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マンガ: 『妄想少年観測少女』 1~2巻

 これは、以前レビューした『それは突然、運命の相手が』と同じフェアの対象作品です。

妄想少年観測少女 1 (電撃コミックス)妄想少年観測少女 1 (電撃コミックス)
(2011/08/27)
大月 悠祐子

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 タイトルの通り、何やら特殊な妄想に取り付かれた少年を描いていますが、タイトルに反して、それは別に男女あまり関係なくおんなじ、という(笑)。

 完全に続いてる話、というわけでもありませんが、同じ舞台で共通のキャラ達が登場する、連作みたいな感じです。
 順に追掛けてみましょう。

○ 第1話「相原裕」
 彼は、女の子の肌に特別な執着を抱いています。そこに、何かを描きたくてしかたがない。
 だから、女の子達の肌に対する審美眼というか、眼力は大変なものです。皆がスッピンだと思っているとある少女も、彼が見れば塗りたくっているのが一目瞭然。
 そんな彼が魅了されているのが、柏木真由。その肌に、筆を走らせたい。
 とか思っていたら、とあるアクシデントで彼の妄想が本人にバレることに。
 どうなることかと思ったら、彼女は、彼に告げます。一つ条件を出す、それをのめば妄想をかなえてあげる、と。その条件とは。
「この手」
「筆じゃなくて 相原くんのこの“指”で描いて欲しい」

○ 第2話「柏木真由」
 彼女がどうしてそんな条件を出したかというと、彼女は恋をしていたからです。
 相原裕の、手に。
 彼女はいつもそうです。男の人の手に恋をする。
 しかし、見ているだけでいいと思っていた彼の手が、文化祭で彼女を魅了するようなたれ幕やカンバンを大量に創っていたのです。
 あの「アクシデント」は、実は、彼女が勇気を振り絞って引き起したものだったのでした。

○ 第3話「新城和貴」, 第4話「金沢はるか」
 いつも険悪なこの二人は、実は、義理の兄妹でした。
 学校では他人のフリ、という協定を結びつつも、はるかはしょっちゅう和貴の部屋に行くのです。
 そんなはるかに和貴は……そしてそんな和貴にはるかは……。

○ 第5話「鈴木清信」
 清信は、飾らない“彼女”こと木村さんが好きです。スッピンで(実は第1話で裕が「塗りたくってる」と見抜いた彼女ですが)、短いスカートをはいているときも、階段で隠したりしない。
 そんな彼は、自分は「汚ねー奴だから話しかけられねー」と、図書室で木村さんの借りた本を後追いしています。「彼女の目に映ってる世界と同じもんをオレも見てみたい」と。
 しかし、それに気付いた人がいました。
 図書委員の、山田さんです。
 彼女は、彼に色々アドバイスをしてくれます。時にはかなり強引に。

○ 第6話「山田愛音」
 実は山田さんは、メガネに特殊な愛情を抱いていました。「メガネ王子リスト」とか作ってしまうくらい!
 彼女が清信に本を読ませようとしたのは、なんとかしてメガネが必要なくらい視力を落して欲しい、という理由から。
 「メガネ王子リスト」で清信は、「残念な人」としてリストアップされていました。それは、「メガネが似合いそうなのにメガネを必要としない残念な人」だから。

○ 第8話「藤堂うずら」
 彼女は、人のニオイに惹かれます。特に執着しているのが、木村のの。彼女のニオイは「お菓子」のニオイ。そして、特に嫌いなのが、男のニオイ。
 しかし、あるとき、ののから男のニオイが。
 元々自堕落な生活をしていたうずらなので、それで殆んど不登校に。で、学校の同じクラスの男子が欠席続きの彼女の元へプリントを届けに来るのですが、その彼の服を奪って久し振りの外へ。
 そこでののと遭遇し……。

○ 第9話「清水良介」
 一方その男子、良介は、セーラー服で帰るはめに。
 それを見た同じクラスの木乃内さんに脅迫された(本人は「助けてあげる」と言いましたが(笑))良介は、彼女の自宅に連れ込まれ、女装をさせられることになります。

