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独り言: ITオンチのままでいいのか

 昨今話題になっている冤罪事件で、こんな記事がありました。

なりすまし事件、想定外が油断に 警察、被害者に自白強要か (1/2) - ITmedia ニュース

 次々に被害が明るみになるパソコンの遠隔操作による犯罪。警察・検察にとっては、想定外だったその犯罪が、冤罪を生んだ可能性が高まった。自分のパソコンがウイルス感染し、「犯人」に間違われる可能性は誰にでもあるといえる。なぜ犯罪は防げなかったのか。

 「IPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなものだと思っていた。想定外の事態ですよ」。ウイルス感染したパソコンが遠隔操作され、インターネットで相次いで犯行予告や脅迫が行われていたことが明らかになると、ある警察幹部はこう漏らした。

 IPアドレスとは、ネットに接続するパソコンや携帯電話などの機器ごとに割り当てられる識別番号のこと。データをやりとりする際のネット上の「住所」に相当し、個々の利用者にネット接続業者から割り振られる。

(強調は引用者による)


 冤罪に関しては、旧来からあらゆる分野の事件で問題視されてきたことであり、特にその自白に頼る手法や勾留期間の長さについては数限りない指摘が繰り返されていますので、今更ここで何か言ってもあまり意味がありそうにありません。
 しかし、今回のような、特に引用中で強調した個所のようなことを言っているのを放置して、果たしていいのでしょうか。ここでは警察の関係者の発言ですが、大手メディアも同様です。

 これは別に、知られていなかったことでは全く以てありません。
 ずっと昔から、ドラマや映画の中でさえ、ハッカー(その意味するところは問わず)は人のコンピュータを乗っ取って偽装するものです。また、ネットを利用した犯罪などを報じるとき、大衆紙やテレビのニュースでさえ、ボットネットなどという言葉を用いて解説したりしています。
 それに、今回使用されたTorだって、去年だったか警察の情報が漏洩したときに使われたと報じられていました。
 キーロガーによりネットバンクが不正使用されたことも大きく報じられました。

 どれもこれも、メディアがすでに報じていたことだし、警察も知っているはずのことです。それなのに、一体何を今更「想定外」などと甘いことを言っているのか。IPアドレスを「住所」のようなものだと思っていたとして、ではある家で事件が起きたらそこの住人が犯人であると結論づけていいのか。

 邪推かも知れませんが、どうにもそこには、ITは難しいものだからわからなくても仕方がない、そういう甘えがあるのではないか。そんな気がしてならないのです。なぜなら、メディアの報道など、殊更難しいことなんだ、高度な技術なんだ、そういう印象を与えようとしているようにしか見えないからです。

 しかし、例えば警察が銃や刃物による殺人の捜査をしたいとき。麻薬の捜査をしたいとき。銃や麻薬のことは難しいからわかんなくてもいいよね、などと言うでしょうか。

 それらと同じことの筈なんですけどね、ITだって。

 仮想だなんだと言いますが、別にITの世界は異世界でもなんでもない。犯人もプログラムも実在します。
 勿論、だからと言って捜査する側に技術があればどんな事件もたちどころに、などというわけではありません。犯罪者が優秀で尻尾を掴ませないこともある。というか、攻撃する側が有利だという傾向はあります。痕跡を残さずに消えることができるという意味では、実在を疑問視するのもわからないでもありません。
 でも、だからと言ってデタラメな捜査が許されるわけでもない。

 今回の事件で、一つ連想したものがあります。ある事件と相似しているな、と思ったのです。
 それは、北朝鮮による拉致事件です。
 あるとき突然拉致され、監禁され、これまで住んでいた社会から切り離されてしまう。洗脳にも似たことをされ、家族に累が及ぶと言われ、従うしかないと諦めさせられる。
 相似は必ずしも同じようであることを意味しませんが、その方向性、種類、形は近いものがあると思います。

