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せいじ: 日本の金の流れ

 今朝、いつものように讀賣新聞を読んでいたら、6月に還ってきたはやぶさの試料容器内の微粒子に、地球外のものである可能性のあるのが見つかったそうで。これから精密な分析のために、SPring-8やなんかを使うとか。
 SPring-8ですかぁ……。
 あれ、仕分け食らってるんですよね。
 仕分けのとき、なんと言われたか。

これ、日本の研究者がアメリカやフランスに行っても、タダで使えるわけですね。それだったらその、タダで使えるものなら、タダで使った方が。つまり、日本がなくても困らないんじゃないかと思うんですけど、それは、その、要するに、経済技術大国としてやっぱりそんなみっともないことはできないということなんでしょうか。

 日本の国内法では、乞食は犯罪ですけど。まあ、軽犯罪法違反なだけですが。

いつ収益が税金に頼らなくてもやっていけるという試算になりますか。

 大体、研究やなんかの世界で、採算を考えるバカがどこの世界にいますか。必要だけどカネにならない、民間ではできない、そういうのをやるために国の出番があるわけです。SPring-8について言えば、まさにこんなのは民間ではどうしようもないわけで。
 「必要だけど」の部分には確かに判断が必要ですが、長期的視点と広範囲に及ぶ知見がないといけません。仕分け人はこんなことも言ってたそうです。

すみません、ちょっと乱暴な質問して良いでしょうか。このSPring-8がなくなるとどうなるんでしょうか。

 ……その判断ができないなら、仕分けにかける意味が全然ないんだけど。
 要するに、金の卵には興味があるけど、ガチョウには興味がない、と。

 コンピュータの世界に、GCCというプログラム群があります。これは、GNU Compiler Collectionの略(昔は違いましたが)で、人が打ち込んだプログラムを実際に実行できる形式に変換してくれるものですが、無料で公開されています。これのお陰でどれだけの製品が産み出されたことか。こういうのは、実は一杯あります。
 この類は、それそのものがどれだけのカネになるかを考えてはいけないのです。
 そう言えば、MMD(MikuMikuDance)というプログラムがあります。3D動画製作ツールなんですけど、このプログラム、発表された当初、誰かが、これは詐欺だと言ってましたね。こんなプログラムを公開しておきながら代金の振込先が書いてない、「振り込めない詐欺」だ、と(笑)。
 この言葉は前からあったそうですが、このときに一気に有名になったとか。

●MMD使用例(全画面表示推奨)




 銀行って、お金を預かって運用して、その収益から一部を預けた人に利息として返す、そういう形態が一般的ですよね。
 その運用の時、まあ、企業に投資するとかが多いわけですけど。
 所謂ベンチャーとか、これから事業を始めるんでそのための資金が欲しいという場合に、「実績は?」とか聞くのってどうよ?
 昔は「不動産持ってる?」だったそうですけど。
 あと、代表者による事実上の無限責任を要求するとか。
 そこら辺は、説明を聞いた上で、自分で判断するものじゃないの? だって、経営者の方が成功を保証したら、それは詐欺ってもんですからね。
 聞くところによると、バブルのとき、事業の判断をする能力を失ってしまったとか。担保さえあればガンガン貸せー、みたいな雰囲気だったそうで。いちいち事業の内容を調べるようなことをしてる奴は要らん、と。

 経済ってのは、金が回って初めて成り立つもの。
 青砥藤綱の故事が有名ですよね。落とした銭10文を探すために、50文払って松明を買った、という話。それは、採算が合わない。でも、10文をそのままにしたらそれは失われてしまうわけですが、それがちゃんと見付けられれば10文も50文もちゃんと人を益するだろう、という考え方です。
 ところで、ここしばらく、最近の10年くらいかな? 日本人の賃金はどんどん下がっています。賃金下がる。使える金がない。商売が儲らない(売れないから安くする)。賃金が払えない。この悪循環をデフレスパイラルと呼ぶわけですが。
 賃金にならない分のお金はどこに行っているかというと、銀行に行ってます。今、預金総額が急激に増えています。
 個人は、そんなに増やしてない。
 企業が、一所懸命銀行にお金を預けているわけです。
 銀行が企業に投資して、企業はそれを元に事業を展開して儲けを出し、銀行に利子を支払う。それが普通。ところが今、企業は、投資を受けるのではなく、間接的にですが投資をする側に回っているわけです。

