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ラノベ: 『ロウきゅーぶ! 15』感想

 本編完結と言っていた13巻から早二年。……え?
 いや、本当に驚いちゃいました。そっか、あれからもう二年か。

ロウきゅーぶ! (15) (電撃文庫)
蒼山サグ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015-07-10)
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 それにしてもまったく、これを読むと自分の心の汚れというか穢れを実感してしまいます。例えば智花が「昴さんとしたくなってきちゃいました」と主語を省いて言ったりしたら、ついね(笑)。
 でも、難しい。この人の作品って変な風に受け止められる言葉が意図的に鏤められているものですが、この台詞はどっちなのか微妙に悩みます。智花にそういう役割を振るかなぁ。
 まあ、昴が

 こんなにも美しい存在、たとえ小学生だろうと手を出さずにはいられない!

などと宣っていたのは明らかにそれでしょうけど(笑)。

 さて、この15巻でどうやら本当におしまいのようですが、この話を一言で表すと、「蛇足」ってことになりましょうか。
 勿論これは、上記の婉曲的な表現と同じような性質のものですけど。それについては後述。

 物語は、二月のある日、昴と慧心女バスの6年生がうどんを食べに行ったところから始まります。
 そこの店主が食後に声をかけてきました。何でも、彼は慧心の試合を見て知っていて、また彼のうどん作りでの師匠が香川の方で小学校のミニバスのコーチなどを引き受ける程の人らしく。
 それでみんな興味を持ったのですが遠いのでなかなか……と言いつつまあこの流れで行けないわけもなく(笑)、ミホ姉と合わせて7人で香川まで。

 そこで出会った八栗ドレッドノータス。
 ……昴が小学生に苦手意識を持つ所なんて、初めて見た(笑)!

 ドレッドノータスには灯と佑奈という、智花とはだいぶ違った意味での超小学生級のプレイヤーがいて、昴をして危うく

 ──俺は小学生らしい小学生の方が好きです!

と言わせそうなくらい(笑)。
 またそのプレイも、体格も能力も抜群に優れている上に、ファウルトラップを駆使したりやる気もあるんだかないんだかわからないような、これまで本作ではあまり見なかったタイプですね。
 監督をしている例のうどん屋店主の師匠さんも、彼女達がなまじ能力があるだけにすぐに色々できるようになるものだから、成長する前に飽きてしまうのではないかと危惧しています。

 ところで、頑張って極めていく熱い展開を描いた後、最後にふっと力を抜くことを学ぶという話の流れは、ある意味定番ですね。古い話ですが、最後の最後で太極拳に敗れた空手家のアニメを思い出してしまいました。こういうのが好きなのは日本人の特徴かそれとも実は広く存在する嗜好か。
 ともあれ、監督で師匠の導きからそのヒントを得た昴はそれを慧心女バスに伝授し、最後は辛くも勝利したのでした。

 この、師匠の導きから云々というところが、この巻のネタ的部分なんですけどね(笑)。
 ドレッドノータスにどう立ち向かおうか昴が悩んでいるところに師匠が、気晴らしにうどんでも打ってみないかと声をかけてきます。そこで昴は、「受け止めて散らす」というところに着眼。
 次にやってきたのがひなた。
 昴は一体何を考えたか(笑)、ひなたに踏み付けてもらって(笑)、しかも裸足で(笑)、最後には顔までふみふみされ(笑)、でいきなり笑い出した(笑)かと思ったら、閃いてたわけです。
 ちなみにその時ひなたがタイツと一緒にぱんつも脱いじゃってたというおまけ付き。

 ところで、監督さんがうどん打ちを勧めたのは単に言葉通り気晴らしのためだったのですが、そこで何かを学ぼうとするところに昴の人間性が表れていますね。慧心のメンバーもそうですが、この物語の主要な人物は大体、昴自身も含め、彼が小学生に対し抱いているイメージを体現しているようなところがあります。

 さてそれでは、まあ既に少し書きかけてしまっていますが、感想をば。

 私はこの巻を読んでいて、ずっと感じていたことがあります。以前、それと同じようなことを感じたものについて感想を書いてます。それは、映画『けいおん!』の関連曲『おはよう、またあした』です。

 この曲は実際には劇場版作中では使われていません。
 歌詞で描かれている情景は、言ってみれば、日常です。アニメシリーズ二期に劇場版も作られ、大変盛り上がって綺麗に終わりました。ですが、まるで蛇足のように追加されている一曲が、彼女達の日常を描いているのです。
 『ロウきゅーぶ!』も同じように、13巻で綺麗に終了したわけですが、今回蛇足のように、バスケをやっている慧心のメンバーが描かれました。

 ……ああ、終わったわけじゃないんだ。
 今回、この15巻が書かれたことで、そんな風に思いました。勿論架空の人物ではあるのですが、ああ、彼等彼女等の日常はまだ続いているんだ、と感じたのです。

 あまりに綺麗に終わってしまう話は、確実に終わってしまう。しかし、そこに余計なものを加えることで、その世界や登場人物達の存在感・実在感が補強されるんですね。
 ついでにいうと、その「余計なもの」が始まりへの回帰だったりするところも、それを更に強めているように思います。つまり、(ほぼ)ラストシーンの昴と智花のデートです。

 などと考えながら最後にあとがきを読んだら、こんなことが書いてありました。

 慧心女バスのメンバーにとって、また、主人公長谷川昴にとって、一年の区切りは断じて『終わり』ではありません。彼らがバスケットボールと共に歩む人生はこれからも連綿と続いていくことでしょう。

 なるほど、という感じでした。
 それを示す意図を込めて書かれたのだとすれば、しっかり受け止めることができた、というところでしょうか。

tag : 電撃文庫 蒼山サグ

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

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