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アニメ: 『アマガミSS』 詞編最終章「ヤクソク」 - ヒロイン 詞の魅力に迫る

 ……迫りたいんですけど、結局、姉の縁との確執とか手帳には何が書かれていたのかとか、そういうことが明されませんでした。
 これつまり、その辺り知りたかったらゲームをやれってこと!? なんて商売上手な!

 さて、以前このヒロイン詞について黒いとか書きましたが、これまでの話を思い出してみるに、実はそれは正しくないかな、とか思うようになりました。
 猫を被ったりしていても、別にそれで悪巧みしているわけでもなし、純一を扱き使うのも、悪意とかじゃなく、単に自分に正直にしているだけ。
 そう考えると、黒いという表現はあまり適切ではないですね。
 賢くて熱い人が、その熱い想いに従って行動していた、ただそれだけのことだった、という感じ。

 最終章「ヤクソク」の冒頭、創設祭の準備をしながら純一が回想します。前回、詞が言ったことについて。というか、そのシーンの続き。

「あの子がいなくなっちゃったって、どういうこと!? 絢辻さんが二重人格者で、昨日までの人格が消えちゃったとか、そういうこと?」
「二重人格者かぁ。それは面白い解釈だね。でも、はずれー」
「じゃあどういうことなの!?」
「とにかく、昨日までのあの子はいなくなっちゃったの。それだけ憶えておいて。さあ、みんなが待ってるよ。早く戻って、創設祭の準備しよ」
「……」


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 やっぱり、二重人格ではなかったんですね。では、一体……?
 前回の「次回予告」での純一のモノローグ、「僕の好きになった絢辻さんは、どこに行っちゃったの?」に示されるように、純一は、あの激しい詞が気になっているわけです。
 一緒に準備しようと誘ってくる詞を、また当日、一緒に回ろうと誘ってくる詞を、つい避けてしまう純一。

(今の絢辻さんは可愛いと思うよ。悪くないと思う。クラスの雰囲気も明るくなったし。……でも……)
(絢辻さん、どうしてあんな風になっちゃったんだろう)
(……悪くはないんだ。でも……だったらどうして、僕はこんなにもやもやしてるんだ?)

 一方詞は、サンタの紛争でプレゼントを配ってたり。
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 色々考えてた純一は、梅原と出くわして、ちょっと話をします。
 梅原、結構かっこいいじゃん!
 さて、こんな風に締めくくられたその会話。

「僕、また、だめだったよ。今年のクリスマスは頑張るとか言ってたくせに。情けないよ」
「何言ってんだよ!」
「え」
「クリスマスイブは、まだ終わってねーだろ!」
「……」
「情けねーって思ってんだったら、行動するしかねーんじゃねーのか? 俺みたいに後悔する前によ」

 これで純一は、行動に出ることにするわけですね。
 打ち上げに遅れて参加した純一は、詞を連れ出します。

「話って、なに?」
「うん……」
「橘君?」
「……」
「私、まだみんなにお礼を言い終わってないから、教室に戻るね」

 後ろから抱きつく純一。

「好きだ」


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 ここで、詞はこう返してきてくれるんですけど、

「ありがとう、橘君。嬉しいよ。私も橘君のことが」

それを遮って、ちょっと独白する純一。
 クリスマスに関わる嫌な思い出。でも、創設祭の準備で詞と忙しく働いて、楽しかったこと。

「憶えてるかな……僕が、絢辻さんの手帳を拾ったときのこと。あの後、神社に連れて行かれて、絢辻さんにあんな一面があったなんて、ほんとに驚いたよ。でも、知ってよかった」
「え」
「絢辻さんにあれこれ叱られながら仕事して、忙しくて大変だったけど、充実してたと言うか、うん、クリスマスへの苦手意識を感じてる時間もなくて、いつの間にか消えちゃったくらい楽しかった。多分、その頃から僕は、絢辻さんのことが好きになっていったんだと思う」
「橘君」
「ん?」
「今の私は、嫌い?」
「嫌いじゃないよ。今の絢辻さんも好きだよ。でも」
「でも?」
「僕は、前の意地っ張りな絢辻さんも、その前の猫を被ってた絢辻さんも、全部引っくるめて好きなんだ」
「っ!」
「だから、いなくなったなんて淋しいこと、言わないで欲しい。また僕の至らないところがあったら、叱って欲しい。それを伝えたくて」
「なんで」
「え」
「なんでそんなこと言うの」
「絢辻さん?」

