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読んだ: 『宇宙に「終わり」はあるのか』感想

 なんとなく、最近読んでる本ってブルーバックスなんですよねー。やはり何だかんだ言ってこういう世界が一番落ち着く。
 その中の一冊。


 ブルーバックスっぽいネタの中でも、やはり宇宙ってのは私には別格。そもそも私が転んだ(?)のは『宇宙のひみつ』でしたし。

 ところで、こういうのはガチのお勉強ではなく読み物なので、レベルの設定がどの辺りにあるのかってのが重要です。つまり自分のレベルとの相性ということになるので、人それぞれってことになりますか。
 この本は、そういう意味でとても丁度良かった感じです。そうだよねーって話の中に、あ、今はそう考えられてるんだとか、なるほど気付かなかったけど確かにそうだとか、そういうのが沢山あって。
 なので、私には丁度良かったわけですが、正に人それぞれなんですけど。

 レベルについては、相性だけでなく書き方というのもありますけどね。
 中には、そんなこと一般向けの新聞でも注意書き付けないよ……と思ってたら何ちゃら方程式を憶えてること前提ってそんなの忘れたよ、みたいな感じで一冊の中でも想定されている読者のレベルがちぐはぐなのってたまにありますし。

 ところで、最初はこの本も実はそんなに期待していなかったんです。そもそも、そんな先(「10の100乗年」後とか)のことなんかどんだけの確度で話せるのよって感じで。
 でも、この本はそれは勿論承知の上で、そうなりそうな未来への展開を軸に、その想定を導く研究について紹介しているという形になってるんですね。関係ないですけど、最近読んだ別のブルーバックスで読んだものもさらっと出てきたりして。巨大ブラックホールが登場したり、恒星のスペクトル型のアルファベットの順番がでたらめな件とか。

 非常に大雑把に言うと、第I部「過去編」, 第II部「未来編」の二部構成になっているんですが、やはり「なるほど」が多いのは未来編でしょうか。いや過去編も面白いんですけど。殆んど水素ばっかりの恒星が炭素や酸素なんかを含む恒星と随分違う成長をすることやその理由(強い放射冷却)とか。そういえば、天文の世界の風習ではヘリウムよりも重い物質を「金属」と呼ぶってのも最近読んだ本で知ったばかりでしたっけ。

 そして未来編。
 ここで想定されている宇宙は、膨張がどんどん加速していくことになっています。実は、すでに(60億年くらい前から)宇宙の膨張は加速に転じているらしいですね。
 例えば、銀河の合体のような動きも合わせてみると、やがて観測できる宇宙は、自分達の銀河だけになってしまうということが想定されています。これ、遠くなって技術的に困難になるとかではなく、遠くの銀河は遠ざかる速度が光速を超えてしまって見ることが原理的に不可能になっちゃうんですね。
 また、ビッグバンのような宇宙の始まりに関する情報も失われてしまって、仮にそこに知的生命体がいたとしても、宇宙の過去を知るための証拠が最早残されていない。

 しかし、そんなのはまだまだまだまだ序の口。そもそも今我々が存在し見ているこの宇宙の様子も極めて過渡的なものであり、熱力学的なこととか量子論的なことから物質やブラックホールなどでさえも失われていく、そんな未来が想定として描かれていて。いやもう、ここまで徹底的に喪われていくのかと。
 確からしいとは言え確実とまでは言えない未来の状況なのに、学術的な面白さとは別に、読んでて無力感とか虚無感に襲われます。上記の光速を超えちゃう例みたいに、頑張ってどうにかなる問題じゃないことばかりですから。

 そういう感想はおいとくとしても、それなりに知っていることのそれぞれちょっとずつ先を示してくれるという点で、とても読んでて楽しかったです。
 まあ、上に書いたように「私には」ですけど。

コメント

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No title

子供の頃、宇宙の始まりとか終わりについて考えた事がある。
考えた果てに生まれたのは泣きたくなる位に怖い考えだったって事だった。

自分の存在価値のあまりの小ささ無力さに襲われて、それがとても怖くなり、以後こういうことは考えてもどこかでストッパーをかけている。

いがらしみきおの漫画「ぼのぼの」の絵本「かわいそうのこと」を読んだ時にこれと同じ事を思った。
ラッコのぼのぼのが海の広さを実感した時、同時に世界の広さと自分の小ささ無力を感じる。
それに対して「かわいそうだ」と思ったぼのぼのは自分もみんなも可哀想だと泣くけれど、スナドリネコの一言がきっかけで「かわいそうじゃないのはかわいそうだ」という結論にたどり着く、という物語。
ぼのぼののレベルまでは自分はいけなかったな。
そう今でも思っている。

Re: No title

> 子供の頃、宇宙の始まりとか終わりについて考えた事がある。
> 考えた果てに生まれたのは泣きたくなる位に怖い考えだったって事だった。
ある意味健全ですね。私がこの本を読んで感じたのはどちらかというと、失われてしまう→勿体ない、に近い感覚ですし。
こういうのは、あまりにも時間的にも距離的にも遠いことなんで自分にははっきり言って関係ないんですけど、逆にだからこそ、手元にある標本のように身近に感じてしまうものなのかも知れません。

> それに対して「かわいそうだ」と思ったぼのぼのは自分もみんなも可哀想だと泣くけれど、スナドリネコの一言がきっかけで「かわいそうじゃないのはかわいそうだ」という結論にたどり着く、という物語。
これは別に他人の身になってとか言っているわけではないんですが、視点や価値観の置き換えというのは常に重要なことだと思います。
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水響俊二

Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

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