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おカネ: 日本経済、もうダメかもわからんね

 日経BPの記事で、興味深い解説を見掛けました。

 この記事のうち、消費税増税の後の落ち込みの大きさについての話です。どの辺りが興味深いかというと、実際の下落分だけを見るのではなく、トレンド成長率も見込もうという発想。つまり、その時代は大体このくらいの成長率、という状況から、何もなければこのくらいになっていた筈という状態を想定し、そこからの下落幅を見るというものです。
 たとえば、消費税導入時(1989年)なら、80年代は大体年率4.3%、四半期なら約1.1%(この世界では四半期は4で割って求めるらしい)。だから、反動減の-1.3%は、トレンド成長率を考慮すると、実態としては-2.4%だったということです。

 そういうことを考えると、2014年の落ち込みは、1997年の落ち込みよりは大きいが、消費税導入時よりは小さいと言える、という話。

 ここで私は、一つの簡単な計算をしてみました。トレンド成長率を考慮した落ち込みは、トレンド成長率、つまりその時代の成長力というか、そういうものをどのくらい毀損したことになるのか、と。つまり、落ち込みがトレンド成長率に比してどのくらい大きいのかということです。
 表にしてみます。
 1989年1997年2014年
(A) 反動減-1.3%-0.9%-1.8%
(B) トレンド成長率1.1%0.38%0.35%
(C) 実態としての落ち込み (=(A)-(B))-2.4%-1.3%-2.15%
(D) 成長毀損率 (=(C)/(B))-220%-340%-610%
 左にある各タイトルは適当に付けたものです。また、(D)の数値は10未満を四捨五入しました。

 まあ、ちょっと計算してみた、というだけの話ですけど(笑)。

 以前、この4月の増税の影響を含め、今の経済状況をどう見るかということについて、個人が名前を出して示している分析は比較的悲観的で、それが公人、団体(新聞社等)になると段々楽観的になっているな、という感想を書いたことがあります。
 それは多分、自分の名前を出していて外れると将来困るというのがあるから、というのがあろうかと推測しましたが、また、公人が言うことは実体に影響するというのもあるでしょう。
 ところが最近は、新聞等でもだいぶ状況が変わってきたようです。
 そんな辺りで、実はかなりアレな状態にあるんではないでしょうかね、日本経済。

 実際、アベノミクスとか称する政策群に何か期待できるものがあるとは思っていませんでしたし、また実際に消費税率を上げたときにはそれまでに何か効果があったとしてもチャラになるとは思っていました。
 しかし、実際に経済を動かすのは極論すると人々の「期待」であり「希望」であるので、みんなが信じるとそうなってしまうという部分も大きく、止まっていたお金が流れ始めれば、企業が溜め込もうが(今は企業が貯蓄の主体)政府が消費税を上げようが(消費税はお金の流れをせき止める極めて効率的な手段)なんとかなる可能性はあったのですが、どうやらない袖は振れなかったようです。

 そんなわけで扇情的なタイトルを付けてみたわけですが(笑)。

 そもそも、色々な宗教用語が飛び交っていますよね。
 円安でうまく行くわけがないというのは、「下請」というキーワードを提示すればわかった筈なのに。まあ、その辺りについても庶民は、円安=購買力低下って発想でわかっていたと思うんですけど。別に輸出なんて日本の経済ではそんなに大きくないんだし。いや、円安になっても全然増えなかったのはちょっと個人的には悪い方に想定外でしたが。こんだけ悲観的だったのに(笑)。
 株高にしても、短期的に見ればそんなのは買った人から売った人にカネが流れただけの話。海外かも知れない。
 賃金? 業績上がる前に上げる企業があるわけがない。いやまあ、貯金するのなら株主に戻すか従業員に払えってのが普通の考え方ですが、そこは日本の企業ですから。賃金については、政府の強請りにも効果はなかったようです。そういうところだけ真っ当ってのもたちが悪いですね。

 なんでここまでダメなのか。

 まず、ここ四半世紀の経済政策を見てみると、諸外国から何度言われようとも "too little, too late" の方針を貫き通してきた。兵力の逐次投入です。また、何かをする時には必ずそれを打ち消す政策も打ってきた。それに、売り上げが落ち込んで利益(税収)が減れば値段を上げれば(増税)いい、みたいな謎めいた考え方だった。
 また、政策を助言する者(有識者(笑))も、木に竹を接ぐようなことしか言ってこなかった。つまり、「現状」がどうであろうと構わず、それと正反対の状況のために考えられた理論を当てはめようとした。
 そして、民。
 新興国が台頭してきたら、わざわざその土俵に降りて行って対抗するとか一体どんだけ……? これは「人」の話でありこれまでに何度も糾弾してきたことではありますが、つまり、人にカネを払いたくなければそうする以外なかったということでしょう。
 後は、IT〜ICTですか。