○ 第10話「木乃内リサ」
 その服は、全部リサが自分で作ったもの。
 彼女は、綺麗なものは自分には似合わない、自分は「お姫様になれない」と思っているので、他の美しい、綺麗な人を「お姫様」にしているのです。自分はなれなくても、人に魔法をかけることはできるから。
 そんなリサが選んだ「美しい」良介ですが……彼は、リサに魔法をかけることができたのでした。

 といった感じの話なのですが、第7話「木村のの」のヒロイン、木村ののだけはなんかちょっと違う感じなんですよね。
 藤堂うずらがそのニオイに執着していたののですが、のの自身はどういう人かというと、何かのモノやコトに拘るというよりも、人に「求められる」「必要とされる」ことに弱い。というよりも、それに依存している感じ。これまでの10人の中では、一人だけちょっと異質な感じです。
 まあ、他と同様、綺麗にカップリングされてますが、そのカップリングも、ののとうずらだけは女の子同士です。カップルとしても、やはり異質です。

 求められることを望み、それに依存するというのはそう珍しいことではありませんが、こういう顔触れの中にいると、逆にそのことが彼女を際立たせます。ちょっと興味深い。
 しかも、第1話でなんかモブキャラ的な登場をし、第5話でも結局は狂言回し的な存在。

 なんというか、そういう普通に近い人が一番おかしく見える(まあ結局女の子とくっつく辺りやはり普通でないですが(笑))、そんなどっか「おかしい」少年少女達の物語、です。

tag : 電撃コミックス 大月悠祐子

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“ドミノ倒し”

水響さんのこの作品のレビューを読んで、頭に浮かんだのが“ドミノ倒し”という言葉でした。

パタン……パタン……と作中の登場人物達の人間関係が繋がっていく、連なっていく様がまるで“ドミノ倒し”のようだなぁ、と。

こういう群像劇というのか、同じ時間・同じ場所で複数の人物によって複数の物語が展開される話、好きです。

Re: “ドミノ倒し”

> “ドミノ倒し”という言葉
ああ、それ、いい感じですね。

> 同じ時間・同じ場所で複数の人物によって複数の物語が展開される
そして、最終話で相原裕に話が戻ってくると、きっと面白い構造になると思います。

それにしても、よくあれだけ破鍋に綴蓋があったものだな、とか読んでて思いました(笑)。

No title

このエントリを読んでから3週間ほどが経ちましたが、いまさらながら1巻を買ってきて読みました(←2巻は売ってなかった……)。

それで感想ですが。
やはり水響さんのエントリを読んでピンと来た作品に“ハズレ”はないですね。面白かったです!

特に第3話・第4話の兄妹の話が良かったですね。
ま、僕がどの話に食い付くかは大方察しがついてたかと思いますが(笑)
第4話の読後感がもう、すんごく好みでした。「兄妹じゃなくなった」2人が「どうなったか」をそれこそ“妄想”させる感じで。

この作品、脇役だったキャラがメインになったり、メインだったキャラが脇役で出てきたりするのもいいですよね。
登場人物達がちゃんと「ひとつの世界で生きている感じ」がして。

2巻も読みたいと、素直にそう思える作品でした。

Re: No title

> “妄想”させる感じで。
私がこれ読んで一番思ったのは、彼(女)はとても幸運だな、ということでした。
普通だったら、どのキャラも社会に受け入れられず孤独感に苛まれることになると思うんですよ。

> 登場人物達がちゃんと「ひとつの世界で生きている感じ」がして。
こういう連作の醍醐味ですよね。メインキャラをやっているときよりも別の話で脇で出る方が実在感が強いように感じることも多々あります。
ところでこの作品、どう表現しようか迷ったんです。最初オムニバス型式と書こうと思ったんですが、何となく各エピソードが「近過ぎる」感じがして。

> 2巻も読みたいと、素直にそう思える作品でした。
最後、どうまとめるのかがとても気になります(前に書いたように(笑))。
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Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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