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アニメ: 2011夏アニメレビュー『異国迷路のクロワーゼ』 #11, #12レビュー

 アニメ『異国迷路のクロワーゼ』の終幕にあたり、先日取り敢えずアイキャッチだけのエントリをおこしました。
 今日は、#11, #12の感想を、簡単ですが書いてみます。

 まず、#11「祈り」。
 相変わらず重層的な作品ですが、以前カミーユが言った台詞がここでまた繰り返されます。湯音のことについて何も知らないクロードに、カミーユは「信じているのね」と言いました。そして、「あなたのそういうところ好きだけど、ちょっと残酷だわ」とも。

 さて、今回は後半でピクニックに行くのですが、相変わらずとぼけたじいさんが、湯音に(ほんの一滴と言っていましたが)酒を飲ませたため、湯音が酔っぱらってしまいます。

「日本人は、外で宴を開くのが好きだと聞いたんだが」
「お花見、姉さまとよくしました。姉さま綺麗で、クロード様みたいでした」

 と、寝ていたように見えた湯音がいきなり話します。
 ……クロードは男なんですが、クロード様みたいに綺麗って……(笑)。しかし、それは多分、この目のことだったのでしょう。
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 確かに、湯音ならクロードのように綺麗と言うのも自然です。湯音は、淡い、海の色をした目と表現していました。
 日本ではこんな目の色は珍しく、周囲から不吉がられていました。姉の汐音は、自分を見る人の表情が曇るのを見るのが嫌だったのです。だから湯音は、自分だけ見ればいい、と言いました。……「祈り」ました。
 それから二人は演技を始めました。周囲に対し、汐音は目が見えないのだ、という振りをしたのです。
 体が弱かった湯音は、長じるに従って段々元気になってきたのですが、汐音は弱くなり、目も本当に見えなくなってきてしまいます。
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 湯音は、それが自分の「祈り」のせいだと感じていたのです。ずっと。

 だから、パリにやってきたら、「パリの神様」にご挨拶をしていました。土地神の考え方ですね。
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 どうでもいいですけど、最初は二礼じゃないんですかね(笑)?

 カミーユに、湯音を「信じているのね」と言われたクロードでしたが、それまで湯音のことについて聞かなかったのは、カミーユの言うように信じていたからなのか。じいさんの指摘です。

「そばにあるものを信じるのは、簡単なことなのさ」
「湯音が外の世界に触れることを、いつもどこかで恐れているだろう」

 湯音を海外に送り出した汐音のことに思いを馳せ、「信じる」とは、ということを考え直したクロードでした。
ikokumeiro11_yune2.png

 さて、#12「屋根の上の猫」では、上記のじいさんの台詞がキーになっています。
 更に、「猫」にも二重の意味があります。

 買い出しに行く途中でヤニックさんに出会い、彼の猫が行方不明であることを聞いていた湯音。
 クロードとの間にちょっとしたトラブルがあって、少し距離を置いた湯音は、そのヤニックさんのと思しき黒猫を見掛け、つかまえようと追掛ける内に、ギャルリの屋根の上へ。

 心配したクロードがなんとか湯音を見つけ、自分も屋根に上り、助けます。
 そのときの会話。クロードは、その猫はヤニックさんの猫じゃない、と言います。

「ヤニックさんが首に鈴をつけた途端な、嫌がって暴れて出て行ったんだ。それ以来、十年以上行方知れず」
「そんな……」
「皮肉な話だよな。いつでもそばにいると確認したくて、鈴をつけたのに」
「ごめんなさい。私、ギャルリの役に立てると思ったのに」
「お前、馴染みのない土地にいるだけで大変なんだろ? なんで自ら大変なことに首突込むんだ!」
「一人だけ、何もできないこと、一番、大変です」
「お前の仕事は、怪我せず俺の目の届くことにいることだ!」
「!……私、それしかできないですか……?」


 さて、この話の冒頭、買い出しのとき、クロードに声をかけてきた人が、湯音のことをこんな風に言っていました。

「クロード。最近、後ろにくっついている黒い子猫、今日はいないのかい?」
「え」

 つまり、今回のサブタイトル「屋根の上の猫」の猫は、湯音が追掛けた猫であり、また湯音自身でもあるのです。
 クロードは、そばにいてくれればそれでいい、と言いたかったのですが。

「知らないんだ、お前は……俺の手が、何も掴めなかったときの惨めさを、お前は。何も出来ないのは、おまえだけじゃない! 俺だってじいさんだって、そんなの同じだ!!」


 クロードの父は、クロードの目の前で、事故で亡くなっていたのでした。
 そして、クロードが、湯音の思っているよりも不完全であることも、前半で示されていました。
 上記のちょっとしたトラブルで、クロードはつい叫んでしまいました。

「ほんとにどっか行ってろよ!」

 まあ、その後、じいさんを通じて伝言しますが。

「とこか行ってこいとは言ったが、行っていいのはギャルリの中までだ」


 この後、クロードも自分にとっての湯音の「大きさ」を、小柄だった父の話に絡めて湯音に伝えることができました。
 また、クロードが湯音を探しまわっていたのを見掛けたギャルリの人達が、湯音に対して抱いていた気持ちも湯音は知ることができました。

 本当はそこの方がクライマックスなんでしょうけど、私としては、そこに至るまでの描写の方が興味深かったです。前述のように、二重の意味の猫、猫に対するヤニックさんの思いと湯音に対するクロードの思い、ギャルリの人達の思い。そして、湯音と同じように、クロードも「何も出来ない」こと。
 こういった様々な事柄が、それまでにも増して重層的に絡み合って描かれたこのシーンは、それまでの様々な出来事がこの一点に収束した瞬間だったと思うのです。

 実は、原作ではコミックス第二巻の最後に、グランマガザンでの大事件が発生しています。しかし、12話で終わるアニメ版では、最後にそのエピソードを持ってくるとちょっと派手すぎる気がします。それまでの流れと雰囲気に、ちょっとそぐわない。
 そう言う意味で、この猫のエピソードをラストに持ってきたシリーズ構成は、相変わらず見事だな、と私は思いました。

tag : アニメ

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