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アニメ: 『魔法少女まどか☆マギカ』 第11&12話 レビュー#1 効果/演技編

魔法少女まどか☆マギカ
  • 第11話「最後に残った道しるべ」
  • 最終話「わたしの、最高の友達」
のレビュー、その一です。

 いやー、なんというか、レビューしようと色々考えてたら煮詰まっちゃって、気分転換に他のことやって、やっと手を付けることができました。
 長くなったんで、最初は「ストーリー紹介編」「演出編」「感想編」にしようかと思ったんですが、いい場面をキャプチャしてたら130枚くらい、台詞起こししてたらほぼ全部になって、殆んどアニメコミックスになってしまいそうだったので、ストーリー紹介編は割愛しました。
 というわけで、まず当初の「演出編」、です。映像/音楽/演技、そんな表現について、これは、と思ったところを挙げていきます。

 取り上げるのは第11話になりますね。最終話の第12話はもう、感情を震わせる激しさはそれ程なく、どちらかというとやや穏やかな内容だからです。描写そのものよりも、その表現される内容の方に意識が向く、そんな話ですね。
 でも、だからと言って見るべきところがないというわけではなく、やはり、心に染みてくる細やかな情景は見所一杯なんですけど。
 特に印象深いのは、今正に絶望に敗けようかという魔法少女達がまどかに癒されたときの安堵の表情、というか絶望から安堵への変化、ですかね。

 さて、まず冒頭にこれを持ってくる、ねえ。
 そもそも、まどかになぜあんなに強力な魔力が宿っているのか。
 それは実は、最初からそうであったわけではなかったのです。
 虚淵というシナリオライターはやはり、直球勝負の人なんですね。まどかは実は……というのではなく、ほむらが原因だったのです。
 つまり、こんな事情です。

「魔法少女としての潜在力はね、背負い込んだ因果の量で決まってくる。一国の女王や救世主ならともかく、ごく平凡な人生だけを与えられてきたまどかに、どうしてあれほど膨大な因果の糸が集中してしまったのか不可解だった。だが、ねえほむら。ひょっとしてまどかは、君が同じ時間を繰り返すごとに、強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい?」
「!」
「……やっぱりね。原因は君にあったんだ。正しくは、君の魔法の副作用、と言うべきかな」
「どういうことよ」
「君が時間を巻き戻してきた理由はただ一つ。鹿目まどかの安否だ。同じ理由と目的で、何度も時間を遡るうちに、君はいくつもの平行世界を螺旋状に束ねてしまったんだろう。鹿目まどかの存在を中心軸にしてね。その結果、決して絡まるはずのなかった平行世界の因果線が、全て今の時間軸のまどかに連結されてしまったとしたら? 彼女の、あの途方もない魔力係数にも納得が行く。君が繰り返してきた時間。その中で循環した因果の全てが、巡り巡って、鹿目まどかにつながってしまったんだ。あらゆる出来事の元凶としてね。お手柄だよ、ほむら。君がまどかを最強(最凶)の魔女に育ててくれたんだ」

 なんという皮肉。そしてこれが、このことにキュゥべえが気付き、それをほむらに告げたことこそが、この時間軸を決戦の場とするのです。
 ですがそれは、キュゥべえが疑問を抱いたからそういう流れになったわけで、逆に言えば、まどかに充分な力が宿ったからこそ、でもあります。
 そう、そういう意味では、全てが必然だったわけですね。

 キュゥべえにより、Incubatorと魔法少女の歴史を知らされたまどかは、ほむらの家を訪ねます。
 そこで、ほむらは『ワルプルギスの夜』について訊かれ、あんなのは自分一人でどうとでもできる、杏子と共闘しようとしたのは単に彼女の顔を立てるためだった、そう嘘を吐くわけです。
 そのシーンでは、ほむらは、二つの顔を見せます。
 一つは、これまでのように、冷徹な表情です。まどかを睨み付けるほむら、後退るまどか。
 これは、第10話のラスト(即ち第1話)を思い出します。

「……ほむらちゃん」

 まどかの怯えたような言葉に、一瞬ひるむほむら。全てはまどかのため、と考えて、非情とも言える言動を繰り返してきたほむらですが、まどかにそんな目で見られて、ほむらが辛くないわけがない。
 でも今回、まどかはそれでもほむらに語りかけます。
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「杏子ちゃんも死んじゃって、戦える魔法少女は、もうほむらちゃんだけしか残ってない。だったら──」
「一人で充分よ。佐倉杏子には無理でも、私なら一人で『ワルプルギスの夜』を撃退できる。杏子の援護も、本当は必要なかったの。ただ彼女の顔を立ててあげただけ」
「ほんとに!? ……なんでだろう。私、ほむらちゃんのこと、信じたいのに、嘘吐きだなんて思いたくないのに、全然大丈夫だって気持ちになれない。ほむらちゃんの言ってることが本当だって思えない……!」

 まどかを泣かせている。そのことが、ほむらが築き上げた心の壁を打ち壊します。

「本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ」
「ほむらちゃん?」
「だって、私は……私はまどかとは、違う時間を生きてるんだもの!!」
「え」

 ここ。ここです。突然、ほむらの声が、話し方が、それまでと反転します。

「私ね、未来から来たんだよ。何度も何度もまどかと出会って、それと同じ回数だけ、あなたが死ぬところを見てきたの。どうすればあなたが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も初めからやり直して……」

