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創作観: 光琳・漫画・二次創作

 先日、こんな本を読みました。

竹と樹のマンガ文化論 (小学館新書)
竹宮 惠子 内田 樹
小学館
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 著者として名を連ねている竹宮惠子と内田樹の両氏の対談本です。この本の中で特に強調されていて、巻末の「対談を終えて」でも対談の核心として紹介しているのが、「マンガ=オープンソース論」です。

 これは、第二章(この本は全七章)の冒頭で内田氏から提唱されたもので、コンピュータのソフトウェアのオープンソースにも似た、マンガの手法/技術/技法/技巧、まあ本人はそんなに細かく言っていませんが、描き方についてはマンガ家はコピーライトを主張しない、だから加速度的に進化したのだ、という考え方です。「ソフトウェアにも似た」と言ったのは、通常あの世界でオープンソースと言う場合はプログラムのことだからです。
 まあ、この場合登場するのははどちらかというと、コピーライトよりパテントが近いような気がしないでもないですが。
 そして、そのような話から発展し、共同作業的なマインド、更には正に著作権に絡むような同人誌や海賊版の話にまで展開します。そして、「無償の読者の数を増やさなければ、有償読者の数も増えない」というところまで。

 まあ受け手の話については取り敢えずおくとして、作る側の方は一体「どこまで」がよしとされるのか。

 先日、NHK Eテレの『日曜美術館』で、「光琳は生きている~琳派400年・現代作家たちの挑戦~」と題して尾形光琳を特集していました。
 本放送は2015-04-05で、そのときぼんやり見ていたらちょっと気になることを言っている人がいたので、12日の再放送を録画しました。
 それは、光琳が俵屋宗達の風神雷神図を書き写した↓
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風神雷神図屏風 17世紀
俵屋宗達
nichibi_20150412_2.png
風神雷神図屏風 18世紀
尾形光琳
ことについて、現代美術作家の杉本博司氏が語っていたことです。
 ざっと文字起こしすると大体こんな感じです。

nichibi_20150412_3.png
「西洋的な文脈では、その真似をするっていうことは非常にいけないことだっていう風に思われますけども
nichibi_20150412_4.png
日本の場合にはその、巧く師匠の、その、えー至った画境というものを自分なりにこう受け継いで、
nichibi_20150412_5.png
それからまた自分のスタイルを発展していくというのが、ま、日本のその、えー芸能もそうですし、絵もそうですし、
nichibi_20150412_6.png
ま文化そのものの、あの質だと思いますね」


 この前段のナレーションでは、この言葉をこのように総括しています。

「光琳は、書き写すことで、宗達の筆だけでなく、 その精神まで学び取ろうとしたのです。 杉本はそこに、日本美術の神髄が垣間見えると言います」


 まず、このように「書き写す」ことから始まる文化、という結論が語られているのですが、その過程で「精神まで学び取る」「受け継いで」「自分のスタイルを発展していく」などといったことが行なわれているわけです。
 それがそういった文化の本質だし、それはつまり、元となる作品の本質を見るということでもあると思います。

 この言葉が気になったのは、このところ、先日のエントリなどにも表れていますが、二次創作のことが頭にあったからでしょう。
 しかし、この光琳についての話のようなことを所謂こういう文脈での「二次創作」に絡めると、偉大な先人とエロ同人作家を一緒にするなという声が、まるで聴こえてくるようです。

 数年前の都条例の話のときにも何度も書きましたが、どうにもそういう規制をしたがる人は考え方が「合理的」です。
 勿論、ここで鍵かっこで囲ったのもこれまでの主張に絡むことで、日本で言う「合理的」「合理化」などというのは近視眼的な思考停止であり、合理的であることと必ずしも一致しないからです。
 作品についても、「いいもの」だけあればいい、「いいものを作れる人」だけいればいい、あと上の話に絡めると、「有償(カネを払う)読者」だけいればいい、という「合理的」な考え方の人が多いようにしか思えないのですが、果たしてそれで文化は成立するのか?

 まあ端的に言うと、そのような人が、そんなのは必要でないと思うような有象無象が大量にいることで、「場」ができるわけです。

 杉本氏が文化そのものの質と表現したようなやり方、在り方は、歴史が作り上げた一つの合理的な(つまり理に適った)手法なのではないかと思いますし、それが続いたこともその合理性を証明しているように思います。
 現代の考え方でそれが正しいかどうか論じる前に、それが実積を伴っていることをまず認識すべきでしょう。例えば、著作権法がそもそも何のためにあるか(第一条)を考えるときなどに。

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

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