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マンガ: 名作『AQUA』『ARIA』の思い出

 アニメ『たまゆら~hitotose~』の第8話を見ていたら、ふと思いだしたものがあります。それは何かというと、同じ佐藤順一監督によるアニメ『ARIA』のシリーズです。
 『たまゆら』第8話では、写真家の志保美りほさんの近況がメインテーマになっていました。
 主人公のぽっての尊敬する彼女も実は色々迷っていたり、また志保美さんからぽってへ、そしてこまちへと写真への想いが受け継がれていたり。そういうところが、『ARIA』と重なって思えたのです。

 というわけで、懐かしくなって、取り敢えずアニメ『ARIA』の最後だけでも見てみようかな、と思ったのですが、肝心の最後のDVDが見つかりません。『ARIA』は三期にわたって制作されたのですが、三つ目の『The ORIGINATION』の2巻と6巻だけが発掘不能でした。OVAさえも見つかったのに。
 地震でエントロピーが極限まで増大した一角に埋もれてる筈なんですが……(笑)。
 というわけで、掘り出してきた原作漫画の方について今回書いてみることにします。だから、カテゴリがアニメでなくマンガなのでした。
ARIA (1) (BLADE COMICS)ARIA (1) (BLADE COMICS)
(2002/10)
天野 こずえ

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 この作品、元は『AQUA』というタイトルで始まったのですが、なんか色々ややこしい(大人の)事情があって、途中から『ARIA』になりました。

 このお話は、とても不思議な作りになっています。
 基本的には、一話完結で話が進みます。
 物語の始まりでは、主人公の灯里がいきなり宇宙船で惑星アクアにやってくるのですから、まあ、世界観はSF風味ですね。そういうエピソードもあります。
 しかし、そこから始まる話の舞台はと言えば、水の街ヴェネツィアを惑星アクア(テラフォーミングされた火星)に復元した「ネオ・ヴェネツィア」で、空に何か浮かんでたり飛んでたりする以外は実にノスタルジックです。灯里はそこで、観光客をゴンドラで案内する「水先案内人(ウンディーネ)」を目指すのです。
 ノスタルジックではあっても普通の日常が描かれますが、ときたま猫妖精の「ケット・シー」に代表される不可思議な存在が登場したり、不可思議な空間に迷い込んだり。
 かと思えば、いきなりとても和風の情景やエピソードが描かれたり。
 とにかく、なんでもありな感じでジャンルが不祥なのです。

 ところが、それではカオスな話なのかというと、実はそんなことは全くなくて。
 どのエピソードも、語られるテーマ、その語り口、雰囲気、そういったものが完璧と言っていいくらい徹頭徹尾共通しています。
 それは、優しさであるとか癒しであるとか安らぎであるとか、そういった表現が似つかわしい、穏やかで心地好い物語なのです。

 その物語をアニメ化したのが、佐藤順一監督で、まあ、『たまゆら』を作った人、なので(笑)。
 とてもその世界観に忠実に、オリジナルエピソードや人物も上手に原作を読み取って配置しているな、と、アニメを見ながら思ったものです。
 そう言えば、監督としてではありませんが、この夏に何度もレビューした『異国迷路のクロワーゼ』でシリーズ構成として参加しており、原作漫画からの構成の変更やオリジナルエピソードの挿入がとても佐藤監督らしいと思ったので、きっとその辺りは彼が主体となって作業を進めたのではないかな、とか思ったものです。
 第09話「秘密」のレビューでもそんなことを書きましたっけ。

 そして『ARIA』では、これは個人的な印象なのですが、原作者の天野こずえさんとも良好な関係が構築されていたのではないかと思っています。漫画とアニメが、相互に補完したり影響しあったりしている感じがしたからです。
 漫画の最終回のラストで、アニメのオリジナルキャラであるアイちゃんが登場するのも、その印象を補強しました。あれは、アニメオリジナルキャラを登場させたのか、原作者の頭の中に元々いたのか、どっちでも納得できるくらいでした。
 ちなみに、『ARIA』の主要な登場人物は、全て名前が「あ」で始まるんですよね。

 今回、『たまゆら』第8話を見ながら『ARIA』を思い出したのは、『ARIA』でも、主人公の灯里の尊敬するアリシアさんが、物語の最後でその秘めたものを覗かせてくれたり、アリシアさんから灯里、そしてアイちゃんへと受け継がれるウンディーネという仕事への想いが描かれてたな、とか思ったので。
 そうそう、志保美さんの声優が葉月絵理乃さんで、この人は(テレビアニメ版)『ARIA』では灯里をやってましたっけ。

 と言った感じで、やはり佐藤監督の仕事は好きだなぁ、とか再認識したのでした。

P.S.
 知らなかったのですが、こんなのも出てました。でも『AQUA』の二冊は? あれがないと最終回の最後の灯里の台詞の意味が……。
ARIA 全12巻 完結セット (BLADE COMICS)ARIA 全12巻 完結セット (BLADE COMICS)
(2010/11/01)
天野 こずえ

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コメント

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No title

>ARIA
そういえば昔、そんな作品があったなぁというのを思い出しました。まぁ読んだことは無いんですが(おい
やはり似たような雰囲気をまとった作品を作るのは、同じ監督の手によるものなんだぁと思った次第です。私はアニメ監督の名前を覚えるのは苦手なんですが、この人の名前は覚えておこうと思います。
これからしばらくしてまたハマッたアニメが「あぁ、この人だったのか」と分かってニヤリとできるのって、楽しいですしね。

Re: No title

> 似たような雰囲気をまとった作品
まあ、先日紹介した「メガミマガジンリリィ」のインタビューにもありましたが、「そういう」話の依頼が来てしまう、というのもあるでしょうね(笑)。

> この人の名前は覚えておこうと
私がこの人の名前を憶えたのは、『セーラームーン』(無印)でした。ラストは結構凄絶でした(笑)。

> 「あぁ、この人だったのか」
これも以前ここで紹介しましたが、『魔法使いTai!』とか。
それから、あまり知られていない『プリンセスチュチュ』とか。
逆に私は見てないのですが、かなり有名どころの『ケロロ軍曹』とか。

どうでもいいですけど、『魔法使いTai!』の頃のアニメで『機動戦艦ナデシコ』というのがあってとても好きだったのですが、そちらも佐藤(竜雄)監督で紛らわしかったので、よくフルネームで呼んでたのでした。
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Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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