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エロゲ: 『WHITE ALBUM2』感想 - 雪菜編(2)

 Leafの『WHITE ALBUM2 -closing chapter-』の雪菜ルートについての感想、二つ目です。最終章"-coda-"の雪菜ルート、いわば大団円エンドですね。
WHITE ALBUM2

ブランド:リーフ(Official)

関連項目:
 最終章"-coda-"の雪菜ルート(私の感覚では、"-coda-"のもう一つの雪菜エンドはかずさルート)の爽快感は素晴らしいです。
 これまで、特にかずさトゥルーエンドでは雪菜の家族に呼び出されて現状と雪菜を振ったことを説明しなければいけなかったり、雪菜が壊れてしまったり、鬱屈したストレスの溜る展開ばかりでしたから。
 しかし、それがあったからこそ逆にこのルートのスピード感、楽しさ、多幸感、そういったものが強調されるのかも知れません。

 このシナリオでは、雪菜大活躍! とにかく、完璧なヒロインとしての雪菜が描写されます。
 聡明で、状況分析と判断が鋭く、行動力もあり、人の配置も的確。
 「完璧でない」ところまで完璧な、もうこれは主人公と言っていいくらいの立ち位置に雪菜がいます。

 これまでのルートとまず何が違ったかというと、春希がかずさのコンサートから逃げて大阪の雪菜のところに行ったとき、かずさのことを正直に打ち明ける、これがまず第一のポイントです。これで、雪菜が動き始めるのです。
 ゲームの進行とは(ゲーム演出上の入れ替え等もあり)ちょっと順序の入れ替わりとかありますが、分類しつつ雪菜を追ってみましょう。

○ 春希を覚醒させる
 まず、春希をぴしゃりと叱りつけます。

「心の底から、わたしのこと大事にしてくれてるって。…しっかり、伝わってきたんだよ」
「そんなに庇わないでくれ。俺にそんな価値なんか…」
「でもね、でも…」
「それでもわたし、あなたを許さないよ」

 ところで、雪菜は"-closing chapter-"の千晶ルートでこんなことを言っていました。

「最初は嘆くけど、結局無条件に許す。賭けてもいい」
「なんでよ?」
「…それこそが相手にとって一番の罰だって、まだ、気づいてないから、かな?」

 つまり、「許さない」ということは、必ずしも罰ではないのです。

○ 問題点の可視化
 次に、問題点を浮かび上がらせます。

「本当は、わたしにこんなことする資格なんかない。でも、どうしても許せなかったの」
「だって、春希くん…逃げてきたよね? かずさのコンサートから、逃げてきたんだよね?」
「コンサート直前まで一緒にいたのに。ずっと、かずさの支えになっていたのに。最後の最後に、その手を離しちゃったんだよね?」

 「許さない」と言ったのは、かずさに対してのことだったのです。

「どうしてそんなことするの? 今日だけは何があっても、あなただけは何があっても、かずさのピアノを聴かなくちゃならないはずだよね?」

 そうしないと、かずさは諦められない。そのことを見抜いていて、しっかり認識し合うわけです。

○ 当面の行動の検討と指示
 かずさの追加公演と春希のかずさ特集増刊号の作業のために、かずさのケアを指示します。そして、春希から連絡をさせる。その間に、雪菜は色々考えている筈です。

「そして…実はわたしもそれが正解だって…今は、何よりもかずさが大事なんだって」

「うん…考えよう…?」
「どうすれば、かずさのためになるか…二人で、本気で、考えてみよう?」


 このルートでは、全ての情報が明らかになって物事が進行します。曜子の白血病のことも含めて。そしてそれらは全てちゃんと雪菜のもとに集まるようになっています。

○ 行動、実践
 かずさについては、自分が行動することが必要だと判断します。

「今は、春希くんでも曜子さんでも駄目だと思う。だってあなたたちは、かずさを愛し過ぎてるから」

 そして、二人で考えたとんでもない計画を引っ提げて、かずさが曜子の白血病を知り飛び出して滞在しているホテルまで突撃します。
 その計画とは、かずさ特集の増刊号に、『冬馬かずさミニアルバム』のCDを付けよう、というもの。雪菜がいるのが「ナイツレコード」ですから。
 また、曜子と雪菜で、かずさにとってのピアノというものの意味の認識が違っています。曜子は、自分はピアノさえあればいいのに対し、かずさはピアノだけではだめで、それを通じてその先に語りかける人がいなければいけない、と見ます。雪菜も似ているのですが、かずさはそれで「世界」を作れると考えるのです。

 さて、かずさは否定的です。この時は特にネガティヴですから。

「あいつが売ったんだな…?」
「売った…って」
「自分の仕事のために…雪菜の機嫌を取るために…あいつ、あたしのこと売ったんだな!?」
「………そう思う?」
「だ、だって…だってそんな…そうじゃなきゃ、こんな出来過ぎた話あるかよ…っ」
「そう思うんなら思えばいいんじゃない? …かずさがその可能性を信じられるなら、だけどね」

