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せいじ: TPPに絡んで発揮された日経の才能

 以前から日経はTPPを推進したくてしたくてしょうがないのがよく見えていたのですが、ここ一ヶ月くらいのTPPネガティブキャンペーンは素晴らしいものでした。
 いやはっきり言って、あれはネガティブですよね。賛成している人たちの足を引っ張っているという意味で。

 私はどっちかというと紙の方よりもネット、それも日経ビジネスオンラインを主体に読んでるんですが、中々に面白いです。
 例えば、こういうのがありました。
「アメリカが日本にTPP参加を強いる」との陰謀説は正しいか?
 まあ、話が農業なのはこの連載のタイトルが「山下一仁の農業政策研究所」なので仕方ないでしょう。
 しかし、以前私が指摘したように、「陰謀論扱い」をしていますね。
 こんな風に書いてあります。

TPP反対論の内容は裏づけもなく、想像で書かれているものが多い(「TPPは日本経済にイノベーションをもたらす」参照)。その中で、特に強調されるのが、「アメリカが日本を食い散らかそうとしている」というアメリカ陰謀説である。アメリカは輸出を増大させることで雇用を拡大しようとしている。「既にTPPに参加している多くの国はGDPが小さく、アメリカ産品の市場として不十分なので、日本をTPPに加入させようとしているのだ」と主張する。アメリカは日本市場を、日本の産業から奪おうとしているというのである。

 JA全中会長は会談後、「日本国内では、米国が日本にTPPへの参加を強硬に呼びかけているとの情報だけが伝えられている。だが、現実はそうではない。米国農業団体は総じて『TPP参加はあくまでも日本の判断』ということを前提に冷静に話していた」と発言している(以上9月22日付日本農業新聞)。確たる裏づけもなく、一片の事実から想像してつくり上げられたTPP反対論の馬脚が露わになってきたようである。

 つまり、実際にアメリカに行って聞いてきた、アメリカは別に日本に参加して欲しいと思っていない、という主張です。
 ふむ。なるほど。まあ、この引用部のちょっと前にあるように、「ファーム・ビュロー会長は、「日本のように農業開放を望まない国が交渉に参加すると交渉が複雑になり、(合意までの)困難が増すだけだ」と話した。」というのはあるかも知れません。一応筋は通っていますね。

 次に、これ。
「米国は日本のTPP参加を歓迎する」
 スレッシュ・クマール米商務省次官補に対するインタビューです。

 TPPについて言えば、米国は日本の参加を歓迎する。日本は米国にとって重要な貿易相手国であるだけでなく、大きな支援国であり同盟国だ。いつ、どのように参加するか、あるいは交渉参加に必要な国内手続きをどうするかは日本が決めることだ。我々は日本のTPP参加を歓迎する。

 あれ~(笑)?
 というか、前文のこれが、なんだか……。

 曰く、「TPPは米国の陰謀」「米国は日本のTPP参加を望んでいない」…。TPP亡国論は、米政府や産業界の意見を正しく受け止めず、都合のいい方向に米国の意向を曲解しようとしている。

 あのー。
 もし反対している人が「TPPは米国の陰謀である」と考えているとしたら、どう考えても、彼らが「米国は日本のTPP参加を望んでいない」とか思っているはずがないんですけど……。だって、アメリカの陰謀だったら、なんとかして日本を引きずり込もうとするはずでしょ? 話が逆じゃない?
 わけがわからないよ(笑)。

 ついでに、こんなのも。
TPPが米国の陰謀だなんてあり得ない
 日経は、どうしても反対論者がイコール陰謀論者じゃないと困るのでしょうかね。

アメリカにとってTPPは、謀略を仕掛けるに値しない政策なのだ。

 正直言って、アメリカ国民は、TPPなんて誰も知らない。賭けてもいい。ニューヨークからロサンゼルスまで、全米各地で100人に聞いてみても1人も知らないだろう。1000人に聞いても同様だろう。

 政策に精通しているはずの、アメリカ政府の中枢やシンクタンクの連中と話していてもTPPは話題に上らない。アメリカ国民は“貿易政策”に関心が低い。仮に貿易政策が話題に上っても、そのテーマはせいぜい米韓FTAくらいだ。

 日本がアメリカについて色々と思うほど、アメリカは日本について思ってはいない。

 日本人、騒ぎすぎ、と言いたいんでしょうけど。
 それにはもう一つ別の可能な解釈があって。
 「陰謀(笑)」を仕掛けられている方が仕掛けている方よりも騒ぐのはおかしくもなんともないんじゃないの?

