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ラノベ: 『花咲けるエリアルフォース』 桜、桜、桜……

 この物語は、桜です。

 うーん、これ以上書くことがない……(笑)。
 とにかく、物語の全てのレイヤーが、桜なんです。そして、ソメイヨシノ限定。異形の生命体、ソメイヨシノ。

 例えば、主人公の佑樹が軍に招集されることになるきっかけも桜。
 ヒロインの名前は桜子。そして彼女の髪は、ほんのり桜色の銀髪。
 佑樹達が乗る特別攻撃機が「桜花」。その開発も桜の研究から。そして、桜でもある。

 世界観も。舞台は日本……のあったところにある二つの国。死者の還るところは靖国。そこに、時を止めて生き残ったソメイヨシノ。
 「桜花」は火器を積んでいなくて、攻撃は機体の破片、もしくは体当たり。即ち、特攻。
 ストーリーの展開や漂う空気も、桜。
 なんか、未来が思い描けないエンディングも、桜。
 そもそも物語のテーマは、……桜。
 いや、それテーマじゃないという気もしますが、とにかく、桜であるとしか言いようがない。
 これは、日本人が桜に対して抱いているイメージがあるからこそできる表現ですね。綺麗で、華やかで、でも静かで、潔くさっと散って、楽しくて、物悲しくて、なんか根本に死体が埋まっていそうで。

 全ては、桜をキーワードにすればそれで表現できてしまう、そんな話です。

 一応もう少し具体的な話をすると、日本のあったところに、今は二つの国があって、戦争をしています。
 佑樹達のいる、皇統の者である「帝」が統べる東の国が皇国。
 西にある敵国が、民国。
 他には、連邦(ステイツ)、議長国(サヴェツキイ)、新華(シン)なんて国々。
 尤も、皇国と民国は互いを「国」とは認めていませんが。
 で、桜との繋がりがきっかけとなり、佑樹は「桜花」のパイロットとなって、皇国軍人として民国との戦争に関わっていきます。
 航続時間が短いこと以外では圧倒的な「桜花」でしたが、あるとき、民国軍が「桜花」を投入してくるのです。九機しか存在しない筈の「桜花」。では、民国の「桜花」は……? そして、パイロットは?

 でも、あれですね。皇国は帝を戴く国で死者は靖国に還る、なんていう設定の割には、民国人は「民主主義永遠なれ」と叫んで死んでいきますし。
 作者は、あとがきで「ある意味では、これまで僕が書いてきた中で最も危険な物語でもあります」と言っていますが、まあ、確かにそうかも知れませんね(笑)。

 でも私は、この物語、好きだな。
 あまり明るくなくて、なんか憂いが感じられても。
 格別桜が好きというわけでなくても。

 それでもやはり、桜、ですから。

花咲けるエリアルフォース (ガガガ文庫)花咲けるエリアルフォース (ガガガ文庫)
(2011/02/18)
杉井 光

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tag : ガガガ文庫 杉井光

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

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