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ラノベ: 『なれる!SE7 目からウロコの?客先常駐術』感想

 いやー、なんとか読み終わりました。
なれる! SE7 目からうろこの?客先常駐術 (電撃文庫)なれる! SE7 目からうろこの?客先常駐術 (電撃文庫)
(2012/08/10)
夏海公司

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 なんというか、疲れました。読むのも一挙にはできなくて、ちょっと読んではアニメでも見て休んで、という感じで。
 しかも、読み終わっても今一つすっきりしません。理由はいくつかありますが、それについては取り敢えずあらすじを書いた後で。

 というわけでストーリーを紹介すると、あるとき、工兵の上長に当たる藤崎さんのところに電話がかかってきます。かけてきたのは超有名な大企業のNBL(日本ビジネスインフラ・リミテッド)の金山なる人物。どうやら彼は、藤崎さんが以前NBLにいた(!)頃の同僚だとか。
 で、藤崎さんは避けていたのですが、いつものように不運にも、工兵がババを引いてしまい、立華とともにNBLに常駐して業務を担当することに。

 そこがまた、色々悲惨な場所で、あの立華がついにダウン。
 仕事の内容は、以前そのプロジェクトでネットインフラを担当していたエクセルエレクトロニクスなる会社の作業を引き継ぐものだったのですが、まず突然の撤退だったために情報がほとんどない、調べるにも実際に作業を行うにもあらゆる意味で手続きが多すぎて不自由、その不自由さは技術面でも同様。
 加えて、工兵にこう言わしめるような扱い。

これじゃあ、これじゃあまるで。

 奴隷じゃないか。


 あまりのことに、ついに工兵が助けを求めた先が、梢。彼女は彼女で翌日に大規模なメンテが予定されていたのに、工兵のために駆け付けてくれます。ああいう人ですから。
 しかし、彼女のアドバイスが通じるような相手ではなかった。超過勤務がかなり出ている筈だからそれをつきつければ、というものだったのですが、

「あのね、残業ってのは管理者が指示して初めて行えるものなの。(略)今までアタシあなた方に残業指示した? してないでしょ、であれば御社が勝手に残って作業してただけ、割増料金を請求される謂れはない」

(注)アタシと言っていますが男です

 一事が万事こんな感じ。
 ところが、打開の道は意外なところに。

 同じように常駐している、株式会社スピリッティアの貝塚さんという女性が、妙に気楽に仕事をしている。他とは違う権限も与えられているようだ。
 藤崎さんの助力もあって、彼女のいるスピリッティア(工兵が偶然気づいたのですが実は彼女は社長)は、NBLからスピンアウトしたNBLの完全子会社でした。
 そこで工兵が神憑り的にも、いつもの如く(というには語弊がありますが)、貝塚さんに直談判に行きます。スルガシステムの担当分を引き継がないか、と。

 結局それで話はつくのですが……。

 と言った感じの話です。

 さて、この感想の予告では、かなり大変な話であろうと予測しましたが、本当に重たい話でした。
 まず言えるのが、『なれる!SE』というタイトルの割に、問題が殆んど技術面ではないことですね。セキィリティで不自由なのも、そのかなりの部分が、「わからない」人間がやっているというところに行き着きますし、エピローグに当たる「クロージング」の章では、結局のところ今回の話は、NBL内部の二大派閥の抗争に巻き込まれた形の即ち政治問題であったことが判明します。

 冒頭で、読み終わってもすっきりしないと言った理由の一つはこれです。加えて、振り返ってみれば今回の話は、物事を何も解決していません。なんとか泥沼から逃げ出したという話であり、派閥間の抗争は今後も続きます。
 他にも、突飛とも言える打開案を工兵が提案した辺りもあまり華々しい描写がなされておらず、そこに立華が仕組んでいた反撃のネタも悲愴感まで醸し出している始末。
 しかも、工兵の示した案、つまりスルガシステムの撤退も、実は既定路線だったのです。それは元々予定されたものであり、違ったのは、工兵と立華が頑張りすぎたこと。まあ、そのためにスルガシステムが引き継ぎのための対価を得ることができたわけですが。

 そして何より、どうやらこの話、続きがあるようです。

 先に、工兵が梢に助けを求めたとき、梢は大規模なメンテを翌日に控えていたと言いましたが、実はラストで、そのシステムに関する緊急事態が発生します。
 何が起きたのは全く不明ですが、大事件であり、しかも、梢が工兵のために時間を割いたことが影響している恐れは物語の構成的に非常に大です。
 果たしてどうなるのか。

 これが単なる「つづき」で次巻は別の話なのか、それとも今回の話のもやもやした部分も併せて一挙にケリを付ける結末へと向かうのか。それは全く不明ですが、個人的には、まあ後者とは言わなくとも、折角の「つづき」なのだから、前後編(もしくはもっと?)で通してみればこれまでのように痛快な結末を迎えるといいなと思います。

 それにしても、あとがきによるとこのエピソード、第一巻でやる予定だったそうで。
 ストップをかけた編集さん、GJですね(笑)。まずもって、シリーズ第一作には重た過ぎる。加えて、全くの新人主人公には荷が勝ちすぎる。

 というわけで、次巻は可及的速やかに刊行されることを切に望みます。

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tag : 電撃文庫 夏海公司

コメント

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No title

……ぇーと、この作品、タイトルは『なれる!SE』ですよね?

なんつーか、『なるな!SE』って言いたいかのような内容ですね(汗)

全然「ライト」ノベルじゃないですよ(苦笑)

Re: No title

> 『なるな!SE』って言いたいかのような
まあ、なれるかどうかとなるべきかどうか、この二つは別ですから(笑)。

> 全然「ライト」ノベルじゃないですよ(苦笑)
いやマジでそうですよね。
でも、さっきもう一エントリ書きましたが、ちょっとはライトなところもあるんですよ。ちょっとは(笑)。

No title

先日、東京でSEをやってる従兄弟が数日間田舎に戻ってきたのですが。

……びっくりするぐらい痩せてました。

話を聞くと、日付が変わった頃に帰宅するのは当たり前、残業は月150時間以上、飯も食わずシャワーも浴びず倒れるようにして寝て起きたらまた出勤……。

「そろそろ仕事辞めてこっちに戻って来ようかな」と言う従兄弟の乾いた笑いが痛々しかったです(汗)

給料は悪くないようですが全く微塵も羨ましいとは思えなかったですね。

あ、でも東京にいると漫画とかをフラゲできたり、放送されてる深夜アニメの本数が多いって話はちょっと羨ましかったです(笑)

Re: No title

> 話を聞くと、
まあ、IT関連は基本はブルーカラーですからね。
私も、例えば昼頃出かけて朝の6時くらいまでって感じだったりしました。残業は付けてなかったのでわかりません。ただ、週末は休みでしたけど。
でも、昼夜逆転で電車が空いている時間に通勤できるとか、銀行や役所などに窓口が開いている時間に行ける、というメリットもありました(笑)。

> 東京にいると
会社に行く途中に秋葉原に寄ったりしましたねぇ。アニメのDVDや漫画を抱えて会社に行ったり(笑)。
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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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