 また、こういう尤もな指摘も。
本当に重要なのはTPPに加入した後の戦略

 第1に、TPPは米国の陰謀だという説を信じている人が結構多いようだ。これは驚きである。そもそも「陰謀」というのは、人々に知られないように密かにめぐらされる「はかりごと」であるはずだ。しかし、多くの人が「陰謀だ」と議論するということは、多くの人がその「はかりごと」を知っているということになる。それは既に定義的にも陰謀とは言えないのではないか。

 その通り! いいことを言ってくれました。
 つまり、「TPP反対論者=米国による陰謀論者」は成立しないんですよ。陰謀を知っている筈がないんですから。

 最後に、ネットで話題(笑)の、この文章。

 「そんなの関税ねえ、そんなの関税ねえ、はい、TPP」。インターネットの中でそんな駄じゃれが出回っている。元は数年前に流行したお笑い芸人のネタ。「そんなの関係ねえ」を繰り返し「おっぱっぴー」と掛け声が続く、あれだ。

日本経済新聞 2011年11月11日「春秋」より

 ……いや「あれだ」って……。
 まあ、広いネットの中、「ない」とは言い切れませんが、検索しても「日経がアサヒったw」というのばかり。
 個人的な感想を言わせてもらえば、こういう駄じゃれがネットで流行するというのは感覚的にあり得ない、と思うんですけどね。言ったとたんに再起不能なまでに罵倒される気がしてなりません。
 はっきり言って、オヤジの感覚ですよね。オヤジギャグ。最も忌避されるタイプのギャグなのでは。
 まさに、日経の「オヤジ」が勝手に「ネットで流行っている」と言い張っているだけ、としか。
 一周回って笑える、という感じで、日経には意外にお笑いの才能があるのかも知れません。

 こういうのには、あれですかね。こちらも時代を遡って、こう応えるのが粋ってやつでしょうかね。
日経、必死だなw
自演乙!

 ……あ。
 考えてみたら、私もリアルで「オヤジ」だ。
 ブーメランだった……(笑)。

[追記:2011.11.14]
 日経ビジネスオンラインでは、現時点で唯一と言っていいと思えるマトモな記事が、今日公開されました。
TPPで心配すべきは、日本政府の交渉力
 結局のところ、日本政府の交渉力が信用できないこと、そもそも日本人は交渉とケンカを混同していること(ケンカを避けたいがために交渉まで避ける)、議論が錯綜するのはそもそもTPPに関する説明がないからだ、等々。
 問題の本質、すなわちTPPそのものよりも、まず議論をする段階に「国内情勢が」至っていない、というポイントを正しく突いています。
 また、ここのところの指摘は新鮮でした。

 日本に主張し交渉する力が十分にないのであれば、早々に交渉に参加して枠組み作りから関わると、後から修正を提案しにくくなるかもしれない。途中参加の国からは「ここをこう修正してくれたら加わる」などと交渉が入る。その時に、「実は日本としてもここをこう修正してほしかったのだが」と言ったらどうなるか。

 一緒に枠組み作りをした国々からは、「だったら枠組み作りの段階で言ってくれよ」「あれは何のための会議だったんだ」「今さら何だ」と文句を言われるだろう。当然だ。日本は信用できない国になってしまう。TPPでのリーダーシップなど取れるはずもない。

 「交渉への参加は早ければ早い方がいい」という話は、一定の説得力を持って聞こえる。枠組み作りにも参加できるし、準備期間が確保できるということだ。だが特に前者のメリットはあくまで、参加各国に負けないくらい「主張し交渉する力」を発揮できるという前提での話だ。

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

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