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ラノベ: 『二次元の砦を守るには不本意ながら彼女が必要らしい』 不可解な変節

 結構面白かったんですけど、途中で、あれ?と思うような変化が。そのきっかけは一体何なんだろう?

二次元の砦を守るには不本意ながら彼女が必要らしい (HJ文庫)二次元の砦を守るには不本意ながら彼女が必要らしい (HJ文庫)
(2011/11/30)
冬樹 忍

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 主人公の利樹は、高校生ながら一人暮らし。どうしてかというと、母親がなんか怪しげなことを考えているからです。

「高校のうちに将来の恋人作りなさいよ」
「早い者勝ちだからね。いい子から売れるんだからね」
「孫の顔が楽しみねえ五年後くらいかしら」

みたいな(笑)。
 で、一年前の高校入学からアパート生活なんですが、その利樹はと言えば、母親の言ったことなんか聞き流してオタク生活どっぷりです。
 ところで、物語開始時点の前日、幼馴染の一志珠美、通称タマが帰ってきました。彼女は四年前、親の仕事の都合で小学校卒業とともに引っ越していたのですが、同じく仕事の都合で。
 で、小学生時代、タマは利樹の母親に妙に気に入られていました。曰く、

「ねえタマちゃんっていい子よねえ。いいお嫁さんになれそうよねえ」
「今のうちにアレしておけばあとあと生きるわよ」
「やっぱり幼馴染って生活が似てる分将来の相性もいいと思うのよ」
「ちょっとお父さん連れて明日まで家留守にするからその隙に色々と」

みたいな(笑)。
 で、タマが戻ってきて速攻で利樹の部屋を訪れ、その惨状(アニメマンガゲームフィギュア、そして十八禁同人誌)を見て、利樹の母親にチクるのです。

「そうですね…………はい。このままだと、お望みのモノは手に入らないかと……」

 一体、二人の間にどんな密談が交されていたのか!?
 で、一週間以内に恋人が作れなければ一人暮らしは終了、という事態になったのでした。
 居心地の良い好き勝手し放題の環境が失われようとしている重大な危機。それに直面した利樹はどうしたかというと……取り敢えずゲームに逃げます(笑)。

「いやその、一応折角だし一人くらいはクリアーしとこうかなって」
「アホかああああああああああ!」


 ちなみに、利樹がハマっているゲームというのが秀逸です。『天魔無双』というシリーズで、今やっているのは最新作の『パーフェクト・プラス』。主人公は天使で、十二人の魔少女達を改心させていくというモノ。
 魔少女と遭遇したら「無双モード」というバトルアクション。勝利したら「夢想モード」という神罰とおしおきを駆使した恋愛シチュへ。
 魔少女達の名前は、ドイツ語の数字なんですが……なんか思い出しますねぇ(笑)。
 例えば、フィーアへの神罰は。

『フィーアへの神罰内容を選択してください』
(1) 巫女服を脱がせ、スクール水着を着せて羞恥を煽る。
(2) 袴の隙間から手を入れ、太股をくすぐる。
(3) 何もしない。

 こんな調子です。正解は(1)らしい。あと、高飛車なタイプの魔少女ツェーンへの神罰の正解は「突然鞭を中止し、そのまま何もせず放置」とか、もうなんというか(笑)。
 ゲームもそうですが、オープニングで登場するこれの二次創作エロ同人誌も当然のことながら、妙に趣味が合います。

 ……はっ。
 これを語っていると延々続いてしまいそうなので、閑話休題。

 そんな利樹が一週間以内に恋人を作るなど、ほぼ無理(タマによる表現)。これに、ふと利樹がこう答えます。

「既に知り合っている女の子を攻略すれば、間に合うんじゃないか?」

 恐らくタマには渡りに舟だったのでしょうが、意外な事実が。
 利樹はリアルの友達、それも女の子なんて全然いないと思っているのですが、ここでヒロインその二、四季花凛登場。
 彼女はおとなし系で控え目な文学少女で、実は既にプロとして小説を書いていたりします。
 そんな彼女は、実は利樹と同類のオタクで、一年生のときからずっと、自作の小説を利樹に読んでもらってたりするのです。
 驚愕するタマですが、更にもう一人。凛とした雰囲気で、生徒会長をやっている十条麻里も、しばしば「生徒会長として見過ごせない」などと言いながら利樹に絡んできます。

 一志珠美、四季花凛、十条麻里。
 まるで『天魔無双』最新作のヒロイン達のように、数字を名前に持つ女の子達。この三人が、利樹に恋人を作る計画に乗ってくるわけです。
 ちなみに、ゲームに登場する高飛車魔少女ツェーン("10")はなんか条麻里に似ているそうですし、フィーア("4")は季花凛、アインス("1")は志珠美に似ているらしい(笑)。

 で、タマがしょっちゅう赤面したり動揺したり、花凛が共通のオタク趣味で意外と積極的に攻めてきたり、麻里がそっち系のイベントでコスプレしてたりするのが発覚したりで、面白おかしく話が展開します。
 タマは、ずっと以前から「そのつもり」だったのですが、予想外のライバルにあたふた。

 ところが、途中からタマが、ずっと出し抜こうとしていたライバル達と妙に仲良くなってしまうのですね。
 うーん? 単に意気投合したのか? でも、それで独占欲が引っ込むとも思えないし?

 結局、期日である一週間後、やってきた両親に恋人できませんでしたと報告したのですが。
 そのとき利樹の部屋で出迎えた三人を見た母親の反応。

「まあまあこんなに大勢お揃いでまあまあまあ」
「あらまあタマちゃんちょっと見ないうちに色々と大きくなって。これでそろそろ大丈夫そうねえうふふふふふ」
「あらあらこんな子までお世話してたのいやあねえもう」
「あらまあそう言えば私も十六歳の時はこんな風だったわねえうふふふふふ」

 順にタマ、花凛、麻里への感想(笑)。で、

「じゃあお邪魔虫はこの辺で消えるから。これから色々とやりたいこともあるだろうし頑張ってね。いやいや十代で将来の相手を決めるというのも立派に選択肢の一つであるのようふふふふふ」

とか言いつつ帰っていき、結果、一人暮らしは継続となったのでした。
 めでたしめでたし。

 結果オーライでもあり、これはこれで面白い終り方(ハーレムエンド(笑))なんですが、タマの変節がどうにも気になって。このエンディングに導くために? もうちょっと、タマが変わるきっかけが欲しかった気が。
 途中、利樹がちょっとしたことで激しく凹んでしまうのですが、それがショックで、ということなのでしょうか。私の感想では、そういう流れが一番しっくりくるのでそれならそれでいいんですが、ならタマの「決意」みたいな描写がないとちょっと。

 まあ、その点以外、設定とかストーリーとか語り口とか結構秀逸なので、いいかな。続編も書けそうな感じだし。
 『天魔無双』シリーズを実際に作ってくれたら、全てチャラにして最高の評価をしてもいいですけど(笑)?

tag : HJ文庫 冬樹忍

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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