FC2ブログ

ラノベ: 『なれる!SE13 徹底指南?新人研修』感想

 これまでずっと、どこがSEなんだという万能超人ぶりを見せてきた工兵。その内社長にでもなるのかと思ったら、ついに神を越えてしまいましたね。

なれる!SE (13) 徹底指南?新人研修 (電撃文庫)
夏海公司
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015-08-08)
売り上げランキング: 316

 いやまあ、カモメさんが言っていたことを覆してしまったという、それだけのことなんですけど(笑)。それに、カモメさんも、そのまま放っておいたらという想定で言ったのかも知れないし。

 というわけで、今回工兵が挑んだ、というか押し付けられたのはなんと新人研修。勿論全部彼が教えるというわけじゃないですけど。さすがにね。
 でもまあ、いつものように切り抜けて、見事SE部とOS部に新キャラを加えることに成功(多分)し、物語の幅も拡がりそうですね。
 ……あれ? ちょっと話の次元がずれたかな?

 でも今回の話、読むのにものすご〜〜〜〜く時間がかかりました。ほんともう、休み休みじゃないと読めません。ちょっとでも疲れていると駄目ですね。それはもう、7巻以上でした。
 7巻は確かに大変な重たい話でしたが、それでもある意味悪役や敵役がはっきりしていたし、理不尽で巨大な相手(人に限らず)というのは悪役として扱うのにそう問題がない。しかし今回は相手が新人、新入社員ですから。
 それも、確かにしょーもないのもいなかったと言えませんが、単純にバカな青二才という相手ではないし。

 それにしてもスルガの社長って、いつもながら凄いですね。
 いやまあ、色々誇張されているのでブラック企業の社長っぽい印象ありますが、どんな時でも仕事は持ってくるし、これは工兵が異常なのかも知れませんが結局はこれまで全部切り抜けてきたし、あの会社、労務管理も何だかんだ真っ当にやっています。……比較的(笑)。
 そして今回の新人。
 物語の設定では採用は売り手市場の中、よくあれだけ集めました。それも、結構華やかな経歴の人物がいますよね。
 まあ、彼等も『なれる!SE』シリーズを読んで工兵に憧れてやってきたという意味では、その功績の一部は彼によるものかも知れませんが。
 あ、またちょっと次元がずれましたか(笑)。読んだものが違いますね。内容は同じですけど。

 で、今回はまたいつもにも増して『なれる!SE』というタイトルからずれている感じですね。単に職場がIT系だったというだけでさほど特化している個所がない。勿論、終盤は実際に新人、後にSE部とOS部に配属される二人が活躍するので、その辺りはいかにもですが。

 ところで、茶山が最初に客先に行ったときの「ご高説」。立華にか え れと言われてしまったアレ。何だか最近ITproで見る記事を思い出しました。
 これは、作者さんがアレに共感しているのか、それとも逆に含むところがあるのか、それとも全く関係ないか、はてさて。

 ごたごたが続き、茶山なんて神……じゃなくカモメさんに「あー、あれは辞めるねー」「二ヶ月以内かなぁ、もって」と言われてしまいましたが、工兵がそれを覆すきっかけをくれたのは、橋本課長でした。
 なんと、眼鏡のクールビューティーの姿のまま猫耳のカチューシャを装備するという荒業で工兵を元気づけてくれたのです! だから表紙は彼女なのか!!
 ……いや、ちゃんとしたアドバイスもくれましたけどね、勿論(笑)。

 結局、そのアドバイスを受けて、つまり新人達の「人」を見るようになって、工兵がうまく切り抜けたことがはっきりしたのが、新人達を連れての客先での彼のこんなモノローグでした。

「ところで桜坂さんは今日何しに来たんですか?」
 何よりの誉め言葉だと思った。


 そして、『なれる!SE』としての山場は終盤、茶山と箱崎が客先のシステムの脆弱性対応をステージング環境で実施する作業。でまあ、当然のごとく大きなポカをやらかしてしまうんですが、工兵と立華が大活躍。
 いや勿論、そのポカの対処というのもありますがそれはSEとしての仕事。今回彼等は新人教育をしているわけです。
 一緒に立ち会っていた梢が、工兵がミスのリカバリを新人にやらせようと言ったことに轟然と抗議していましたが、彼は、いかにもIT屋らしい、ですがまあ実際には一般的に言えることをしました。
 トラブル対応の作業を進めようと促す工兵にぽかーんの梢に、工兵はこう言ったわけです。

「新人に任せるんじゃないんですか?」
「任されたと思ってることが大事なんです。僕らは運用担当としてなすべきことをしましょう。システム運用に安定稼働以外の優先事項はありません。ですよね?」
 梢は呆れたように口を開けた。

 IT屋らしいというのはつまり、仮想化と同じ発想だからなんですけど。
 あとまあ、ちょっとした副作用もありましたが。

「本当に悪人ですね」
「愛想が尽きましたか」
「いいえ、惚れ直しました」

 でもやっぱり、SEとしては工兵よりも立華の方が格が上ということなのか、中盤マジギレしていた立華が既に手を回していたわけですが。

 それでも梢は梢で、クロージング(エピローグ)で見せ場がありましたが。OS部らしく、平時でのことですけど。
 箱崎が梢に、システムのメンテナンスが怖いと言ったら、それは正しい反応だ、恐怖に無自覚なのはダメだと指摘したのです。
 それはつまり、彼等はコマンド一つでネットワークを全断させたり膨大なデータを消せたりするからです。神経質なくらい手順を確認し、自分がやっていることの意味を考える。とても重要なことですね。
 その上で、「期待してるね」と声をかけていました。

 エピローグと言えば、工兵にも見せ場がありました。研修の締めくくりの挨拶をいきなり振られた時です。
 彼は、研修で学んだことはほとんど実務には役立たないと言い切りました。それは、土台となる基本の大切さを説くものでしたが、ここで上の二つに続きちょっと違う意味でのメタな話をすれば、学んだことから何を学ぶか意味でもあるかと思います。

 さて、今回は珍しくラストで、次の展開のヒントがはっきりと示されていますね。何と工兵、総務に絡むことになるらしいです。
 果たしてどんな活躍をするのかというのも勿論ありますが、そしてSEってのは結構何でも知ってないとというのもありますが、ほんとにもう、このシリーズのタイトルって……(笑)。

tag : 電撃文庫 夏海公司

コメント

非公開コメント

プロフィール

Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

最新記事
勝手広告その2
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
月別アーカイブ
アクセス解析中