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ラノベ: 『パパのいうことを聞きなさい! 10』 featuring Miu #2

祝! マイエンジェル美羽様モデルデビュー!!
……え?
……あれれ??

 というわけで、以前レビューした第4巻に続き、今回も「featuring Miu」ということで、やっぱり美羽がメインヒロインだよね、この話!
パパのいうことを聞きなさい! 10 (パパのいうことを聞きなさい! シリーズ)パパのいうことを聞きなさい! 10 (パパのいうことを聞きなさい! シリーズ)
(2012/05/25)
松 智洋

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 今回も表紙からしてあからさまにそうなんですが。というか私、このシリーズは美羽が目立ってるのばかりレビューしていますね。
 それにしても、どんどん私は佐古先輩になっていくような……(笑)。そういえば私も「俊ちゃん」だし。
 いやいや、大学にそんな長くいたわけでは……わけでは……まあ、あんなに顔が広かったり怪しい人脈があったりはしませんでしたよ。

 さて冒頭。祐太のモノローグは、「『普通』とは何なのだろうか」で始まります。いつものことながら、冒頭の部分がメインテーマを表現していますね。
 春休み、みんなで出掛けた遊園地で、『アイドル発掘! スカウトキャラバン』と称するイベントをやっていました。その賞品に目を付けた美羽。それは沖縄旅行のチケットだったのです。実は、ここに来るまでに、春休みにはみんなで旅行に行くという選択肢もあったので、美羽はその賞品に目を引かれたのでした。

 結局その賞は諦めてしまったのですが、そのイベントを主催している芸能プロのスカウトマン、羽柴さんというのが登場します。彼はなんと、美羽や萊香さんに目を付けてスカウトしようとしたことがあったとか。勿論断られましたが。
 また出会えたことに感激した羽柴さんは、今度こそは逃がさないとばかりに誘ってきます。
 で、美羽が反応します。読者モデルの仕事。仕事ということは、給料が出るのか、と。

 イベントでは萊香さんと一緒にステージに立ち優勝確実かと思われたのですが、結果を見届けることなく美羽は去ってしまいました。最後に登場したのが、両親と小さな娘という「普通の家族」だったからです。
 そして、読モをやろうかと考えたのも、実を言うと、今回日本に来ているサーシャが見抜いた通り、「みんなのために、自分にできることがあったのが嬉しかった」からでした。勿論、母親のサーシャがモデルだったというのも理由の一つですが。
 その母親のことでも、美羽は、「あたしだけ、ママがいるから」と。
 いつも祐太にデリカシーがないと言っていますが、まさに美羽はいつでも気配り娘です。

 そんないつもの美羽ですが、一方祐太はと言えば、デリカシーの方はともかく(笑)、しっかり進歩の跡が見えます。
 例えば、美羽がモデルをやると言い出したときも、家にお金を入れる以外の理由がないのならとめるつもりでしたし。しかし、サーシャのことがあるなら、と春休みの間だけ許可します。
 また、美羽の意向に沿ってサーシャに秘密にしていたモデルのことを、やはり伝えるべきだと決断したのも祐太でした。
 そしてもう一つ。

 一度目の撮影で美羽(に加えて一緒にモデルをすることになった萊香さん)があまりにモデルとして素晴らしかったため、二度目のときは異例なくらい人がやってきます。お偉いさんぽい人まで。
 祐太は、リハーサルのあと、さあ本番というところで待ったをかけるのです。

 このとんでもないドタキャン、作中ではそこまで行きませんでしたが下手をすればお金の話にもなろうかというもの。幸い、サーシャがやってきて代りをつとめてその場は収まりましたが。
 では何故、祐太はそんな無茶をやらかしたのか。

 リハーサルが終わって休憩に入ったとき、美羽のためにドリンクを買いに行った祐太が、ふととある会話を耳にします。
 それは、美羽と祐太の関係から、例の飛行機事故に辿り着いたという、即ち美羽たちの家庭の秘密に辿り着いたという話でした。

