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独り言: 日経ビジネス特集「家電ニッポン 最後の戦い」より

 昨日のエントリにも一部引用しましたが、日経ビジネスの2011.9.26号の特集は「家電ニッポン 最後の戦い」というタイトルです。
 ここで私見を述べれば、家電と自動車は、もう日本から出て行ってくれないかな、と思っています。日本がここまで没落したのは、主に彼らのせいだと思っているからです。

 製造業の彼らが何をしたか。新興国に、真っ向から価格競争を挑んでしまった。圧倒的に不利なのは人件費。だから人件費を削った。新興国との競争なら、人に金を出さなくても別にそう勝負に影響はない。
 トヨタの奥田の経団連時代とか、一体どれだけ呪ったことか。そもそも、自社は効率化とか言って自慢しても、下請に押付けるだけだったんだし。
 現状でも、税金が高いだのインフラが高いだの言いながら日本にしがみついている。しかし、雇用ももたらさない、製品もつまらない日本メーカーがいてくれても嬉しくもなんともない。
 そもそも、日本の製品はもう結構長いこと、数値で示せるようなもの以外の魅力を持ちません。長持ちするとか、精度がいいとか、そんな感じ。
 だったら、部品とか素材とかだけ残して、あと人も残して、海外に出て行って欲しい。人件費も税金も安いところは一杯あるだろうから。

 そんな風に思っていた私が、日経ビジネスの特集の「最後」という単語に目を引かれました。
 編集がそんな単語を使うからには、ちっとは見るべきところがあったりするのかな?と。ダメだったら潰れてくれるという意味も含めて。

 で、タイトル通り家電メーカーから、数社を選んでその起死回生の取り組みを紹介しています。
 ここでは、その中から更に二社、ソニーとシャープを選んで感想を書いてみます。

 ソニーの没落は、今にして思えば、90年代の半ばに出井がトップに就いたことから始まっていたのではないでしょうか。ソニーに関する話題はいつしか、経営のやり方だの役員の構成だのといったようなことばかりになり、肝心の商品の目新しさが失われていったように思います。
 以前はソニー製品を好んでいた私も、いつからかもうわかりませんが、ここ7~8年くらいでしょうか、そもそも選択肢に入れなくなっていました。出井の毒がまわり切ってしまったのかも知れません。
 今のストリンガーも、そう変わった気がしません。看板だけは「ハードとソフトの融合」だったか、それっぽいことを言っていましたが、その実全然結果が出てこない。
 記事から引用してみます。

ソニーは創業以来「ウォークマン」をはじめ数々の革新的な商品を世に送り出してきた。だが、「過去10年を振り返ると、革新的な商品はソニーから生まれず、代わりに『iPod』などをヒットさせた米アップルの存在感が高まったのではないか」と尋ねた時のことだ。
 ストリンガー氏は質問を遮るように反論を始めた。「世界で初めて本格的な3D(3次元)テレビを作ったのは我々だし、『プレイステーション(PS)』も独創的なゲーム機だ。それなのに皆、ウォークマンのことしか言わない。一体どういうことだ。ウォークマンなんて、何十年も前に発売した商品じゃないか」。


 特集の冒頭なのですが、「あ、こりゃダメだ」と思いました。3Dテレビとか、「ハードとソフトの乖離」の代表みたいな商品じゃないですか。PSだって、作ったのは90年代です。まだSCEにまで毒が届いてなかった頃じゃないですか?
 ちょっとあとからも引用してみます。

 最近はどんな商品を出しても「ソニーらしさが失われた」との批判にさらされる。ストリンガー氏は、「頭に装着する『ヘッドマウントディスプレー』から、画像を簡単にネットで公開できるデジタルカメラまで、ソニーらしい製品はいくらでもある」と気色ばむ。

 ……いやだから、それで一体何ができるの?
 p26にあるインタビューなど、後述するシャープとそっくり、という感じです。

 ところが、ソニーを紹介するパートでは、後半になってがらっと様子が変わります。SCE社長などを歴任した平井一夫氏(現副社長)の登場からです。

 平井氏は「ソニーらしさを『UX』で表現していく」と力を込める。UXとは、最近ソニー社内で盛んに使われるようになった「ユーザー・エクスペリエンス(顧客体験)」を指す業界用語だ。


 まあ、社内のスローガンみたいなものなので一般に対する訴求力がどんなものかは不明ですが、言いたいことはわかります。
 そして、ソニーの持つ製品群、まだまだいるソニーファン、コンテンツ。全てを視野に入れて「つなげ」て、サービスを中核とする事業戦略の構想が紹介されています。

