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読んだ: 教養とか類するものについての二冊

 先日の「ねがてぃぶろぐ1/3」で、part2として「日本人は劣等民族である」というのを予定していると書きましたが、どうにも肥大してしまってどうしようもないので、今朝読んだ新聞を機に一部分離させることにします。
 予定していたエントリが「ねがてぃぶろぐ」なので、こちらにはあまりネガティブでない部分を持ってきました。

 きっかけとなった新聞記事は、こういうタイトルのものです。
「日本 実は「高金利」 超円高の要因に」
 ふむふむ。実質金利の話ですね。隅っこではありますが、一面に載っています。

 ……ん?
 …………んん??
 なんかおかしいぞ。

 うちでは新聞を二つとってます。てっきり読売かと思ったらこの記事、日本経済新聞です。
 おいおい。
 日本「経済」新聞が、よりによって一面で、実質金利ってなーに?という記事を載せる? 何じゃそりゃ???
 百歩譲って、ずっと後ろの方のページの初心者向けコラムならまだわからないでもない。しかし、まるでなんかの新発見とか論文かなんかのように一面に置くとは。

 さて、本エントリのタイトルにあるように、今回は二冊の本を取り上げてみます。
 まず、一冊目はこれです。
ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社プラスアルファ新書)ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社プラスアルファ新書)
(2011/08/19)
適菜 収

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 今のあまりにもばかばかしい日本の世相。それを、とある文書を端緒として解説しています。
 その文書とは、内閣府が広告会社『スリード』に発注した「郵政民営化を進めるための企画書」です。
 そこでは、国民をA~D層の四つにわけています。簡単に言うと、縦軸にIQ、横軸に構造改革に対するポジティブさをとって区分し、右下の象限をB層としているのです。
 著者は、ゲーテの言葉「活動的な馬鹿より恐ろしいものはない」というのを引用し、最近の政治家を批判しています。そして、B層とは何かを考え、結局B層が政治の世界にまで食い込んでいる、という流れになっています。
 言ってしまえば、上記の言葉をB層に当てはめています。

 今、国民はB層が圧倒しており、「民意」を強く意識する政治もB層化し、B層政治家はその影響に対する政治機構のセーフティーネットをどんどん破壊しているとしていますが、実際、ついには市民運動家が市民運動家のまま首相にまでなる始末ですし。
 考えてみると、例えば原発の議論にしても、理念やイデオロギーで語る人、現実にどうなのかを無視して「こうなればいいな」と思うことと実際にできることをごっちゃにしている人が多いですよね。
 地震も予知できない奴等なんて、とか言いながら、太陽光発電の技術が進歩するから、とか言う。誰がそれ研究するんだか。
 この間テレビで見た一般人参加の討論番組で、まあ真面目に見てなかったので責任は取れませんが、(望ましいかどうかではなく)筋の通った発言は、「すぐに原発を止めるべき。生活レベルが下がってもいい」というものくらいでした。他は自己矛盾したのばかり。まあ、これ言った人も実際に自分が、例えばケータイ使えなくなりましたとか言われたら文句言うかも知れませんが。

 閑話休題。
 そんな感じで、知性の低いB層について考察し、今の世の中がどれだけB層に占められているかを示しています。また、「教養」をキーワードに、B層や世の中に何が欠けているかを説いています。
 常識と言われているような様々な社会通念にも大胆にメスを入れ、歴史に則った解説もしています。
 素人の「民意」が政治をおかしくしているし、どこの世界でもプロフェッショナルが成立しなくなってきている。冒頭の日経新聞をきっかけにしたのは、そういった主張があるからです。

 というわけで、かなり過激な本でありますが、内容は大変に興味深いものです。
 そして最後は、こんな風に結ばれています。

 現在の世の中はB層に支配されています。
(略)
 こうした野蛮な時代、トチ狂った世の中で、いかに冷静に近代の病に立ち向かうのか?
 本書がその参考になれば幸いです。


 解説を含めた分析を大胆に示し、しかし処方箋は提示しない。まるで、「自分がB層でないと思うのなら自分のアタマで考えてみろ!」と言っているかのようですね。

 さて、『ゲーテの警告』が「教養」をメインテーマにしていたので、もう一冊はタイトルに「教養」が入っているものです。
経済と国家がわかる 国民の教養経済と国家がわかる 国民の教養
(2011/09/01)
三橋 貴明

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 でもまあ、「教養」とは言っていますが、どちらかというと、まず「現実を見て常識や社会通念にとらわれずに考える」ための元ネタを用意している、「教養」というよりも「知識」が多いかも知れません。
 今、日本でなされている様々な指摘、それらを、客観的なデータを元にして切り刻んでいきます。そうやって、メディア等による意識操作、ミスリードから脱却しようというものですね。

 この人の本は大概そういう感じで、比較的明確なストーリーと到達点(目標)、そしてそれを提示する目的と意図があります。そういう点から、たまに自身でもミスリードを図ったりしているようです。例えば、今ぱっと思い出すことのできたものだと、こういうところとか。

 日本の国土は陸地面積が世界の0.3%程度にもかかわらず、マグニチュード6以上の大地震の2割が日本列島の周辺で発生している。

(強調は引用者による)


 そういう意味ではマスゴミと同じことをしていることもあると言えますが、実際のところ、彼の「目的」「意図」はマスゴミよりも余程親しみの持てるものであり、ずっといいものだと私は思いますね。メディアの場合は、「売れること」が目的であり、だから内容はどうでも良くて、「センセーショナル」なものを選ぶか、そのように演出します。そのために世の中がどうなろうが知ったことではない。
 しかし、この著者は日本という国が好きで、なんとか持ち上げよう、復活させよう、少くともメディアによる意識操作くらいは取り払いたい、そんなことばかり言っています。
 言ってみれば、メディアは「隠す」ことによる不安を、この著者は「公開する」ことによる驚きを、読者に与えようとしている、という感じでしょうか。

 この本の最後に指摘していることに、こんなのがあります。

現在の日本国民が憧れる「別の国」がどこかあるだろうかと、改めて考えて欲しいのだ。(略)改めて考えても、日本国民が真似をしたい国が一つもない現在の世界は、極めて奇妙だ。


 スウェーデンがとかドイツがとか色々言う人が沢山いるので、これもちょっとアレかなという気がしますが、私個人としてはなるほどな、とか思いました。

 「教養」という共通のキーワードを軸としながらも随分違う二冊の本ですが、日本の狂った状況は、狂った常識が諸悪の根源なので、そこから脱却する必要がある、という点では共通しています。
 逆に言うと、それを目指すならば、ここに挙げた二冊の本は、そのための異った二つの方法を提示してくれています。
 併せて読むと面白いのではないかと思います。

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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