 これまで、いなくなったことにしてまで押さえ込んでいた「あの子」が、まるで爆発するように戻ってきます!
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 純一に馬乗りになって、叫ぶ詞。

「なんなのよぉ! なんなのよ、あんたは!!」
「あんたがあんなこと言うから! だからあたしは、自分を消えたことにして、……なのに……」
「良かった」
「え」
「僕の好きな絢辻さんが、ちゃんといた」
「……っ……」

 もう、止められず、声を張り上げて泣き叫ぶ詞。それは、自分自身による、だからこそ逃げ場のない抑圧から解放されたから、なんでしょう。

 場所を変えて、色々説明する詞。幼い頃の、クリスマスに関する悲しい想い出。と言っても、詳しいことは語ってくれません。……これも、ゲームを買えってこと?

「本物になれないことはわかってた。でも、サンタみたいなことならできるって考えたの」
「サンタみたいなこと?」
「そう。クリスマスイブ、みんなに幸せをプレゼントすること!」
「もしかして、それで、創設祭の実行委員に?」
「うん! 自分の力で、みんなが少しでもクリスマスを幸せに過せるなら、それって、素敵なことじゃない?」
「うん、そうだね」

 何故創設祭か。それは、子供の頃にこの学校の創設祭に遊びに来て、自分の手でこれを成功させられたらと思ったから、だった。
 なんとも遠大な計画だったんですね。これが、第一章冒頭での詞の言葉の意味。
 だけど結局、自分では納得できるものではなかった。

「でもだめね。みんなを幸せにするって目的が、いつの間にか、あたしの満足感を満たすためのものにかわってた」

 それに対する純一。

「絢辻さん、まだ、クリスマスは終わってないよ」
「え?」
「来年も再来年も、クリスマスはまた来る。その度にみんなを幸せにすればいいじゃないか」
「そうね」
「だから」
「?」
「だから、僕のことも幸せにして欲しい」
「それは女性から言う台詞でしょ?」
「へへへ、だめ、かな?」
「だめじゃないけど」

 これが、決め手ですかね。

「私も、橘君のこと、好きよ。もう絶対に離さない」
「それって、契約?」
「ううん、約束」


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 似たような言葉なのに、随分違います。「契約」を申し出た時の詞とは、気持ちがどれだけ変わっているのかを、とても良く表しています。
 そう、一番違うのは、気持ちですね。

 そして、10年後。創設祭にやってきた三人。

「ママ、パパー! ねーねー、これでしょ? パパとママの思い出のツリーって」
「そうだよ。ここで、パパとママは大事な約束をしたんだ」
「約束? どんな?」
「ふふ。ねえ純一」
「なに? 詞」
「今、幸せ?」
「勿論だよ」
「私も幸せよ」


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「世界中の人達が、今日、この佳き日に、幸せでありますように」
「僕たちみたいに、ね」
「ええ」


 結局のところ、詞が求めていたのは「幸せ」だった。自分の、みんなの。そしてもしかすると、みんなと言いつつ、この人を幸せにしたい、と思える人をも求めていたのかも知れません。
 その想いはとてもとても強かった。元々なのかそれともその想い故か、今の詞はとても熱く激しい、燃え盛るような人。
 多分、それをそのまま見せていては目標に近付けないと判断したんでしょう、激しさを圧し殺すことができるほど激しかった。
 だとすると、純一の「僕のことも幸せにして欲しい」という台詞は詞にとって、まさに求め続けていた人の現れを表していたのかも知れません。
 そして純一は、詞を落胆させたこと、つまり、サンタの格好で「幸せ」を配っていても子供には逃げられてしまったエピソード、それからも解放したかも。なんとなれば、自身を抑圧していることの奇矯さから、それに気付いていても離れられなかった詞を、認めたから。全部受け入れるということで。

 アマガミSSというアニメシリーズでは、純一はどのヒロインに対しても、所謂変態紳士的なキャラでいましたが、詞編ではそれがありませんでした。
 この話では、そういうのが入り込む余地がなかったと言えましょう。おふざけが入り込む余地のない、真剣勝負だった、という感じでしょうか。
 それはやはり、詞がああいう熱く激しい人だったからでしょう。

 以前に何度か、強い想いを抱いたヒロインを賞賛したことがありましたが、この詞というヒロイン、そういう人の一人に数えたいと思います。

 さて、次回予告。
 あれ? 詞編が最後じゃなかったのか(笑)。

tag : アマガミSS 絢辻詞

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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