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マンガ: 『この美術部には問題がある! 〜6』感想

 今期アニメが放送されていて、それ見て大変気に入ったので原作も読んでみました。

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 それでやっと気付いたんですけど、この原作者の人、以前別の作品(『サイトーくんは超能力者らしい』)読んでましたよ私。でも、レビューしたと思ってたらしてなかったですね。

 さて、この大した事件も起こらない地味ーな作品、なんでこんなに心地好いのかなと自分でもなんか不思議です。
 まあ、はっきりと言えることもいくつかあるんですけど。
 例えば、絵柄。アニメの絵柄もいいですが、原作のもっとスリムな(色んな意味で(笑))感じとか、あとどう表現したらいいのかわかりませんが、シンプルで素っ気ない無機質な線とか。
 また例えば、でも描いていることはどこかハートフルであったかいとか。典型的なのが、6巻に収録されている「37作品目 第1回クジ引き大会」のコレットさん。これは長くなるので、後で書くことにしましょう。
 更に例えば、人の関係の連なりとか。6巻でその環が閉じた萌香とかね。
 キリがないのでもう一つだけ挙げるとすると、ストーリーの「オチ」。基本的には一話完結なのでほぼ毎回一つのエピソードが完結しているわけですが、最後にちょっとだけ捻りがあるんですよね。

 作中、宇佐美さんが水瓶座生まれであることが明かされていますが(「20作品目」)、これまでに私の見たところ、こういう設定をする作家さんて星占い(西洋占星術)をちょっと意識していて、その占いで言うところの(本作であれば)水瓶座もしくは風の星座もしくは男性星座的なイメージや感覚を好むところがあると思います。あいや、内巻君はしし座らしいのでそっちかも知れませんけど。で、だからなのか登場人物が、多くの場合男性星座(もしくは女性星座)に偏っている。
 そういう好みは、漫画家なら描く線とかにもそういうことが表れていると思います。上記のような絵柄とか。また他にも、物語の構造とか構図にも出ていますよね。上記のように人の関係が巡り巡って閉じているとか。

 ちょっと話が逸れました。ここで、後回しにしていたくじ引き大会の話をしましょう。
 部活で宇佐美さんがいきなり、くじ引きを提案します。それぞれが絵に関するお題を紙に書いて箱に入れ、引いた人はそれを描かなければいけないというルールです。
 コレットさんは、誰かに似顔絵を描いて欲しくて「わたし」と書いたのですが、最後に残ったその札を自分で引くことになってしまいました。
 ところで、内巻君は宇佐美さんが書いた「落ちこむ人」というのを引いていて……という話です。
 ここで重要なのは、その続きが描かれていない、仄めかしているだけということです。言わぬが花、的な感性でしょうか。

 他にも、「20作品目」で謎の美少女転校生伊万莉さんが内巻君のクラスにやってきて彼との共通の趣味があったりして接近もするのですが、それで宇佐美さんに危機的な状況が発生するわけでもないし。
 物語の、情動の面での振れ幅がある一定範囲を越えないよう、コントロールしていますよね。
 ただ、そうであるからには宇佐美さんに劇的なハッピーエンドが来ることも多分(最終話が来ない内は)ないんでしょうけど(笑)。いやまあ、その最終話ですらそうなる保証もないわけですけど。

 結局、私がこの作品を好きなのは、これまでに挙げたようなことを全部引っくるめた、その「感じ」「雰囲気」なんでしょうね。だから、極めて感覚的な理由です。技巧に関することであっても、そのようにしようとする訳というのがある筈で、その根拠となる感性が近いということなのでしょう。

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Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

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