 紙幅の関係で詳しいことまではわかりませんが、もしかすると期待できるかも知れません。
 ま、ストリンガーがいなくなることが必須なんじゃないの?という気もしないでもないですが。

 シャープについてのパートのサブタイトルは、「太陽の恵みに一縷の望み」です。
 いや、このなんとも後ろ向きなサブタイトルが内容を端的に示している気が(笑)。

 書いてあることに、なんかこう、これはと感じるものがないですね。あっちがだめだからこっちとか、ヴィジョンとか戦略とか方向性とか、そういうのが見えない。
 「ガラパゴス」の大失敗のことが書いてありますが、「来年には後継機を投入して、出直す予定」とあるだけで、どこがいけなかったのか、何をどう改善するつもりなのか、その辺りが全く書いてありません。

 私が最初に「ガラパゴス」の発表から受けた印象は、結構いいものでした。端末のデキとか。
 しかし、ほどなくして見限りました。発売前に。
 ブログに書いたことは最後の一押しで、それまでにもう失望していたんですが、その理由を書いてみましょう。記事にないということは、シャープにもわかってないようですから。
 それは、上記のソニーの戦略の正反対をしていたからです。つまり、「如何にユーザに何かをさせないか」ばかりを考えて作られていたからです。ハードではなく、「経験」の面で。
 ま、これは個人の感想であり、正しい理由であることを確約するものではありませんが(笑)。

 以前にも書いたような気がしますが、iPadとかがどうして人気なのか。
 それは、目指すところがはっきりしているからです。わかりやすいんですよね。
 見た目は違っても、あれははっきり言ってパソコンです。しかし、例えばノートPCと比べてどれだけ違うことか。
 特に違うのは、文字入力の圧倒的な不便さです。しかしそれは、iPadでやろうと思っていることがはっきりしているから、それにとって重要でない部分をばっさり切った。そういうことでしょう。
 わかりにくい商品は売れない。基本ではないでしょうか。

 以前ここで、アニメや漫画を海外に売ろうというときのローカライズの話をしたことがあります。
 そのとき、変に内容をいじるべきでない、と強く主張しました。現に、ファンサブの成果物の方がオフィシャルなものよりも圧倒的に評判が良い。調査によれば、それはカネの問題ではないとのこと。
 また、これも以前紹介しましたが、AKB48のフランスのイベントでの大失敗を秋元が紹介していました。フランスだからと、歌をフランス語で歌ったら、折角日本語の歌を憶えて一緒に歌おうと思っていたファンから非難されたということでした。
 例えば、自動車を海外に売ろうとしたとします。そのとき、その地域では乗り物で移動する習慣がないから、「ウチの自動車は動きません!飾るだけです!」とかやったら? それはローカライズではありません。
 商品にしろ何にしろ、本質はなんなのか、それを認識しなければいけない。自動車なら、素材は何かとか、スピードはどうかとか、乗り心地はどうかとか、音はどうかとか、そもそも目的は何かとか、様々な側面、もしくはレイヤがあります。どこをしっかりと押えて堅持して、大胆に変えたり場合によってはカットすべきところはどこか。それがわかっているか。

 シャープの取り組みの紹介からは、結局その辺りが彼らに全く見えていないような印象を受けました。例えばテレビにしても、どうもこの国ではこういうのが売れるから……とか言っていて、上記のようにガラパゴスの失敗から何かを学んだ様子もなく。
 上記のサブタイトルの「太陽の恵み」は、こういうことです。

 片山氏は、「電気を使用する製品を扱う会社なら、電気を生み出す太陽電池もトータルで提供することは、創業者の早川徳次氏の夢だった。本人の回顧録を読んで気がついた」と言う。

 つまり、実績のある太陽電池を入れてトータルに、ということのようです。
 でもこれも、苦し紛れに暗中模索していたらたまたま伸ばした手が触れた、みたいな感じで、本質をわかっているのかどうか?
 例えば、太陽電池による電力の供給から家電までのトータルソリューションを考えているようですが、蓄電について一言も触れていません。ま、短い記事なんで紹介しきれなかっただけかも知れませんが。

 というわけで、特集から、ごくごく個人的な視点により、くっきりとした明と暗の二つのメーカーの取り組みを取り上げてみました。
 さて、日経ビジネスが呼ぶところの「最後の戦い」、これらの企業は勝つことができるのでしょうか?

P.S.
 シャープの人、30くらいの中型の液晶はダメだ、60以上の大型やタブレット端末向けの小さいのにする、と言ってます。
 でも、個人的には、17inch前後でフルハイビジョン表示できるのが欲しいんですけど。

[追記]
シャープ、TSUTAYA GALAPAGOSを完全子会社に
 だそうで。

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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