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アニメ: 2012秋アニメ感想(1) SAO#14「世界の終焉」

 秋アニメ感想です。
 と言っても、実は内容は7月に始まった『ソードアート・オンライン』のみ。なら夏アニメ感想の14じゃないかという気もしますが、まあこれまでもこうしてきたので踏襲です。
 そして、独立して一本のエントリを起こしたのはやはり、ストーリー上の大きな区切りであったからです。
 で、今回の感想の内容はかなり物語の本質に迫ることになるので、デフォルトでネタバレ宣言している当ブログではありますが、重ねてネタバレありと宣言しておきます。

ソードアート・オンライン #14「世界の終焉」

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「……言い忘れていたな。ゲームクリアおめでとう、キリト君、アスナ君」


 というわけで、見事、75層のボス≪The Skullreaper≫に続けて一気にラスボスまで倒してしまったキリト達プレイヤー。
 前回、#13「奈落の淵」のこのカット。

sao13_bed1.png
「さっさと片付けて戻ってこよう」
「そうだな」

 ここで台詞がオフスクリーンになっているのは、それを発している人物の不在、つまりはもうここへは帰ってこられないこと、即ちゲームクリアを暗示する演出でしょう。
 ちなみに、原作とはキリトとアスナの台詞が入れ替わっているようですが、これはこれで一つの解釈としてアリですね。どっちがいいかというと、難しい。アニメ版の方が、キリトが「予感」を強く抱いているような印象です。また同時に、そのちょっと後に及び腰になってしまうキリトを表しているとも言えます。

 そして挑んだ75層ボス。以下、#14のあらすじです。
sao14_boss1.pngsao14_boss2.png
 なんと、計14人もの犠牲者を出してやっと倒した≪The Skullreaper≫。以前にも思ったのですが、そこに表示される「Congratulations!!」の文字列があまりにも軽々しく、プレイヤー達はやりきれない想いを懐くでしょうが、それも意図しての茅場の演出なのでしょうか?

 そして、被害の大きさと未だ残されている25層分もの攻略に押し潰されそうになっているプレイヤー達を見る、ヒースクリフの視線、表情。
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 原作の表現を借りれば、「暖かい、慈しむような視線──。言わば──言わば、精緻な檻の中で遊ぶ子ねずみの群を見るような」。その瞬間、キリトは気付き、剣を向けるのです。
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 そこに現れたシステムメッセージには、【Immortal Object】とありました。ヒースクリフは、単なるプレイヤーではなかったのです。
 そして彼の口から秘密が明されました。彼、ヒースクリフはキリトが見抜いた通り茅場晶彦その人であり、SAOというゲームのラスボスでもあることが。
 キリトが気付いたのは、以前、血盟騎士団副団長アスナの去就をかけてデュエルをしたときのあのヒースクリフの動き、そして単純なプレイヤー心理からでした。

「他人のやってるRPGを傍から眺めるほど詰まらないことはない」


 ヒースクリフ(=茅場晶彦)は、最上層で待つことにするが、キリトには彼の正体を看破した報酬として、そこにいる皆を麻痺させた上で、一対一で戦えるチャンスを与えることにしました。

sao14_heathcliff4.png
「私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウトできる。……どうかな?」


 その結果、キリトの危機に飛込んできたアスナを含め、ヒースクリフ、キリト、アスナの三人がHPゼロに。
 ラスボスのヒースクリフを倒すことで、ゲームはクリアされたのです。

 キリトとアスナは、どことも知れない場所にいました。
sao14_extra1.png
sao14_home1.pngsao14_home2.png
 眼下には崩壊するアインクラッド。勿論、たった二週間でしたが、二人で暮した家(=house=home)も。

 そして茅場晶彦も現れ、冒頭に書いたシーンとなるわけです。
 全プレイヤーがログアウトを済ませ、崩壊するアインクラッド。それを見ながら語られる彼の「動機」について、二人はどう思ったのか。

