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マンガ: 『番長惑星』感想

 某所で懐かしいタイトルを目にして、つい読み直していた『番長惑星』。

番長惑星 1 (秋田文庫 5-46)
石ノ森 章太郎
秋田書店 (2011-04-08)
売り上げランキング: 554,948

 私が持っているのは少年チャンピオン・コミックス(裏表紙が水色)の版で、それでもあまりに何度も読んだのでボロボロになってしまって買い直したものです。
 ……それにしても、相変わらずこういうのがすぐに見つかる私の蔵書って(笑)。

 実は、この話でパラレルワールドという発想を知ったんですよね。いや、それ以前にもそういう作品に触れたことはあったのかも知れませんが、呼び方も含めてはっきりと認識したのはこれ。
 物語は、主人公の等々力竜(リュウ)がある日、多勢に無勢の喧嘩で撤退を決め込んだ時から始まります。近くにあったお稲荷さんの祠の後ろの大木に虚があることを知っていたので、そこに隠れようとしたのです。しかしそれは実は深い穴になっていて、落っこちてしまうわけです。
 幸い下には水が溜っていて怪我などはなかったのですが……上がってみたらそこは、同じようでちょっとずつ違う別の世界。
 友人の左巻ツトム、通称ハカセが謎解きをしてくれました。リュウは、パラレルワールドであるお隣の世界に移動してしまったのではないか。
 しかしそうすると、元々この世界にいたリュウは一体どこへ?
 実は今の彼は、二つの世界のリュウが重なってしまった存在だったのです。

 リュウが迷い込んだもう一つの世界は、暴力が礼賛されていたりして力が全ての殺伐とした所のようですが、そんな中にもちょっと暖かいエピソードもあったりして、微妙なバランスを保っています。

 そんなところから始まり、ひょんなことから巻き込まれる事件に世界の様々なナゾがどんどん絡んできます。UFO、マヤ族、宇宙人、モアイ、ロケットを操縦する人物のような絵が描かれた遺跡、バミューダ・トライアングル、そしてエジプトのピラミッド。
 人類の誕生にも絡んでくるそのナゾのカゲに潜む、通称シャドウの正体も、一旦はハカセにより「マヤ族…かれらが“[シャドウ]”です!!」と宣言されつつ、転校生のポルノちゃん(笑)により引っくり返されます。

 この作品の特に好きなところは、最終的な謎解きと、解決ではないにしても収束がとても皮肉な形で実現されたことと、もう一つ、最終話の郷愁と哀愁と、しかし完全には解決していない問題への危機感が入り交じった独特の雰囲気です。
 その最終話の雰囲気については何だか、以前レビューしたエロゲの『痕』がちょっと似ているなと思いました。

 ちょっと違う視点から本作のいいところをもう一つ指摘しておくと、全体の構成がとても綺麗にまとまっていますね。多分一年間くらいの週刊誌連載だったと思うんですが、最初から全部決めてあったような感じ。実際にどうだったのかは勿論、私にはわかりませんが。
 もう40年くらい前の作品なので、雑誌連載の仕方も今とはだいぶ違うでしょうし、そういう作り方もアリだったかも知れません。強いて言えば、第12話の「エピソード11 U・F・O(未確認飛行物体)」辺りから本格的に物語が動き始めているので、そこまでは予定した話に入っていいか判断する期間だったりするかも、などと思ったりもします。

 その後、本作で扱われたナゾも解明が進んでいるものもあり、今となっては若干古い部分も出てきていますが、それでも上で挙げたような良いと思っているところはやはり今でも良いと思います。
 あと、やっぱりポルノちゃんはいいね(笑)!

tag : 石ノ森章太郎

コメント

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No title

うわっ、懐かしい物を。
  と、いっても病院の待合室とか床屋で中途半端に揃ってるチャンピオンで見たのが最初で
全部読んだのは高校以降でしたけど。
  こういう風に話がつながっていたのか、と思ったのを覚えている。

 確かこれ、「リュウ」シリーズ三部作の第二部現代編なのだとある人から聞いた事があります。
 真実は分かりませんが。
 第一部「原始少年リュウ」で第三部が「リュウの道」だと。

 やっぱり今だとこう言われるかな、なんて思ったりします。
 「中二病要素満載の作品」って。
 まぁ70年代80年代のこの手の作品が少なからず現在中二病と呼ばれる作品のルーツだとは
思ってますけど。
 
 

Re: No title

>  確かこれ、「リュウ」シリーズ三部作の第二部現代編なのだとある人から聞いた事があります。
本文冒頭でリンクした石森プロのサイトにも書いてあるので、多分間違いないでしょう。
ただ、現代編である本作が発表の順番では三番目のようですが。

>  やっぱり今だとこう言われるかな、なんて思ったりします。
>  「中二病要素満載の作品」って。
そういえばリュウ達はまだ中学生、しかも受験生っぽくない。もしや中二(笑)?
って意味が違いますけど、扱っているネタ的にはあまり中二っぽくはないかもですね。イースター島のテツジンなんかは現代との隔絶が大きいので比較的近い感じですけど。
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水響俊二

Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

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