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ラノベ: 『冴えない彼女の育てかた 9』の加藤について

 昨日この本の感想を書いたときに書き忘れたことがありました。

冴えない彼女の育てかた (9) (ファンタジア文庫)
丸戸 史明
KADOKAWA/富士見書房 (2015-11-20)
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 最初は、後で書き忘れたことに気づいて、でもまあいいかな大したことじゃないし、と思ってました。でも何だか段々気になってきて。というわけで感想の続きを書くことにしました。
 タイトルの通り加藤のことなのですが、まずは倫也と加藤のこのシーン。

「なぁ、加藤……」
「ん?」
「カツサンド食うか?」
「いらないよ食べかけなんか」
「お、おう……っ」

(p36)

 続いて、同じ二人によるこの本のラストシーン。

「ふぅ……なんか、色々と溜まったもの吐き出したら、急にお腹が空いてきたな」
「あ、じゃあ、下からなんか持って……」
「ううん、これもらうね、倫也くん」
「あ……」
 で、その時の加藤の行動には、幾重にも、重要イベントが絡まっていた。
 加藤があっさり口に運んだのは、俺の食べかけのサンドイッチ。
 加藤があっさり口にしたのは、ふたたびの“倫也くん”……

(p252)


 一つ目の方は、まあ当たり前の台詞です。……これが普通の女の子なら。
 でも、言っているのは加藤なんですよね。それを考えるとあの言い方や言葉の選び方は、かなりフラットでもニュートラルでもない、何かが剥き出しになった、いわば「らしくない」台詞であるわけです。
 この台詞は、倫也が加藤について、その本音が垣間見えた瞬間であると考えて水を向けた時に飛び出してきたものであり、つまりそういう状況だったわけです。

 対して後者は、事が取り敢えずは丸く収まった、加藤にしてみれば「もう、しょうがないなぁ」的な気分になったときの台詞です。

 で、これが普通の女の子、ただしラノベのヒロインという条件が付いた、そういう意味で普通の女の子が言ったのであれば、「デレた」と言っていい台詞です。しかしこの場合はそうではないでしょう。
 何故か。
 私がそうであって欲しくないと思うから(笑)。

 一つには、倫也による地の文にもあるように、それを食べること自体が一つのイベントであるわけですが、倫也がそう思うなら加藤も思っているわけで。とするとこれは、加藤が示した一つの幕引き、区切り、手打ちであると言えるでしょう。前に言ったことがちょっと大人気なかったと思ったのかも知れない。

 そしてもう一つ。
 私としては加藤に、ずっと、まあそうでなくともまだ当分は、フラットでニュートラルな存在であって欲しいわけです。何故なら、そういうところを気に入ったキャラだから。
 上記の「デレた」と言っていい台詞ではなかろうというのは、細かいことを言うと、デレていないことを示すものというのではなく、デレたことを示していないという意味です。
 九分九厘間違いないだろうけど、何か確信が持てない。倫也のことを特別に好きであることは確実だけど、もしかするとそれは恋愛感情ではなく一緒に死地を潜り抜けた戦友に対するようなものかも知れない。

 つまり、そういうどこか掴みきれないところが加藤というキャラの魅力であると私は考えているのです。少なくとも私にとっては。
 だからまあ、考えているというよりも感じているといったところでしょうか。

 仮にも(笑)主人公が「幾重にも、重要イベントが絡まっていた」とするシーンについて書き忘れるとは、不覚でした。

tag : ファンタジア文庫 丸戸史明

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

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