 いずれにしろ、茅場は去りました。残された二人は、最後(最期)の言葉を交します。

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「ね、最後に名前を教えて。キリト君の、本当の名前」
「桐ヶ谷……桐ヶ谷和人。多分先月で十六歳」
「きりがや……かずと君……。年下だったのかー。……わたしはね、結城明日奈。十七歳です」
「ゆうき……あすな。ゆうきあすな」

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「ごめん……ごめん……。君を……あの世界に還すって……約束したのに……俺は……俺は」
「いいの。いいんだよ」
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「わたし、幸せだった。和人君と会えて、一緒に暮らせて、今まで生きてきて一番幸せだったよ。ありがとう……愛しています……」

 世界の崩壊とともに、二人も消滅していきます。

 そして目覚めるキリト、いや和人。
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 茅場はこう言いました。
「ゲームクリアおめでとう、キリト君、アスナ君
 HPゼロになって消滅した筈の「キリト君」がこうして生きている以上、「アスナ君」も同じである筈だ。

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「あ……す……な……」
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 和人は、「ゆうきあすな」を求め、次の戦いへ赴くのでした。

 いやー、あらすじとか言いながら随分長くなってしまいました。
 さて、感想です。

 アインクラッドの崩壊を描いた今回の話、もしやと思うのですが、10月放送にしてあるのは、これで最終回かと思う人が出ないようにとかではないでしょうね(笑)。
 実際、100層ある筈が75層でいきなりゲームクリアですし。原作を読んだときも(実はアニメが始まる頃になってやっと読んだのですが)一巻ラストでこれですから。
 ふと思い出したものがあります。それは、大昔にテレビ放映されたアニメ作品、『ペリーヌ物語』です。
 物語は、主人公の少女ペリーヌ(とその母)が、亡くなった父の父、即ち祖父の住むフランスを目指して旅をするというものでした。しかし、一年の放送が見込まれたシリーズの中盤で、いきなり祖父の住むマロクール村へ到着してしまうのです。お祖父さんのところへ辿り着いてめでたしめでたしという話かと思ったら、そこからが本当の物語だったのでした。

 『ソードアート・オンライン』も同様ですね。アインクラッド崩壊までは殆んど序章でしかないみたいな感じです。
 アスナはどうなったのか。とにかくまずはそれをなんとかしない限りは、主人公のキリトにとってSAOというゲームは終わらないのです。

 そのアスナですが、今回の終盤の「世界の終焉」(アインクラッド崩壊)でキリトとアスナがもうこれで消滅してしまうのだと思ったこと、これは視聴者からすると、ちょっと早とちり的です。
 が、これは仕方ないですよね。なんせ、茅場はもう全員がログアウトを済ませたと言ったのに自分達はまだSAOの中にいるし、HPが確かにゼロになったけどまだ存在していることについても、ゼロになった後のことはプレイヤーの誰も知らないわけですから。

 これまで本作の感想であまり書いてなかったので、今回一つのクライマックスということでちょっと触れてみようと思うのが、音の話。
 まずは音楽ですが、これはさすがに梶浦さん。例えばヒースクリフとのデュエルのとき、キリトが焦りのあまり自ら封じた筈のソードスキルを使ってしまった瞬間。つまりそれは敗北への一歩を踏み出してしまった瞬間なのですが、そこでBGMの曲調がふっと変わり、女声コーラスがメインになります。このタイミングは実に見事。

 続いて演技。
 前回「奈落の淵」でボスと対峙したとき、既に何名もの犠牲者を出しているのにまるで減っているように思えないボスのHPゲージを見て、呆然とするキリトですが、アスナに声をかけられて「ああ」と自分を奮い起たせるシーンがありました。
 このときの声とか、実に素晴らしかったのですが、加えて今回、ヒースクリフとの戦いに飛込んできたアスナが消えた瞬間のキリト。

sao14_kirito2.png
「ぁ……ぁ……」

 この声にならない声から、狼狽、取り乱しよう、そういったものがひしひしと伝わってくる気がします。これは、「他人のやってるRPGを……」と言い放ったときのキリトとはまるで別人のようです。
 更には、デュエルの前にクラインに、「あの時、お前を置いていって悪かった」と言ったときのこと。
 なんというか、喋り方以前に声の出し方からして変えているんですね。すごいです。

