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アニメ: 『R.O.D -THE TV-』

 以前触れたR.O.D』ですが、TV版の方(『R.O.D -THE TV-』)を見ました。
 いやー、懐かしい。

 これは2クールもあるだけあって、かなり重厚なドラマです。大英図書館の、主にジョーカーが主導する野望に色んな人が巻き込まれる形なんですけど。
  • 紙使いの三姉妹、アニタ、ミシェール、マギーの絆
  • 読子とねねね
  • 読子とジョーカー
  • ウェンディの変貌
  • 西浜中学でのアニタ、友達の久美
  • 読仙社の企み
  • 大英図書館陣営の熱意
  • ナンシーとジュニア
もうこんな感じの沢山の人間模様(順不同)が描かれています。

 第一話の冒頭、なんか意味ありげででも意味のわからない断片的なシーンというかカットがいくつか出てきますが、それはずっと先の話ででてくるもので、中には最終回のクライマックスシーンがあったり。

 基本的には、長きを生きてきたジェントルメンの肉体がついに滅びようとしたことに大英図書館が立てた対策、それが全ての始まりであり終わりです。
 それに対して読子が取った行動で英国が危機に陥り、中国の読仙社が横取りしようとして、三姉妹の関係ができあがり、ねねねと関わり、物語が始まります。

 読仙社の本拠地へ乗り込んで、拉致されたねねねを救い出すのが中盤のクライマックス。
 そこまでは、普通のドラマって感じで、活劇中心の作風です。

 で、その後辺りから大英図書館が敵役として立ちはだかります。
 OVAでは正義の味方のリーダーだったジョーカーが、今度はラスボスになるわけです。
 ジョーカーの変わりようもかなりのものですが、ウェンディはもう別人のようです。ジョーカーの小間使いみたいだった彼女が、切れ者の工作員になっているのです。
 その変貌振りをキャプチャして貼り付けたいところですが、BDのプロテクトなのかうまくいかないので断念。残念。
 20話でジョーカーがウェンディに指示を出すと、もうやってある、とか。とにかく、有能な助手に育っています。一体どれだけの努力を重ねてきたのでしょう。このシーンでウェンディが、アレックスのカップのお茶がなくなっているのを見て「お代わりはいかがですが」とか言ったら、彼はなんだか恐縮してるような様子を見せてました。それだけ変わった、ということですね。

 次々と明らかになる秘密。
 前半の感動的シーンだった三姉妹の出会いの物語の真相。ジュニアの能力の源。読子の過去の行動。アニタの心に巣食う恐怖の根源。
 明らかになった過去から生まれる葛藤、齟齬、亀裂。
 そして、着々と進んでいく大英図書館の計画。ジョーカーを筆頭とする彼らの団結は凄いもので、ジョーカーのリーダーとしての手腕が優れていることの現われのように見受けられます。高らかにビジョンを語り、皆を力づけ、導くだけでなく仕事を与え、みんな多分かなり充実感を得ているでしょう。
 彼は、人を使うのがとてもうまいようですね。ウェンディに対する態度が特にそのような印象を与えます。優秀な彼女は、一心にジョーカーを見ていて、とにかく彼の役に立ちたい、そんな思いで動いているようです。
 21話の最後で読子とアニタがジョーカーを捕らえるんですけど、それをウェンディが全体指揮を執り、分断された紙使い達に偽の情報を渡して次々と落としていき、最終的にジョーカーを救い出します。
 22~23話のこの息の詰まるような展開はお見事。ウェンディの一番の見せ場と言っていいでしょう。

 ウェンディと言えば、ジュニアの面倒を見ていたこともあり、クライマックス近くで対話があります。

「ずっとあなたが嫌いだったわ。あなたはいつも素直だったから、自分がどれだけ汚いことをしているか、思い知らされたわ。正直、あなたが裏切ってくれて、少しほっとしているの」
「ぼくも、ずっとウェンディさんが怖かった。でも、好きになってもらいたいって、思ってたよ」
「ごめんねジュニア。……あなたはもうすぐ、人類を束ねる偉人に生まれ変わるわ。そのとき、記憶の片隅にでも私を憶えていたら、好きなように復讐して」

 大英図書館側の中心人物であるジョーカーの秘書なんで、やはり事態の根幹に深く関わっています。
 こんな感じで、様々な登場人物にそれぞれのドラマがある。冒頭で「重厚なドラマ」という表現をしましたが、その辺りがその理由でしょうね。

 ジョーカーは、ジェントルメンの復活に伴い、世界を全く違うものに変えてしまおうとしています。それは、主人公である三姉妹、ねねね、読子、ナンシー達にはとうてい受け入れられるものではありません。
 でも、彼女達がいくらそれを訴えても、ジョーカーの理想は揺らがない。殆ど信仰の域にありますね。そして、大英図書館のスタッフは皆、それに同調して一致団結している。強力な組織力です。
 実際、ジョーカーの計画通りになったら、三姉妹達側の表明している悲しみも、すべて消し去られる筈なので、極論すると、ジョーカーはある意味正しい。
 なんせ、全ての人が心の全てを書き換えられてしまうわけですから。三姉妹達も、「悲しみ」を覚えることもない。
 ふむ。それには、記憶は失われても心の在り様は残るはずだとか、そういう抗弁が欲しかったところですが、まあいいでしょう。

 結局、ジュニアが「お前も、見るんだ」と、「それ」の一部をジョーカーの頭に無理やり流し込み、大英図書館は、ジョーカーという要を最後の最後で失って、形勢は逆転するわけです。

 最終的に、大英図書館の目論んだことは潰えるわけですが、その過程は大変にドラマティックで、様々な人の思いのぶつかりあい、求める理想と守りたいもののせめぎ合いが強烈でした。

 前回のレビューで、「名作の復刻」というタイトルを付けましたが、これはほんとにいい作品だと思います。

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tag : アニメ R.O.D

コメント

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No title

R.O.Dというと本編も面白かったですがコメンタリーも印象的です。アニメのセルDVDの副音声にコメンタリーが付く走りだった気がします。舛成監督と脚本の倉田氏にゲストの声優・スタッフを交えた、ちよっとグダグダな解説がとても楽しかった。最近では「化物語」のようなキャラクターによる解説など面白いバリエーションも増えてきましたが、舛成&倉田のユル漫才は別格です。最新作「宇宙ショーへようこそ」にも付くそうなので今から楽しみにしてます。

Re: No title

コメンタリですか。実は私、あまり聞かないんですよね。某友人には、なんてもったいない、とよく言われます(笑)。
でもそうですね、今度『R.O.D』のを聞いてみることにしましょう。
『化物語』のコメンタリは面白いと結構評判のようですね。発想が新しい、と。
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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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