 以前にもこの比喩は使ったことがありますが、ITは生物の進化で言えば、人間の登場に相当すると思います。巨大でスカスカの大脳を持つ、つまりプログラマブルな生物の出現です。
 日本の電機、そしてユーザも、大脳というプログラマブルな機構を特長とする生物の、まさにその部分の価値を認めなかった。
 その比喩を更に押し進めると、通信できるようになったことは言葉や文字の発明、Webは活版印刷くらいのインパクトでしょうか。本質的な類似点という意味ではそう近くはないですけど、それによる普及、商用利用への圧力といった点では大きいでしょう。
 また、人間が環境に与えた影響というのも、ITの情報産業以外の業種への影響を考えると似ている。
 まあ、私がITを重要視することには、以前はその業界にいたというバイアスもあるかも知れませんけど。

 そのことをずっと理解していなかったのは、所謂先進国では日本くらいではないでしょうか。上記の「人」の軽視はIT/ICTの不理解と多分本質的に同根です。
 そして多分、今でも理解していないと思われます。一例を挙げると、ソニーがハイレゾなどという下らないことをやっていることとか。

 という風に、考えていることと意味が違ってしまう表現をするのは私の文体と言ってもいいくらいですが(笑)、ではハイレゾの何が腐っているのか。
 それはつまり、ハイレゾデータの再生機器を作りはしても、肝心のデータの配信に全くやる気が見えないところです。再生機など、端末、つまりはシステムの末端に過ぎないのに。もちろん、人とのI/Fが重要なのは確かなんですけど。

 過去にちゃんと例があるというのに、歴史から学ばないんでしょうかね。iPodやiTMS(当時)を作ったAppleという例が。あの、過去の契約なんぞ反故にしてしまうようなえげつなさまで真似しろとは言いませんが、しかし、そのくらいしないと不可能なのかも知れません。
 日本で言えば、著作権法や権利者をどうにかするくらいの気概なしに、うまく行くわけがない。実際、今売られているハイレゾデータなんて、メーターの付いていない欠陥車みたいなものなのに。いきなり最初からは無理というのは作る側の事情で、それを何とかしてから発表するくらいでないと誰も見向きもしない。
 何故なら、今のままではハイレゾは今あるものの延長にすぎないからです。

 いや、一例を挙げるだけのことにちょっとのめり込みすぎましたが、言いたいことは何かというと、イノベーションがどうこう以前に、やろうとしていることの全体像というのを見ていますか?ということなんですけど。政策にしても製品開発にしても。欧米で失敗して反省し是正しようとしているようなことを周回遅れで導入しようとするのも。
 全体像を見るということは、仕組みを意識するということでもあります。結局、それができないからできない、ということでしょうか。
 あとは、もう何度書いたかわからないくらいですが、形のないものを軽視するのはダメだってことです。勿論、モノはどうでもいいのかというとそうではないんですけど。それこそ上の話ではないですが、何か指摘するにしても対象によって違ってくるわけで。
 でも考えてみると、これも仕組みを意識することと同じですね。どちらがより本質的でしょう。

 アタマのいい人は沢山いる筈なので、そこんところに気をつけると何か出てきそうに思うんですけど、さて。

コメント

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No title

  小さすぎる遅すぎる

  確かにずっと言われています。
  なんで大規模な構造改革を行い、規制緩和による新規産業の育成を行わないか。
  昔読んだ「中坊林太郎」という漫画の中でも日本の総理がアメリカ大統領に
  これを言われて心の中でこうつぶやいていた。
  「それじゃ我々が利権にあずかれないじゃないか」

  この漫画の頃から変わってない気がする。

  「お前の政策は既に死んでいる。ついでに政権も」
  「あべしっ」(安倍だけに)
  ってなっちゃうのかなぁ。
  閣僚が金と女で突っ込まれているし。
  
   
 

Re: No title

>   なんで大規模な構造改革を行い、規制緩和による新規産業の育成を行わないか。
構造改革規制緩和がどうかは取り敢えず措くとして。
前に進む前に、まず銀行の信用をどうにかできないものでしょうか。「金貸し」としての銀行の、です。
それが信用できなからどこも自分で溜め込んでおくしかないのではないでしょうか。いつか使うときのためには。

>   「それじゃ我々が利権にあずかれないじゃないか」
まあ、例えば総理大臣が100億くらいくすねたとして、それで国の経済が蘇ったら安いものですけどね。
投資するとか、損して得取れとか、そういう能力を原理的に持ち得ない者(役人)が力を持っていますからね。
だから、単年度会計でどこかで使ったらどこかを削る。状況に応じて全体で何かに注力するような行動を取るということは不可能だし。
経理部門が強い企業は伸びない、というのと同じなのかも。
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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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