 映像表現についても一つ。
 実は、これまでに何度か気になったことがありましたが、この世界の3Dデータが乱れるとき、走査線のようなノイズで表現されることがありました。しかしそれにはちょっと違和感があったのです。
 今回はそれが、ブロックノイズになっています。具体的に言うと、ヒースクリフとのデュエルのときの、消えかかっているキリト。
 まあ、これでカンペキ!とまでは……ですが、走査線風よりはずっといいですね。

 しかし逆に、これはこうした方が、と思ったこともありました。
 まあ、例えばキリトがヒースクリフの正体を見抜いた理由が途中までしか語れなかったこととかは、尺の問題から仕方ないとして。

 音で言えば、ゲームクリアがアインクラッド全体にアナウンスされたとき、「心の温度」のエピソードの原作ラストでは、鐘の音のような警告音が鳴っていました。これ、是非欲しかったです。

 それから、これは原作からしてそうなんですが、アスナが麻痺から脱してキリトの盾になったときのこと。
 ヒースクリフ=茅場は「こんなことも起きるものかな」の一言で済ませてしまいました。しかしこれはどうにも納得行きません。
 これまで、まあちょっとした例外はあったにせよ、基本はシステムのルールを超えられないことが大前提であったこの物語。ならば、それをいきなり主人公達が無視してしまっては、なんだか台無しです。
 ここはあくまでシステムが支配する世界。ならば、例えばヒースクリフ、というかここでは茅場にこう言わせても良かったでしょう。「バグだ」と。こんなところにこんな条件で発現するバグがあったのか、と。
 そう描かれたとすれば、システムによる制限の絶対性を保ったまま、想いの起こす奇跡のようなものも表現できたと思うのです。

 同様にキリトについてもちょっと。
 最後にキリトがヒースクリフに剣を突き立てるときのことですが、こちらは微妙です。ただ、アニメ版ならではの描き方があると思います。
 アニメでは原作と構成が変更されており、この時点で既に「赤鼻のトナカイ」のエピソードが描かれています。ならば、キリトのHPがゼロになった瞬間のことも、その「十秒」を持ち出せば、システムの制限を超えずに、なおかつ茅場の想定を超えた結末とできるのではないでしょうか。

 と言った感じで終了した、原作で言えば「アインクラッド編」。放送は次回から、新章「フェアリィ・ダンス編」へ突入します。
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 まずは、待ちに待った妹(正確には違いますが)の直葉の登場です!
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 アニメでは、第一話の冒頭にちらっと出てきたこの人↓ですね。

「お兄ちゃーん、部活行ってくるねー」
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 そして、メインヒロインはまあアスナで固定と言えますが、キリトのパートナー、女房役(*)となる人物が現れます。上の「来週より放送開始」という画面の右の絵の上にいるのがその人物、リーファでしょう。
(*) 女房役:妻が夫の内助となるように、補佐役となって相手を助け盛りたてる役目。また、その人。(三省堂「大辞林」より)

 #14を見たばかりだというのに、もう次が楽しみです(笑)。

P.S.
 同じ原作者による作品である『アクセル・ワールド』に登場する、黒雪姫なる人物。彼女の本名は、原作でも明されていないそうです。
 しかし、「サッちゃん」「サッちん」と呼ばれているとのことで、実は「桐ヶ谷サチ」なのではないかという説が囁かれているそうですね(笑)。

tag : アニメ

コメント

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No title

原作もアニメも観たことがなく、水響さんやフミツキさんのレビューでしかSAOの内容を知らないんですけど、確かキリトくんって現実世界では数年間寝たきりだったんですよね?
数年間寝たきりだった人間がいきなり歩けるものなのか?という無粋な疑問が沸いてしまいました(汗)