 警察が組織犯罪に手を染めて、許されるのか。
 いやまあ、勿論警察でなくても許されませんけど。

 これは近いうちに書こうと思っていることとも通ずるのですが、日本はモノ作り大国だなんだと言う割に、そう叫ぶ人たちはどうにも、自分に関係のあることとは思っていないように感じることが多いです。日本はモノ作り大国だけど、それはどっかの誰かがやること。そんな雰囲気です。
 最初に触れたきりですが、大手メディアも、「モノ作り大国」なんてのは掛け声だけで、自分達には関係ないところで進んでいることと思っているのではないかという気がすることが多いです。

 ずっと以前から適切な言葉を求めつつも未だに得られていない、文系/理系に替わる表現。
 仕方ないからここでも使いますが、文系の支配するこの国が、果たしてモノ作り大国と呼べるのか。
 それは、産業の面だけでなく、今回のような問題でも同じです。理系のことはむずかしくてわからない、だからテキトーでいいのか。社会にこれだけ理系の産物が浸透しているというのに。

 理系優先にすべしと言うわけではありませんが、もう少しバランスの取れた、少なくとも実情と相応する社会を構築するべきではないかと思います。

コメント

非公開コメント

No title

 「00」に演出で参加した北村さんが冤罪とわかりほっとしました。
 またこれで「アニメがどうとか」とたたかれるのはいやなので。

 「モノ作り大国」といいつつも、製造業は海外へ。
 それに対して対策も立てない。
 立ててるんだろうけど有効に働かない。
 僕はこれで昔仕事を失ったことがあるのでこれに関しては物凄く
腹が立ちます。
 
 「ごめん難しいのでそういうのパス」で済ます文系も問題だが、
殊更難しい言葉を駆使して分かりやすく説明しない理系派にも
ある程度は責任がある気がする。
 難しいことを分かりやすく説明する池上彰さんは偉大だ。
  
 そういえば北朝鮮の拉致問題も「あるわけない」と最初は否定されていた。
 ここいら辺を見る限り日本の公的組織は今も変わってないのか。
  

Re: No title

> 「アニメがどうとか」と
二次元とITは、私の経験上では非常に相性がいいので、一緒にたたかれることも多いですよね。本当に鬱陶しいです。
しかし今回の事件では、「元」大学生の方が気になります。
演出家の方は、すでにある程度の社会的地位を構築してからなので、冤罪であったと確定すれば、取り戻すことのできるものは多い筈です。
しかし、「元」大学生の方は、未だその途中だったわけですから。
一番の問題は、再起するための力(心の)が残っているかどうかです。

> 「モノ作り大国」
例えば雇用の問題などを論じるにしても、所謂「文系」的な職が暗黙の前提になっていて、それやったら製造業壊滅だろ、というような意見も多いですしね。

> 殊更難しい言葉を駆使して分かりやすく説明しない理系派にも
ここのところは、ちょっと違う意見を持っています。
例えば翻訳では、mother tongue「に」訳すのが大原則だそうです。
しかし、日本は「文系」優位でありながら、どういうわけか「文系」のことが軽視されていて、御存じかも知れませんが、例えば製品のマニュアルなども、技術者にまかせりゃいーだろ、みたいな時代がありました。テクニカルライターとかいう職が存在しなかったのです。今はさすがにそんなことはないでしょうが。
奇跡的に弁の立つ専門家を求めるのは、滅多にいない駿馬を追い求めるようなものです(韓非子に基づく「愛する所には駑馬を相するを敎う」参照)。
或いは、名選手必ずしも名監督ならず、などとも言われますし、比較優位という考え方もありますし。
勿論、そういう人がいればベストだというのは確かなのですが。

> そういえば北朝鮮の拉致問題も「あるわけない」と最初は否定されていた。
まあ、知識人とやらが楽園だなんだと言っていましたからねー。
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水響俊二

Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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