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ラノベ: 『僕の妹は漢字が読める2』

 先日レビューしたこれ↓
僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)
(2011/06/30)
かじいたかし

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の続編、これ↓
僕の妹は漢字が読める2 (HJ文庫)僕の妹は漢字が読める2 (HJ文庫)
(2011/10/29)
かじいたかし

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を読んだので、レビューです。

 前回は、この物語は表層と本質の乖離が特徴的で、表層に惑わされずその本質、即ち表層に惑わされず本質を見るべきだというメッセージを受け取ったので、それに倣ってレビューも表層と本質の乖離を意識して表層は本質と乖離した分析的な文章を装っており、ならば実のところその本質は何だったかというと表層と本質の乖離したヒロインであるクロハを賛美するものであって、ではその表層と本質の乖離という彼女の特徴を簡潔に表す言葉を用いて前回のレビューの隠された本質を述べると、とどのつまりは以下に集約されます。

まったく、ツンデレ妹は最高だぜ!!

 さて、実は今回の「2」も突き詰めるとこの一言で済んでしまいます(笑)。
 しかも、ハプニングによってデレの部分が知られてしまいます。本人の知らない内に。

 ストーリーをざっとおさらいすると。
 まず前回は、小説『おにいちゃんのあかちゃんうみたい』、通称『おにあか』が日本文化の歴史の分岐点となっており、何者かが「現代」(二十三世紀)の状況を嫌って過去に遡り『おにあか』の元となった『あにマジまにあ』を持ち去ったがために、歴史が変わってしまった、それを元に戻すためにギンと彼を取り巻く皆が二十一世紀に旅立とうとする、というところで終わりました。
 今回は、その「何者か」というのがわかります。つまり、時間移動ができるマシュマロを作ったチョウマバヤシ・メグリ博士が過去に行っているのですが、その兄のチョウマバヤシ・サダメが「犯人」だったのです。

 彼は「近代文」で書かれた、萌えの欠片もない文章を愛しており、それこそが至上の物なのだから、「現代文」の正統派である萌え小説に埋め尽くされた二十三世紀を否定したかったのです。でないと、自分のような文章を書いてもモテないから(笑)!

 でも結局、ガイの発案で、サダメの敬愛する父祖の作品(遺作)を自身で完結させた『二十一世紀』と『あにマジまにあ』を一緒に二十一世紀に残し、『あにマジまにあ』を元に『おにあか』を書いたクロナ・グラがどちらを取るか、それに未来を任せよう、ということになりました。
 結果、グラは『おにあか』を書いて萌えに溢れる日本が誕生したのですが、そこには『有明文化特区』というサダメの同類のような者が集まる地区が誕生していました。『二十一世紀』も伝わったからです。

 さて。
 それらはまあおいといて、今回のレビューでは遠回りせずに、そのままを書きます。

 皆で相談しているときにメグリ博士が持ち出した、酒のようであるが酒ではない「なんか きぶんいくなる みず」(笑)の効果が一人だけ強く表れたクロハ。いきなり「私のお兄ちゃん」宣言をしたかと思うと。

「お兄ちゃん、黙ってないでなにか言って! ……どうしてそんなに冷たくするの? 私のこと嫌いなの……?」
 クロハがぐすっと涙ぐむ。
 あのな、クロハ……。
「そっちは壁だぞ」
「ふぁい?」

 この辺りから始まり、ギンの顔をちゃんと見たら、まあそこには冴えない平凡顔があるわけですが。

「おかしい。お兄ちゃんだってわかると、世界一かっこよく見えてきた。どうして?」

 どうでもいいですけど、酔っているから本心じゃないだろう、というギンの考え方はちょっとおかしい(笑)。

「博士はきけん。私と違って童顔でかわいいから、お兄ちゃんに近付かないで!」

 本心じゃないとすると何の意図があるっていうんでしょう(笑)?

「はあ? お兄ちゃんをどう思っているかって?」
 クロハの目が据わった。
「馬鹿みたい。答えるまでもないもん」

と言って辞書をめくり、示したのが……

あい 【愛】

「これに決まってるでしょ!」

 みんなの目の前で! もう、何を言ったもんだか(笑)。

「お兄ちゃん馬鹿だから心配だし、お兄ちゃん馬鹿だから見てて癒されるし、お兄ちゃん馬鹿だからはらはらするし」
 なんだか自分が世界でいちばんの馬鹿に思えてきた。
「お兄ちゃんは、私がついてないと駄目なんだもん」
 おいおい、僕の保護者気取りか……。
「私はね、日によっては、自分のことよりもお兄ちゃんのこと考えてるの。頭の半分はお兄ちゃんなの。愛がなきゃ、そんなに考えっこないもん」

 これらの言葉を後で忘れてしまっているというのが楽しいのですが、いつかそれを思い出して悶えるシーンがあることを希望します!
 ちなみに、その想いのことを本人は「妹の愛」と言っています。だから、意外と三次元に関しては二十一世紀的常識人であるギンはそのまま「家族愛」と判断しています。
 しかし、もしかすると。
 クロハが、二十三世紀の正統派文学で当たり前のように恋愛する兄と妹、それを知らないわけがありません。
 とすると、本当に、「家族愛」の意味だったのでしょうか?

