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ラノベ: 『クローバーズ・リグレット』感想

 これは、プロの犯行による二次創作ですね(笑)。


 まあ、普通はスピンオフとか言ってるわけですけど。
 作品タイトル長いので省略しましたが、勿論オリジナルは『ソードアート・オンライン』。こういう「オルタナティブ」シリーズは既に『ガンゲイル・オンライン』が出ていますが、あちらがどちらかというとキリトの物語の系譜っぽい感じがするのと対照的に、こちらはアスナの物語の系譜っぽい感じがします。

 それは別に難しい話をしたいのではなく、物凄く肌感覚みたいなものなので、もう個人の感想ですとしか。
 こちらの『クローバーズ・リグレット』には確かにスリーピング・ナイツや≪絶剣≫、メディキュボイドなどのキーワードが登場しているのですが、それで単純につながると言っているわけでもありません。が、やはりそれらが登場した≪マザーズ・ロザリオ≫編は、それとアスナという人物が極めて強く結び付いているので、やはり一部がつながっていると全体的にそれに染まってくる感じがしますね。特に雰囲気とか。
 それと関係あるかどうかわかりませんが、主人公の(ゲーム中では)ナユタは≪戦巫女≫なのでやはり赤と白だし、スピードに特化していたりするし、ここまでくると単なる偶然でしょうけど母音を追ってみるとアスナとナユタは一緒だし。

 というわけでこの『クローバーズ・リグレット』の話ですが、舞台は、≪アスカ・エンパイア≫という和風のゲームで、なんとあのユウキが最初にプレイしていたVRMMOなのだとか。ちなみに、この物語の時点で既に彼女は亡くなっています。
 今、この≪アスカ・エンパイア≫では「百八の怪異」というイベントが展開中です。これは、一般のユーザーにより≪ザ・シード≫を使って作られたものを含む、というかそれが百個なので大部分がそれに該当するのですが、計百八の、まあ怪談みたいなクエストを順次配信するというもの。

 ゲーム中で探偵業を営むクレーヴェルという人物が登場するのですが、ナユタと彼女の友人(社会人ですが)のコヨミは、ヤナギなる老人による彼への依頼に巻き込まれ、クエストの一つのクリアを目指すことになります。ところがそのクエストは、幽霊が出るとか何とかで配信停止になってしまいます。
 さて、依頼はどうするか?

 いつもの感想の書き方だと一応その辺りの展開も概略を書くのですが、本作でそれやろうとすると無茶苦茶長くなりそうなので省略して、本当に感想だけ書くことにします。

 主人公のナユタは、そしてクレーヴェルもそうなのですが、親しい人物をSAOで亡くしています。本作は、そのようにSAOが残した傷跡がテーマになっているように思います。
 クレーヴェルはまだ比較的わかりやすい。彼を救えなかった後悔、そのような犯罪を起こした茅場への怒り。
 しかし、ナユタは全く異る道を選んでいます。

 本作では、オリジナルである『ソードアート・オンライン』シリーズ、特に≪マザーズ・ロザリオ≫編でメディキュボイドとして提示されていた、VR技術のゲーム以外での活用法について更に踏み込んでいます。
 それは、例えばメディキュボイドがそうであったような平和的な道に限らず、犯罪のようなことまで想定しています。そして、このシリーズ全体の出発点にあるフルダイブ型のVRという技術にそれは必ずしも依存しておらず、つまりは、現実のVR技術とその比較的実現性の高い延長線上にあるものにも当てはまると言えます。

 そしてもう一つ。
 これは終章の更に最後の方になってやっと描かれるのですが、≪ザ・シード≫が一般の人にも扱えるようになったことで、本来の想定とは違う使用法が出てきます。……いや、そうでしょうか。これは茅場の意図が作中でもあまり描かれていないこともあり何とも言えず、彼は想定外の使用法の登場を想定していたのかも知れません。
 ともあれ、比喩的にはナユタは、VRMMOの世界に引き籠もっていたわけです。しかしそれは結果的には、傷付いた心の治療にもなっていた。
 これもフルダイブを使ったメディキュボイドと同じように、きちんと研究されれば医療や福祉に役立つ道があるのかも知れないという可能性を示唆しているように思います。まあ、ナユタの場合は運良くうまく行ったのだとも言えるわけですけど。
 そして、こちらもやはり、必ずしもフルダイブ型のVRに依存しているとも言えない。

 このような視点から見てみると、今、我々が住んでいる現実の世界でもVRの技術が商品化に結び付いたりしていますが、本作はその向かう道を見据えた、近未来を舞台にしていつつも現代よりもほんの一歩先を探る物語なのかも知れません。
 勿論、上記のようにマイナスの面も含めてです。

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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