「被害者の名前に小鳥遊って夫婦がいたんですよね……」
「美羽ちゃんのご両親かっ!」
「多分……それであの叔父さんが保護者じゃないかと」
「うわっ、悲劇の美少女っ!」
「ええ、それが悲しみを乗り越えて笑顔でデビュー!? 両親にこの姿を見せられなかったことだけが残念ですとか……それだけで特集の価値ありますよね」
「こいつはすごいことになったな!」


 祐太は懊悩し、そして決断します。

 一歩ずつ、ほんの少しずつ進んで、やっと形になりはじめた俺の家族。
 普通に笑えるようになった、大切な俺の三姉妹──娘たち。
 やっと、少しだけ『普通』になったのに。このままじゃ、まずい。
 どうする? どうしよう。この人たちが黙っていてくれても、誰かが気づいたら──
 立ち尽くす俺に、選択肢はたったひとつしか思い浮かばなかった。
 大切な大切な『普通』が壊れる音が聞こえる気がして、俺は駆け出した。三姉妹のもとに。


 ここで祐太は、もう一つ重要な判断をします。それは、キャンセルの理由を美羽には告げないことです。「悲劇の美少女だなんて、そんな風に言われたら、きっと美羽ちゃんは嫌がる」と。「そういう風に見られていることを、三姉妹には言いたくなかった」からと。
 そして、美羽がもっと大きくなってから本当にモデルになろうと決めたら、そのときは応援するから、だから今は自分の言う通りにして欲しい、と説き伏せます。
 祐太の変化もそうですが、この辺りに、築き上げられた信頼というものが感じられます。それがなければ、美羽は納得する筈がありがありません。しかし、「叔父さんはいつだってあたしたちのことを考えてる」と思っている美羽は、結局従うことにします。理由を聞きたがったのも、祐太に何度も謝らせたくなかったからです。

「判って……くれる?」
「……はい!」
 ほころぶような笑顔。心からの笑顔だと思えた。嬉しくなって、俺は彼女の頭を撫でる。
 美羽ちゃんは、照れくさそうに頬を染め視線をそらした。
「叔父さんってば……イヤだな……」
「えっ、ご、ごめん」
「違いますって……なんだかお姉ちゃんの気持ち、判っちゃいそうで、困りますよ」
「へ?」

 ……。
 「へ?」じゃねーだろ(笑)!

 なんだか美羽よりも祐太の話になってしまった気もしますが、やっぱり美羽の気配りは続きます。
 サーシャが美羽との話の中で、美羽の本当の父親のことを知りたいか、と訊いてきます。
 そこで美羽は答えます。

「あたしにはもうパパが二人もいるの。だから、三人目のことは聞かなくてもいいよ」

 それを告げることは、サーシャには辛いことなんだろう、と。だから、今はいい。知るべき時が来たら、その時知ればいい、と。
 別に実の父親なんかどうでもいい、というわけでもないのです。

 なんというか、どうしてそんなにいい子なんですか!? (いい意味で)

 この小鳥遊三姉妹、誰をとっても確かにいい子なんですけど、美羽のこの気配りは、知性と感性と実行力と、そして繊細さがあってこそという気がして、一番好ましい印象です。
 というわけなので、モデルデビューはなりませんでしたが、まあそれは別にどっちでもいいかな、という気持ちになりました。実際のところ、特にモデルになって欲しいというわけでもなかったし。

 と言った感じで10巻の話はおしまいですが、最後に一つコメント。
 話があらかた片付いたときのことです。

 三姉妹がきゃっきゃっうふふと楽しげにじゃれ合っている。すっかり俺が忘れ去られていて、寂しいぞ。すると、抱きついている美羽ちゃんが二人の背中に回した両手を俺のほうへ向ける。
「叔父さんも大好きですよ♪」
 おお、さすが気配り屋さんの美羽ちゃんだ。俺の存在をちゃんと覚えていてくれたらしい。
 とりあえず手を握ったらいいかな?
 差し出された手を握り返すと、美羽ちゃんは嬉しそうに笑った。


 …………「気配り」?
 まったく、祐太はいつまで経っても(笑)。

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祝! マイエンジェル美羽様モデルデビュー!!……え?……あれれ?? というわけで、以前レビューした第4巻に続き、今回も「featuring Miu」ということで、やっぱり美羽がメ

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