 実をいうと、上記のように「近代文」の文学の価値に拘るサダメと、幼い頃のクロハは似ていました。
 それを決定的にわけたのが、ギンの存在だったのです。
 正統派文学とは違うものに拘るクロハは両親とトラブルをおこし、地下の書庫に立てこもります。それをどうにかしようとしたギンが、そんなに素敵な話なら自分も楽しみたいから、話して聞かせてくれ、と言ったのです。
 結局ギンはその物語の良いところがさっぱりわからなかったのですが、「僕にはわからないってことはわかった」と告げ、「自慢の妹」と言います。
 メグリ博士に言わせると、「妹殺し」だとか(笑)。

 そして、今度はギンが話し始めます。ギンの方は、自分で物語を作って聞かせました。
 ……パンストが主人公(笑)の奇妙な話を。しかも途中からそのパンスト、さらりと男の子になってるし。
 ちなみに、子供のギンの笑える台詞。
「僕は、生足にはパンストが合うと思う」

 以前からそうでしたが、結局クロハは、ギンの書いた物語を自分が「近代文」に翻訳し、ふたりで共同作業をする夢を抱いています。これは、二十三世紀に帰れなくなってしまった場合の対処、という意味合いで言ったことなのですが、しかしその実、それこそが彼女の求めるところ、目指すところなんではないか、と。
 今回の話では、元々は正統派文学と既に廃れた「近代文」による文学が最終的に共存することになりました。
 ギンはそのことに対し肯定的です。何故なら、懐古的な文章でも「現代文」で書いてくれれば、自分にも読めるからです。そして、こうも考えています。

 先生が言っていた。『ぶんかとっく』のような、小さくて、世の中の主流には属さないところから、凄いものが生まれる可能性があると。うかうかしていると、正統派も地位を奪われてしまう。

 前回と同様、今回も中々に教訓に満ちた言葉が出てきます。
 しかし、クロハはあまり嬉しそうではありません。何故なら、上記のように考えていたからです。というわけで、

「もう……」
 クロハはふう、とため息をつくと、遠くを見るような表情でつぶやく。
「お兄ちゃんが読めるんじゃ、私が翻訳して話せなくなっちゃうじゃない……」

 ツンデレ妹の本心、しかと拝聴しました(笑)!

 ところで、ここで二点ほど。

 まず、今回の展開の過程で、三十八世紀の日本がどうなっているのか、という話が出てきます。メグリ博士が見てきた、というのです。
 そこでは、文章は記号ばかりですでに漢字どころかかな文字すらもなかったりするのですが、パンストが総理大臣(既に二次元ですらない(笑))だったり、「意外と普通の男の子」が神のように扱われていて、その人の作品がもはや神話の領域にあったり。
 記号ばかり? パンスト? 普通の男の子?

 更には、事件が解決したあとの二十三世紀は、やはりちょっと前と変わっていて。
 なんと、ギンの実妹から連絡が……!

tag : HJ文庫 かじいたかし

コメント

非公開コメント

No title

しかし最近~の~はってタイトル多いですよねえ

Re: No title

それもありますが、最近どんどんタイトルが長くなっていますよね。先日レビューした委員長がメイドになる奴とか。一時期、四文字のが妙に多かったかと思えば。
「~の~は」というのは、「俺の妹が」から派生でしょうか? 影響力から考えると。

No title

妙に長ったらしいタイトルは多分俺妹からですよね
タイトルのテンポ的には某掲示板のスレッドタイトルをヒントにしてるんじゃないかなと

Re: No title

> 俺妹
以前もたまにありましたけど、やはり潮流を変えたのはそれでしょうね。

> 某掲示板のスレッドタイトル
そちらはよく知りませんが、やはりこれだけ沢山の作品が群雄割拠していると、タイトルだけでどういう作品かわかるようでないとそもそも手に取ってもらえないというのがあるのではないでしょうか。
ラノベだけでなく、エロゲとかでもよくそう思います。
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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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