目の感想で使った本編中の台詞とか形容の表現はそれから引用しています。
 対するこちらの「Earthbound」は作品タイトルにあるように外伝的な位置付けです。そのテーマは、みつは(三葉)とは一体どのような人なのか、ということですね。
 ……と書こうと思って今見たら、帯に「おまえはいったい、どういうやつなんだ?」と書いてありました(笑)。まさにそういう本だったというわけです。

 これは四つの短編で構成され、それぞれ瀧、テッシー、四葉、そしてみつはの父の俊樹の視点から描かれており、みつは自身はほぼ登場していないと言っていいでしょう。ちょい役くらい、もしくは小さい頃とか。
 瀧の話はまあ導入的な意味もあるようで、その終りの辺りに帯に書いてある台詞がモノローグとして登場します。
 テッシーの話でも、実はみつはの中には大抵は、というかちゃんと描かれているシーンでは瀧がいて、テッシーと瀧が共同でみつはを探るような感じです。
 四葉視点では、みつはの日常から発展し、やはり小さいとは言え四葉も「宮水の女」、彼女の背景にあるものに踏み込むことに。
 そして俊樹視点では回想が大半で、そこではみつは達の母である二葉のことが主に描かれています。

 陽と陰、もしくはコスモとカオス。そんな感じで、一人の主人公である瀧の視点からみつはを探るとき、それはまるで背後にある世界のようによくわからないものです。でも多分、みつはから見ても同じことでしょう。
 ただ、まあ比喩に使ったからと言ってみつはがカオスであると言いたいわけではありませんが、陽と陰のように対比されるものであってもそれぞれが対照的か対称的であるとは限りません。有と無ではその在り様が全く違います。
 そしてみつはは「宮水の女」であり、そこには神性、言い換えれば不可知的な部分があります。

 映画を見て、瀧が説得できなかった俊樹をみつはがどのように動かしたのかが描かれなかったのでちょっと興味があったのですが、今回もそこに漸近線のように迫りつつも結局は描かれませんでした。
 しかし、それが成る準備はその時点で、全て完了していた。そういうことだったんですね。
 それは母の二葉の時代から、そして即ち代々の宮水が準備していたことの結実だった、と。

 ある意味、裏の感想に書いたように本作の「謎」は追い求めるものではないと思うし、この「Earthbound」で描かれたことで、それがどのようなものであったかはわからなくとも、それがどのように成ったものかはわかったように思います。
 多分、それでいいのでしょう。

ラノベ: 『ブルー・ブラック・プラネット〜僕らは地球の夢を見る〜』感想

 こういうSF系の作品は推理小説にも似て、ネタバレなしで感想を書くことが難しいので、もう最初に予めネタバレありと宣言しちゃっておきます。


 さて。

続きを読む

ラノベ: 『パパのいうことを聞きなさい! after 1』感想

 SPECIAL SITEとかでも紹介されていますが、作者本人によるスピンオフです。

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 あと、追悼ページもついでにご紹介。

集英社 ダッシュエックス文庫|松智洋先生を惜しむ

 それにしても、「after 1」ということは「2」も出す予定なんでしょうか。いや構想があったということは聞いていましたが、執筆が2まで済んでいたとは聞いていなくて。ゼロの使い魔みたいに他の人にお願いするとか?

 さて、このシリーズについては本編最終巻までに何度か感想を書いていますが、その中でも何度か似たようなことを言ったと思います。
 この作品くらい、「予定調和」という言葉を肯定的に使いたくなるのって中々ないんじゃないかな、と。

 実際この番外編でも、まあ起きることの予測までできてたわけじゃないですけど、どの辺りに収まるかは大体見当がつきます。しかし、それで何か問題があるかというと、むしろそれがいい。
 特にこの「after 1」は、まあ後日談なんですけど、本編エピローグとしての後日談ではなくやはり番外編として作られていますね。だからなのか、登場人物達の数年後の姿が、大きな分岐点や選択肢があったりするわけでもなく、普通に描かれています。

 そういう点からすると、この、つまり登場人物とその関係性を描くことこそがこの『パパのいうことを聞きなさい!』という作品であり、これまであった様々な紆余曲折は、その人物がどうするかを通して結局は人物を描いていたということなのではないでしょうか。
 だから、物語が結末を迎えるところまで描き切ったあとの番外編はこもうれでいいのだし、これがいいのでしょう。

 さて、この「after 1」の構成をごくごく大雑把にまとめると、空の就職、美羽の大学進学とアルバイト、祐太の受けた衝撃(笑)、ひなの活躍、そしてもう一度空、といったところでしょうか。
 ただ、一番大きな空の周辺の出来事は、それこそプロローグでもう暗示されていますし、それどころかもう表紙イラストを見た時点でわかってしまうという(笑)。
 そんなわけで、そのことは最初から最後までずっと背景のように描き続けられているし、多分、上記のように「人」が最重要の描写対象ということであれば、その「人」が一人増えることは最重要の軸であるのでしょう。

 まあつまり、空が妊娠していたということが判明するし、祐太が受けた衝撃というのがそのことなんですけど。

 そして、その軸に絡んで、これまで物語に関わってきた登場人物が、恐らく全員登場しているのではないでしょうか。
 なんとも豪華な番外編です。

 そして、ラストシーンで産まれてきた子供がやっぱり女の子だったということも予定調和(笑)。

 ところで、これはそういう意図があるのかどうかわかりませんが、別の作品の人物もある意味で登場しています。
 それは150ページ、第三章の最後。妄想の世界に飛び立ってしまっていたところで声をかけられた空は、ついどこかで聞いたような反応を(笑)。
プロフィール

水響俊二

Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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