 これは推測ですが、企業はもう、銀行から金を借りるなんていう危険なことはしたくないのでは。
 欲しいときには貸してくれないし、それどころか、景気が悪くなると返せと言ってくる。
 金融ビッグバンのときのBIS規制や、小泉構造改革のときの不良債権処理で、どれだけの企業が潰されたか。黒字なのに資金を引き上げられて倒産した例も多かったようです。貸し剥がしなんて言葉も有名になりました。
 中小企業に対して、大企業と同じ基準で査定したからそんなことになったという話も聞きました。
 企業は無借金経営を目指す。それができないようなところにはそもそも銀行が金を貸さない。銀行の投資先は、まあ、国債くらい?
 そりゃー、金も回りませんわな。

 ベンチャーキャピタルとかも、なんか日本では銀行と同じことをしてるとか言う声が多くて、あまり役に立ってないようです。
 日本では金持ちって嫌われるものですが、ほんとの金持ちは、金を使います。金を使って、または投資をして、市場を刺激して、そこから儲けを産み出す。みんなが儲るから富が発生し、その上前をもらう。金がたまる。大金持ちになる。
 ところが、現代の日本でそういうことする人、いないですよね。儲けるときは他の人が損をする。ゼロサム。そのうち市場が行き詰まり、自分の儲け口もなくなってしまう。
 大金持ちにはなれないし、嫌われものです。
 これは、喩えてみれば、野山に出掛けて食べられる草や木の実を探すのと農業を始めるのとの違い、みたいなもんでしょうか。

 日本では、リストラと言ったら馘切りのことですよね。"Restructuring"がそんな意味に化けてしまう国ですから。
 中国への進出も、人件費をケチるため。上がってきたら内陸へ、それでも駄目ならベトナムとかへ? 最近、日本企業は中国では嫌われものだそうですね。金を払わないから。この春には暴動とかも起きたし。
 途上国が追い上げてきたとき、先端を突っ走って振り切ろうとせず、こちらも人件費を削って価格競争をしようとした。その辺りに、同じ思考回路が見えるようです。
 ライシュに言わせれば、「シンボリック・アナリスト」の集団にならなければいけなかったのに。
 まあ企業は、日本には人材がいないとか、そういう判断をした可能性もありますけどね。ライシュ流の方針で行くには教育が最重要なわけですが、文部省/文部科学省はどうもそういう気がなかったようですから。

 ただ、農業的なアプローチをしたとしても、果実だけもぎ取ろうとするのがいるんでねぇ。堆肥はばっちぃからやりたくない、とか。野菜工場みたいにしたいんですかね。
 具体的に言うと、ポップカルチャーの海外戦略のことです。
 工場で作るようなものを作って、一体どれだけの優位性が保てるというんでしょうね。

 まあ、そういうのに関して言えば、こんな意見の人もいますけど。

讀賣新聞 2010年10月1日 夕刊
「いやはや語辞典 クール・ジャパン 期待だけがヒートアップ」より

 日本の大衆文化が世界各地で歓迎され受容される状況はすでに1990年代にあった。私は『カラオケ・アニメが世界をめぐる』(1996年刊)を書いて、各国の生活文化への少なからぬ日本の影響を紹介した。
 日本文化は生活に楽しみとうるおいをもたらす国際貢献を果たしている。自信を持っていい。それが私の結論の一つであった。しかし同じ事態を観察して出される意見は、低級文化と否定するか、でなければソフト・パワーとか成長産業とか儲けにつなごうという視点ばかり。
 今年6月、経済産業省は省内に「クール・ジャパン室」を設置した。(略)いやはや……。いまごろ注目? そして、相変わらず成長戦略?

(国際日本文化研究センター教授・都市文化論 白幡洋三郎)

tag : 経済

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

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