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ラノベ: 『ソードアート・オンライン2 アインクラッド』感想

 昨日一巻の感想を書いたばかりだというのに、もう二巻の感想です(笑)。
ソードアート・オンライン〈2〉アインクラッド (電撃文庫)ソードアート・オンライン〈2〉アインクラッド (電撃文庫)
(2009/08/10)
川原 礫

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 二巻は、短編が四話収録されたサブストーリー集です。一巻の終わりでSAO(『ソードアート・オンライン』)の世界であるアインクラッドは崩壊してしまったわけですが、二巻はキリトの過去を描いた話ばかりなので、やはりサブタイトルも「アインクラッド」なんですね。

 で、その話がどんなものかというと、
キリトの華麗なる女性遍歴
です(笑)。

 順に追ってみると、
「黒の剣士」妹系キャラとあれこれ
「心の温度」恋人の友人とあれこれ
「朝霧の少女」まさかの娘とあれこれ
「赤鼻のトナカイ」過去の亡霊とあれこれ

 とか茶化して書いてみましたが、実際にはおふざけの話では全然なくて、時系列を追っているわけではないのですが、キリトがいかにして今のようになったのか、そしてアスナがどれだけキリトの救いになっているのか、それが伝わるようなエピソードたちです。

 「黒の剣士」は、ビーストテイマーのシリカとのお話。ビーストテイマーとは、まれにモンスターを飼い慣らす(テイミング)ことで使い魔にできることがあって、それに成功した人のことなのですが、シリカはそのビーストテイマーだったのです。
 だったというのはつまり、その使い魔が死んでしまったから。
 ですが、その使い魔の「ピナ」の心のアイテムが遺されていたため、急いでとあるアイテムを手に入れて使えば蘇生が可能なので、キリトがそれを手伝うことにしました。
 しかし、キリトがそこにいたのには、実は別の目的があったのです。
 そしてキリトは、シリカの「たった一日だけのお兄ちゃん」になったのでした。

 「心の温度」は、アスナの知り合いの鍛冶屋のリズことリズベットの話。
 リズのところにやってきたキリトが、オーダーメイドの片手剣を注文するのですが、どうしたことか、そのための素材アイテムを二人で探しに行くことになります。
 キリトに惹かれてるリズですが、リズはアスナの気持ちに気付いており……。
 この話の結末は、非常に感動的です。自らの最高傑作と言える剣をキリトに手渡したリズ。月日が経って、ある日の午後、彼女は突然鳴り響く鐘のような効果音に驚愕します。それは、ゲームがクリアされたという通知でした。
 最前線は、まだ全体の3/4くらいにしか到達していない筈なのに。
 そんなことをするのは、キリトに違いない。
 そして、キリトの手にあるのは……。

 「朝霧の少女」は、どちらかというとアスナの話のような気がします。
 結婚した二人が見つけた少女、ユイ。ユイはどうにも不可解な存在で、普通のプレイヤーとは色々違う。
 最後には悲しい別れが訪れますが、ユイは、二人(特にアスナ)にとって、まるで遠い将来からやって来た娘のようだったでしょう。

 「赤鼻のトナカイ」は、キリトのトラウマになっていた「月夜の黒猫団」のサチの話。
 ずっと苦しんでいたキリトですが、サチは自分が長く生きられないことに気づいていたため、キリトにあるものを遺したのでした。
 タイトルともなっている「赤鼻のトナカイ」の歌詞はまるで、キリトといたときにサチが感じていたことを歌にしたかのようだったのでした。
 このエピソードの終わったあとのイラスト。このシーンを絵にしてあの位置に置くというのは、反則ですよね。

 さて、二つ目のエピソード「心の温度」を読んだときに思ったことです。
 これは多分、タイトルになっているくらいだし実は一巻でも似たようなことが描かれていたので、本シリーズでは結構重要な主題なのではないかと思います。
 何かというと、「仮想」の中での「本物」について、です。

 この話の中に、リズとキリトが手を繋ぐシーンがあります。リズは思います。「人の温かさだ」と。
 今いるSAOの世界、これが自分のリアルなんだと思おうとしていたリズですが、やはりうまくいかなかった。

 でも、あたしは心の底で、ずっと思っていた。全部偽物だ、単なるデータだ、と。飢えていたのだ。本当の、人の温もりに。
 もちろん、キリトの体だってデータの構造物だ。今あたしを包んでいる温かさも、電子信号があたしの脳に温感を錯覚させているに過ぎない。
 けれど、ようやく気付いた。そんなことは問題じゃない。心を感じること──現実世界でも、この仮想世界でも、それだけが唯一の真実なんだ。


 一巻でアスナがとある人物に、自分のキリトへの想いが産まれてから育ってきた様を伝えたときのこと。
 キリトは自分にとって生きた証であると言い、こう告げます。

「確かにここは仮想の世界で、目に見えるものはみんなデータの偽物かもしれない。でも、わたしたちは、わたしたちの心だけは本物です。なら、わたしたちが経験し、得たものだってみんな本物なんです」


 現実の世界にいると、全てが現実です。だから、それらを区別するということなど考えることもなく、例えば手を繋いで温もりを感じればそれは「彼」(もしくは「彼女」)だと思うでしょう。
 しかし、そんなものは原子の運動エネルギーに過ぎないし、触れているものだって炭素や水素や酸素など、別に特別でも何でもないありふれた物質に過ぎない。ならどうしてそれらを「相手」だと思うのか。
 全てが偽物である世界にいるからこそ、リズはそこに感じるもの、「本物」とは何であるに気付いたのかも知れません。。
 アスナも、似たようなことを伝えていると思います。偽物の中にも、そこに自分達がいるのだから「本物」はあるのだ、と。

 ところで、一巻の感想の最後に、どうやら続くエピソードの『フェアリィ・ダンス』ではキリトの妹が重要なキャラらしいと書きましたが、二巻のキリトの台詞によると、妹は実は従姉妹なんだそうです。

tag : 電撃文庫 川原礫

コメント

非公開コメント

No title

>妹は実は従姉妹

このラノベは読んだことないですけど、こーいう展開、嫌いじゃないですよ?(笑)

Re: No title

今、三巻の途中まで読んだ所なのですが、この妹の直葉(すぐは)という子がまた随分と皮肉な巡り合わせに……。
『フェアリィダンス』編はかなり人気があるとのことですが、それ、この妹のせいじゃなかろうか(笑)?
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Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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