 雪菜、強いですね。また、こんな自分を好きになるはずがないと言い張るかずさには。

「じゃあどうしてかずさは春希くんを好きになったのよ! あんな嘘だらけの汚くて卑怯な人を、なんでっ!」


 こんな感じでもう、ついには取っ組み合いの喧嘩になります。

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「わたしたち、何度これ繰り返せばいいのよ…」

 この後も、何日も粘ります。

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「嫌いだ…春希なんか」
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「そうだね。彼は間違ってるかもしれない。嘘つきの上に、愚かで…どうしようもないひとなのかもしれない」
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「もう、寝るよ。ありがと、雪菜。今夜も、側にいてくれて」
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「今までだってやってきたじゃない。あなたの周りの世界は、あなたが自分の力で作ったものだったじゃない」

 つまり、春希にギターを弾かせたのも、それで雪菜が歌ったのも、かずさのピアノがあったからだ、と。
 結局、雪菜はかずさをその気にさせることに成功します。勿論、春希も暇してるわけじゃないですけど。

○ 委譲
 そもそも、今目指さなければいけないことはかずさの追加公演の成功、そしてミニアルバムの制作です。
 かずさがその気になった以上、今度はかずさに主導権を渡します。
 そうすべきである理由は、音楽ならばかずさの独擅場だし、そうさせることで更にかずさが乗ってくる、そういう好循環が見込めるからと言えますね。

「あたしたち三人が揃ったら、できないことなんかないんだぞ?」

 ぐちぐちうじうじしていたかずさが、こんなことを言うようにまでなるのですから。
 そして、時間が極度に足りない状況なので、殆んどスタジオで合宿状態になります。
 そう、あの、学園祭の前のように。

 こうなると、もうかずさを止めることなどできません。前のコンサートでやった曲などイヤだとか、ボーナストラックとして新曲を入れるとか。
 あろうことか、かずさが作曲するつもりのその新曲は、かずさのピアノに、春希の詞とギター、雪菜のボーカルという代物です。クラシックのCDなのに。
 これらの事態に、完全に乗って楽しんでいる雪菜。
 さて、雪菜は『ミニアルバム』という課題、目標、エサを与えることでかずさがこうなることまで予期していたのか?

 そして、追加公演は大成功、ミニアルバムの収録も完了。お祭りは、終わりました。
 かずさも、心の整理ができたようです。

「特別な思い入れもない。こだわる理由なんかない」
「やめて…やめてよ…っ」
「だから、この国を憎む理由はなくなった」
「やめてってばぁ!」
「え…?」
「………つまり、この国にいない理由もなくなった。これからも、よろしくな」

 また、春希に対しても。

「覚えておけ…あたしはお前を愛してる。今でも、これからもずっと愛してる」
「さようなら…あたしの愛した春希」
「そして、これからもよろしくな…あたしの大好きな春希」

 このエンドで「『POWDER SNOW』を歌った」のはかずさでしたね。

○ 最後に見せる弱さ
 プロポーズしてきた春希を非難する雪菜。
 そして、自分をさらけ出します。春希がかずさの面倒を見ていた間、春希からの報告メールに雪菜は答えませんでした。
 携帯に残していた、送られなかった返事の数々。そこには、嫉妬、不安、非難の言葉が綴られていました。
 自分は、こんなに醜い、と。
 春希は、こう答えました。

「でも、かずさはさ…雪菜の本当の気持ち、わかってたんだと思う」
「かずさ…が?」
「だってあいつ、ものすごい臆病だろ? 人の悪意に敏感で、善意だって信じられなくて、誰にも懐かない野良犬みたいな奴だろ…?」
「そんなあいつが、雪菜とずっと一緒にいるって…俺と雪菜と、ずっと三人でいるって言ったんだ」
「っ…」
「俺には、雪菜の本当の気持ちはわからない」
「けれど、かずさの本能なら信じられるよ…」


 やっと、素直になれる雪菜。

「酷いよ、酷いよ…っ! わたし、ずっとずっとギリギリだったんだよ! 今にも折れてしまいそうだったんだよ!」
「あなたに甘えたかった! 護ってもらいたかった! でも、そうしたらみんな壊れてしまいそうだった」
「うん…」
「手に届くものを掴んだら、本当に大切なものを手放してしまいそうだった。だから、だから…すごく我慢したんだよ!」
「わたしが一番頑張ったんだよ! とっても辛い思いをしたんだよ! だからいいよね? 幸せになってもいいよねぇっ!?」

 それは、今回のことだけでなく、ずっと以前からのこと全てについてなのだと思います。


 以上、雪菜ルートでの雪菜の行動を追ってみました。
 最初に言いましたが、繰り返します。

 雪菜は、完璧、です。

 そして、最早この物語は、雪菜の物語であると言ってもいいのではないかと思います。
 そう思う理由については上記の他にもあるので、この後に続く「総括」のエントリで触れてみます。

 おまけ。
 雪菜が春希に、かずさでなく雪菜を選んで良かった、と思わせる、最後の一撃がありました。
 プロポーズを受け入れた雪菜は、春希の母に挨拶したいと言い出します。今度は、春希と春希の母の間の関係修復を目論むのです。

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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