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ラノベ: 『なれる!SE15 疾風怒濤?社内競合』感想

 工兵の妹が吸血鬼だった件(笑)。

なれる!SE15 疾風怒濤?社内競合 (電撃文庫)
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 いやなんかエナジードレインとかできるらしいので。

 とかいう話はおいといて、今回のエピソードに対する印象を一言で表現すると、修了試験という感じでしょうか。
 これまで工兵は新入社員のクセに、万能人間に?いやいやもう超人?というか神かよ!という(笑)風に色んなスキルを、つまみ食い的なところはあるにせよ身に付けてきました。
 この修了試験は最後の科目というか課目の履修を兼ねていて、で、今回は遂に、経営者の視点という奴ですか。
 まあその辺りについてはまた後で。

 まず出だしですが、本編に入る前に目次を見ると、最後の章が「インターミッション」になっています。あの11巻ですら「クロージング」だったのに(笑)! つまりこの15巻は話が完結しておらず、次巻以降に続いているわけです。
 しかも最初の「レイヤー1」に入る前の導入で工兵は、例の採用担当から声をかけられ、総務のメンバーにならないかと誘われています。勿論、兼務みたいないい加減な話ではなく。どうやらスルガが上場する話があって、なら体制もきちんとせねばということになっての話で、驚くことに「役員」なんて単語まで出てきます。
 このこともまたこの巻では結論出ませんが、工兵の思考や行動にだいぶ影響を与えることになります。

 さて今回のお仕事ですが、サブタイトルにもあるように、社内競合しています。工兵が例によって例のごとくうやむやの内にアサインされた仕事が、実は立華達に来ている話と同じ顧客のものだったという流れ。
 立華は藤崎さんと組んでおり、工兵はあろうことか、例のアルマダの次郎丸と組むことに(笑)。
 工兵にとって、これまでずっと一緒に仕事をしてきた立華が藤崎と組んで最強の敵となり、8巻で工兵が(キャラとして)一人前になったと感じさせた「ライバルの次郎丸」と組んで挑戦する。そういう構図になっています。だから今回次郎丸はパートナーかな。そして競合なので当然ながら、立華達の行動は殆んど見えません。
 というか工兵側はオールスターキャストですね雰囲気的に。それだけ立華と藤崎さんは強大であるわけです。

 実際に工兵達が動き始めてからのスピード感は物凄いです。まあ次郎丸のキャラのせいというのもありますが、次から次へと色んな展開が待っています。
 それにしても、立華達が工兵達の案を潰した手腕はえぐい。いやこう言いましたが悪どい手段を使ったというわけではないんですよね。彼等の間で公開されることになっているQ&Aから推測した提案内容の中から顧客がなんとなく嫌がりそうな点を見つけて、こういうのいいですかぁ〜?と聞いて、あそれなんかイヤかもという回答を引き出しちゃう。
 まあ他にも色々展開するんですが、立華さん。そんなカリカリにチューニングして、ファームに致命的なバグがあってアップデートしたらいきなり破綻、なんてないですか? ってまあないですよね立華さんなら。

 ちょっと順番は前後しますが、そんな猛スピードのある意味爽快な展開が、あるところでいきなりストップして急転回します。この辺りの物語作りは大したものですね。
 そこで、工兵と立華の対話があるわけです。p160辺りから。
 そして、このシリーズのテーマの本質に迫る話題が出てきます。
 そもそも、エンジニアとは?

 これまでこのシリーズの感想をずっと書いてきて、工兵がどんどん成長し、今回遂に経営者の視点にまで手を伸ばそうと言う展開を見ているわけですが、そんな中で実はちょっと懸念していたことがありました。
 もしや工兵は、このまま「昇進」してしまうのだろうか?

 この同じ作者さんの別シリーズでも実はエンジニアが活躍している部分があって、彼(彼等)は確かにエンジニアでありつつ「渡り合って」います。
 それと通ずるものがあるかも知れませんが、個人的に、マネージャとか経営者とかそういうのが「上」と位置づけられる価値観、いやさ世界観は、このシリーズには馴染まないと思っています。そういう能力も一つのスキルなのではないか。
 でもまあ、この巻での工兵の有り様を見るに、それは杞憂と言っていいんじゃないかと感じました。特に薬院さんに「エンジニアというより経営の人の考え方」と言われ動揺する様(p47辺り)とか、実は全く逆の意味だと思いますが、梅林に「ちょっと変ったか」と言われる様子(p152辺り)とか。
 工兵は多分、シリーズのタイトルが示す道を踏み外すことはないのではないでしょうか。

 ということが何となくわかったところで、多分工兵は本当の意味でそっちの方へ踏み出すことになるのでしょう。
 15巻最終章となる「インターミッション」では、トラウマ級の人物と再会することになります。
 あの戦慄の7巻ではその人が過去に残していった言葉が印象的です。
 彼女は藤崎さんに、こう言ったのだとか。

 どうすれば人を売る立場になれるんでしょうね――って。

 その貝塚さんが工兵の前に現れるということは、多分続く16巻で工兵はきっと、彼女の力を借りることになるのでしょう。

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Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

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