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アニメ: 2014秋アニメ感想(12.1) SAO2「マザーズ・ロザリオ」編終幕にあたって

 先週のアニメ感想別冊、ソードアート・オンラインIIについてです。
 始まるときに「2014秋アニメ感想(6.1) SAO2「マザーズ・ロザリオ」編開始にあたって」と題して書いたので、ちゃんと終わるときにも書かないと、ですね(笑)。

 それと、マザーズ・ロザリオ編はアスナの話とずっと言っていたのに最終話の感想はユウキの話になってしまったし、また、以前原作小説の「ファントム・バレット」編の感想でこの『ソードアート・オンライン』という作品の全体の構成について考察したように、私としてはここまでで一旦節目と見ているわけで、総括しておきたい。アリシゼーションは別フェーズですよねやはり。
 というわけなので、ちょっとこれまでの繰り返しになる部分もあるかと思いますが、そこはまあそういうことで。

 そんな本作ですが、登場人物の追い求めるものはほぼ一貫して、「強さ」でした。
 そのことで、一つ思い出したことがあります。以前、この作品で言うところの「強さ」について、一旦ゲームの中で強さを手にしそれを失ったときに、それでは自分にとっての強さとは何かを見つめ直すという流れになっているかな、と表現したことがありました。
 歌舞伎の女形の女性らしさというのを連想したりしたのですが、それで更に連想したのが、氷室冴子原作、藤田和子作画の漫画『ライジング!』です。少女歌劇の劇団で主人公は、一度男役となり、その後女役に転じることになります。それは指導者が意図してのことだったのですが、男役のクセが付いてしまって初めて、女性らしさというのを認識することになる、というものでした。

 まあそう関係のある話でもないんですが(笑)、ではアスナが見つめ直した末に見つけた自分なりの強さとは?

 キリトが「強い」と言ってくれた血盟騎士団の≪閃光≫アスナはもういないと悩んでいた明日奈は、ユウキと出会い、「ぶつかってみる」ことの必要性を学びました。
 色々としり込みしてしまう明日奈にとってはそれこそが必要だったことで、それで母親との確執が解消されることになります。
 その過程で明日奈は、自身について気付いたことがありました。

「自分のために走り続けるのだけが人生じゃない。誰かの幸せを、自分の幸せだと思えるような、そういう生き方だってあるんだって」


 思えば、ALOというVRMMORPG、つまりRole(役割)をPlayする(ここでは演じる)Game(SAOとは違い遊びの)の中で≪バーサクヒーラー≫アスナ(笑)になってしまった明日奈は、本質的にそういう人だったということなんでしょう。
 人にはやはりどうしても、得手不得手というものがあります。苦手なことをやっていくというのは、いくら努力しても成果も上がらないし、そもそも苦痛です。逆に言うと、そのような軛から解放されることは文字通りの解放であって、明日奈のような人物にとっては自身や自信を取り戻すことにもつながりましょう。

 上記のように、キリトが言った(とアスナが思った)意味で「強いアスナ」でいられないことに対する不安は、違う道を選んだことで、つまり「誰かを一生支えていくだけの覚悟」ができたことで、問題自体がふっとんでしまったということになりますね。
 それでは、キリトの心が離れていってしまうかもしれないと怖れる気持ちはどうなったのかという点が気になるのですが、それについてはきっと、こういうことなんでしょう。

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「この先未来がどうなるかはわからない。けど、アスナ。君はいつまでも一緒にいてほしい。俺はずっと一緒にいたい」
「うん。キリトくんが地球の裏側に行っても付いていくから」

 アニメ最終話の一シーンです。
 この台詞は多分、アリシゼーションのシリーズが始まって程ない頃、つまり9巻のp176のシーンをベースにしたのかな、などと思ったりしました。ともあれ、自分達は「世界最高のフォワードとバックアップ」(同p174)であるとして、付いていってしまえばいいじゃない、という境地(笑)に達したのではないかと。

 思えば、私流に言えばキリトの眼を通したアスナが描かれるプログレッシブシリーズの3巻の感想に書いた「齟齬」、つまり、アスナの考える強さとキリトの考える強さの食い違い、それによる軋みが、やっと解消された感じです。
 それはどういうことか。

 アスナはSAOに閉じ込められてから、かなり精神的にまいっていたわけですが、キリトと過ごす内にだいぶ落ち着いてきました。だからかも、つまりキリトはそういうアスナしか知らないからかも知れないし、そもそもまだ当時のキリトにとって強さとは剣技だったということなのかも知れませんが、キリトはプログレッシブ3巻の時点で、自分はアスナのためにはいつまでもコンビを組んでいるべきではないと考えています(p223)。
 アスナ自身はと言えば、キリトの考えるような強さはともかく、ちょっと何かあると、キリトがいないと眠れなくなったりするみたいなところがまだあります。
 だから、自分が役に立てたことでちょっと複雑な表情をみせたり、また、キリトが「君が充分に強くなって、俺が必要なくなる時まで」は一緒にいると言ったとき、笑みをみせたりしたのではないでしょうか。自分にはまだキリトが必要だ、だからまだ彼は一緒にいてくれる、と。

 アスナがキリトと袂を分かち、血盟騎士団に入団する経緯がどのようなものになるのか。それはよくわかりませんが、本当の意味でアスナが抱えている弱さ、それが解消されないままに二人は別の道を選ぶことになり、結局アスナは、ユウキと出会うまで遠回りしてしまった。
 今回、プログレッシブの3巻を読んでからアニメのマザーズ・ロザリオ編を見て、何となくそんな風な構造なんではないかと思えてきました。

 これも今回気付いたのですが、アスナがユウキと出会ったように、キリトも、これはずっと前のことになりますが、サチという人物と親しくなり、その死に直面しています。
 アスナはそれで、とにかく前だけを目指して突進するような生き方から離れ、キリトはそれで、まあ逆とは言いませんが自分が前に飛び出して仲間を守るような道に進むことになったのは、ちょっと面白い対比だと思います。
 結局は明日奈曰く「世界最高のフォワードとバックアップ」という形に落ち着いたことになりますが、やはり二人は、そのような性質の持ち主だったということでしょうか。

 キリトなんか、ソロプレイヤーとかいう割に結構周囲に人がいますしね。引っ張っていくというよりも付いてくるという感じで。
 ただその多くが「フラグ」なのはラノベの宿命か(笑)。

 アリシゼーションのシリーズでは出番が少ないアスナですが、どうやら16巻辺りでは久々に活躍してくれそうです。
 ユウキと出会ったことで彼女がどのように変ったのか、それがどのように描かれるのか、期待したいですね。

tag : アニメ 電撃文庫 川原礫

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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