 まどかにすがりつくように抱きつくほむら。
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「それって……えぇ?」
「ごめんね……わけわかんないよね……気持ち悪いよね……! まどかにとっての私は、出会ってからまだ一ヶ月も経ってない転校生でしかないものね」
「……」
「だけど私は……私にとってのあなたは……。繰り返せば繰り返すほど、あなたと私が過した時間はずれていく。気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。多分私は、もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う」
「ほむら、ちゃん……」
「あなたを救う……それが私の最初の気持ち。今となっては、たったひとつだけ最後に残った、道しるべ。わからなくてもいい。何も伝わらなくてもいい。それでもどうか、お願いだから、あなたを私に護らせて──!」

 そして、最後にまた、戦う人、戦士である魔法少女に戻るのです。この演技は、さすが斎藤さん、と思わせますね。
 ちなみに、魔法少女とは何なのか。それは、最後までこの作品の中で衝突し続ける概念でした。

 で、ついに現れる、『ワルプルギスの夜』
 気象関係者には「スーパーセル」としか思えないその異変が、街を襲うのです。
 乱れ、荒れ狂う空。垂れ込める暗雲。

「──来る!」

 ほむらがそう直感したとき、空が、あれほど荒々しくうねっていた雲が、さーっと穏やかになります。
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 これは、「嵐の前の静けさ」「台風の目」などの、日本人(他の国についてはよく知りません)の中に共通して眠っている、本当に恐ろしいものを想起させる現象、そんな印象です。
 そして、足下を流れるように覆う霧のようなもの。現れる使い魔達。
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 その極彩色の狂気。劇団イヌカレーさんのセンスでしょうか。でも今回のは普通に動いている関係上か、アニメっぽい絵柄ですが、それでもやはり、狂った何かを宿しているように見えるところはさすがです。
 ほむらの、「今度こそ、決着をつけてやる!」という決意の表明の通り、彼女の仕掛ける攻撃は容赦ない。
 数々の武器、というかむしろ兵器をふんだんに使い、激烈な攻撃をしかけるほむら。
 しかしそれでも、『ワルプルギスの夜』は倒せない。響き渡る、狂気の笑/嘲/嗤い声。
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 用意してあった中でも最も強力であると思われるモノを使っても、びくともしない『ワルプルギスの夜』。ほむらの方はもう種切れです。
 激しい攻撃に倒れ、動けなくなるほむら。

(……どうして……どうしてなの? 何度やっても、あいつに勝てない!)

 ついに、この時間軸も諦めようとしたとき、冒頭でキュゥべえにより明された事実がほむらの中に蘇ります。
 がらりと変る、ほむらの声(モノローグ)。
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(繰り返せば、それだけまどかの因果が増える。私のやってきたことは、結局……)

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 ついに力尽きるほむら。
 今度ばかりは、時間遡行という最後の手段も絶たれ、絶望が忍び寄る。
 以前、私はこの物語を漢字で表すとしたら、と考え、「哀」「抗」を挙げてみました。そのときにはまどかに当てはめて考えていたのですが、それは、ほむらをこそ表現するものでしたね。
 そして、ソウルジェム、即ちほむらの心を侵蝕していく絶望。
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 最後の、最後の、最後まで戦い、戦い抜いた末に、八方塞がり、打つ手なし、最早これまで、"Eli, Eli, lama sabachthani?"
 流れる、荘厳な、美しく、美しく、美しい音楽。
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 さやかが、絶望の末に「心の死」を迎えたときとの、何という違い。
 別にさやかを悪く言いたくはないのですが、さやかの場合は何と言うか、はっきり言って自滅だった。音楽も、なんか不協和音混じりの、壊れていく様を表現したものだった。
 しかし、今回はまるで違います。本当の最後まで、全ての力を使い果たして、その上で倒れていく戦士。
 それは、これ以上心を動かすシーンは中々あるまいと思わせた第10話のほむらよりも、更に見ている者を引き込む姿。
 なんとかして、なんとかして彼女を救ってあげたい。頼むから誰か早くなんとかしてくれ。でないとほむらが……!
 そんな気持ちにさせるその描写は、本作の制作陣の総力を結集したものだったのではないかと思うのですが、敢えて私の個人的な感想を言わせてもらえば、その中で最も大きな影響力があったのは、音楽だと思います。
 そして、このシーンがあればこそ、最終話でのまどかの「希望」がしっかりと裏付けされたものになる。それほど重要なシーンであり、それが正に充分なだけ描かれたという意味で、ここはこの上なく印象的でした。

 その瞬間、ほむらのソウルジェムが絶望の色に染まり切るその寸前に、まどかの手が、ほむらの手を包むのです。
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「もういい。……もういいんだよ、ほむらちゃん」
「……まどか……」

 その足下には、キュゥべえの姿。

「まどか……まさか!」
「ほむらちゃん。……ごめんね」

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 まどかの、いたずらを見付けられた子供のような表情で、第11話が終ります。

 そして、最終話へと続くのです。
 この二話が一挙放送になったのは、ある意味、結果オーライと言えるでしょう。
 レビューその二へつづく。

tag : アニメ 魔法少女まどか☆マギカ

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