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ラノベ: 『ゲーマーズ! 2 天道花憐と不意打ちハッピーエンド』感想

 ビッグクランチ→ビッグバン、みたいな?

ゲーマーズ! (2) 天道花憐と不意打ちハッピーエンド (富士見ファンタジア文庫)
葵 せきな
KADOKAWA/富士見書房 (2015-07-18)
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 いや何が言いたいかというとですね。
 1巻では、景太から始まって連鎖的に、それも数珠繋ぎみたいな綺麗なのじゃなく核分裂の連鎖反応みたいに、エピソードからエピソードへ連なって畳み掛けてくるような展開があったわけです。
 それがこの2巻では、最初オムニバス的な短編集なのかなと思うくらい、ぱらっぱらっと一見無関係で実は本当に大した関係のないエピソードが続いています。いやまあ実際、寄せ集めではあるんですけど。

 しかし今回は、最初疎らだったそれら同士が関係していると言うよりも、全てが最後の最後のイベント、一瞬の出来事へ向けて集中・収斂していくのです。まるでビッグクランチのように。
 しかも、そこにほんの僅かな齟齬があり、それがゆらぎとなってそのままビッグバンになだれ込む、みたいな構成になっています。
 ……いやまあ、物理学の世界の正統派な理論でそのように説明されているのかどうかよく知りませんが(笑)。

 その最後のイベントというのは、景太が花憐に「友達申請」を、それも昼休みの教室という公衆の面前で遂行するというものです。

 夜空に輝く星々のようにちらちら(まあ瞬くのは大気のせいですが)と発生していたイベントは、大体二つに収束していきます。景太と花憐に、です。

 花憐は、まあ1巻のときからそうでしたが、景太を強烈に意識しています。しかも今回は、ゲームでスランプに陥っているところで景太と「散歩」をして、そこで啓発され開眼し、……いや、調子は戻っても結果は出せないという奇妙な状態になっていますが(笑)。
 それに加え、まあ日常風景ではありますが告白されてごめんなさいしたんですけど、そのやり方を友人に批判され、色々考えてしまっています。

 景太は、花憐とお近づきになりたい。それで、恋愛シミュレーションゲーム『きんいろ小細工』(笑)なんぞやっています。
 その中に出てきて景太がメインヒロインと定めているのが、フラウ・ヘブンリー。花憐に似ているらしいのですが、何だか名前まで(笑)。ところが、肝心のフラウがどうしても攻略できない。何度、どう選択肢を工夫して告白しても、ごめんなさいされてしまう。調べたところ、他のプレイヤーはそう苦労しているわけでもないようなのに。
 花憐に「友達申請」、つまりお友達になってくださいと言う前に、最初は練習として始めたこのゲームを是非クリアしたい。そんな景太をヒロイン攻略成功に導いたのが、友人たちのメッセージでした。

 たとえ恋愛中だろうと、自分達以外の他者をぞんざいに扱っていい道理なんてない。当然だ。この世界は決して、二人だけで成り立っているわけじゃないのだから。
 ……それは、ぼっちだった僕には……とにかく友達を一人作ることに必死だった僕には、全くない発想だった。だからこそ、僕だけずっと、フラウが……周囲の人々全てを心から大事に思っている彼女が、攻略できなかったのだ。

 景太が苦心惨憺、何度も告白しては振られ、やっとエンディングに辿り着いたのが、まさに友達申請の前日でした。

 結局花憐は、景太の申し出に、

「はい、よろこんで」

と答えてくれました。めでたしめでたし。
 ここのところ、まるで用意していた言葉を反射的に口にしたようですが、実際にはそうではないでしょう。
 まず第一に、その直前まで花憐は、景太に何を言われるか不安に思っていたからです。むしろ、悲しくなることを言われるのではないかと脅えていたと言っていいくらいに。そして第二に、花憐は「素直な気持ちで」答えるのだと決意していたからです。
 そう考えれば、花憐が景太の言葉にこう答えたのは、本当にそう感じていた、つまりよろこんでいたからでしょう。
 だから、めでたしめでたしなのです。

 ただ、願掛けのように恋愛シミュレーションゲームをやり込み、また極度にテンパっていた景太が、一番大事な瞬間にちょっとした間違いをやらかしてしまって、「友達申請」はできなかったわけですけれども。
 今回の感想では省略しましたが実は周囲でも色々起きているし、3巻どうなんのこれ(笑)。

tag : 富士見ファンタジア文庫 葵せきな

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

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