さて、あとひとつ気になるのがキリトくん達が仮想世界で「身につけた」スキルは現実で使用可能なのか?ということですね。剣術や格闘術といったスキルです。
「身につけた」と言ってもそれはあくまで精神的なものであって、肉体的にはそれらのスキルは未経験なわけですよね?
よく「身体が覚えてる」という表現が使われたりしますけど、この場合は逆なわけで。
仮想世界から帰還したキリトくんが現実世界でどう立ち回るのか気になります。

Re: No title

> 数年間寝たきりだった人間がいきなり歩けるものなのか?
まあ、やはりそこは突っ込みどころではありますね(笑)。
一応、かなり無理をして点滴の支柱にやっとつかまって立ち上がったという印象の描写にはなっています。
それに、10年以上未来ですから、医学的にも進歩しているかも知れませんね。例えば、ちょっと前に流行ったダイエットマシンと同じようなモノで、電気で筋肉を刺激していたとか。

> 仮想世界で「身につけた」スキルは現実で使用可能なのか?
まずは、ナーヴギアというI/Fですが、これは脳と体の間をインターセプトしているので、脳的には、彼らはあの世界でも普通に体を動かしています。
加えて、例えばキリトの「二刀流」スキルは、全ブレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられるということになっています。ですから、現実でも彼は、やればできる子(笑)である筈です。
その辺りは、次回から始まるフェアリィ・ダンス編で、まずは冒頭の、!の直葉との試合で見ることができることでしょう。

No title

 ペリーヌ物語とはまた懐かしいものを。
 今ではベテランとなったドキンちゃん声優鶴ひろみさんのデビュー作。
 セバスチャンという執事が最初に出たアニメでもありますね。
 確かに普通の名作アニメなら「マロクールにつきました」で終わりなんですが
この作品はここから先が本当の物語でした。
 原作がそもそもそうなってるんですが。
  
 「茅場」だから「ヒースクリフ」なのか。
 なるほどね。
 しかしこの話まだ見ていない。
 9月末からアニマックスやCSの無料放送が続いていてそっちの消化に忙しくて。
 
 ところでSAOって「アクセルワールド」の前の時代(20年か30年位前)を舞台にした
作品に見えるのですがどうなのでしょう。
 だとすると、あれだけの大騒動がありながら「アクセルワールド」を作り上げたのか。
 OAV「ジャイアントロボ」における「バシュタールの惨劇」後の「シズマドライブ」
みたいに見える。

 前の話ですが「カンピオーネ」の「かくりょ」。
 「神霊狩り」というアニメでは「かくりよ」という発音をしていました。
「カンピオーネは監督も音響監督もたぶん原作者も「かくりょ」でOKと
したんでしょうかね。

 

Re: No title

> ペリーヌ物語
名作シリーズの中では、私にとっては最高傑作であったりします。

> セバスチャンという執事
後に、セバスちゃんという執事キャラまで登場しましたしね(笑)。

> 原作がそもそもそうなってる
パリについた辺りからだったでしょうか。

> 「アクセルワールド」の前の時代
そうですね。年代は大体20年くらい前ですけど、
・AWに、過去の技術としてナーヴギアが登場する
・SAOの最新シリーズ「アリシゼーション」で、約1000倍の加速世界が実現されている
などと言った関連がそれを暗示しています。
であるから、黒雪姫(「サッちん」)が桐ヶ谷(もしくは結城)サチではないかという説が出てくるわけですね。
要するに、和人と明日奈の娘ではないか、という。

> あれだけの大騒動がありながら
「フェアリィ・ダンス編」に入ると、経緯が何となく見えてくるでしょう。

> たぶん原作者も「かくりょ」でOK
原作者はどうでしょうね。アフレコにまで関われないことも多いでしょうし。
ただ、監督とかとの打ち合わせはあるでしょうから、そこで出てきていたのでは、という気もします。
プロフィール

水響俊二

Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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