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ラノベ: 『エロマンガ先生3 妹と妖精の島』感想

 なんだか、夢のような作品でしたね。

エロマンガ先生 (3) 妹と妖精の島 (電撃文庫)エロマンガ先生 (3) 妹と妖精の島 (電撃文庫)
(2014/10/10)
伏見つかさ

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 夢のような、というのは、夢に見た(≒望んでいた、理想の)という意味ではなく、……いやまあそれがないとは言いませんが(笑)、夢の中のような(≒幻想的)という意味です。多分、中盤に出てくる『エルフの森』のイメージのせいでしょうけど。

 さて、今回の話は予告にも帯にもあるように、待望の水着回です。紗霧を除く主要メンバーが、エルフの家の別荘がある南の島へと赴きます。でも紗霧の水着シーンもあります。
 エルフに誘われても、美少女の水着が見られるというのに妹と離れたくないとダダをこねるラノベ主人公(笑)。まあ、結局行くことになりましたが。

 あとがきによると、この巻で『第一部完結』だそうです。
 なんだかそれらしく、これまでの色々がぱーっと花咲いたような感じです。それも、舞台がが穏やかな南の島だったり、冒頭述べたようにエルフがマサムネを招いた『エルフの森』が幻想的だったりするせいなのか、何だか意外と、どたばたしながらもどこかしめやかな感じです。

 エルフはマサムネに、自分の父が母にプロポーズし(て断られ(笑))た場所で、「真名」を告げてプロポーズを要請するし。
 ムラマサ先輩は、マサムネが彼女のために書き下した小説を読んで夢が叶ってしまい、「ひとりでは絶対に叶えられない」新しい夢を見つけてしまうし。
 マサムネは、一〇〇点満点中一〇〇〇〇〇〇点くらい取れる小説を書く自分のやり方を見つけたし。
 そして、正宗と紗霧は、一緒に本を作ることができました。
 そういった、それぞれの持っていた何かが静かな喜びとともに結実する、そんな話で、まさにこのような舞台にふさわしい一つの到達点であり、またこのような希望に満ちた出発にふさわしい舞台が選ばれたと思います。

 とはいえ、やはりこの物語は『エロマンガ先生』であり、エルフは浜辺で仰向けで日焼け止めを塗れと言ってくるし(しかも水着の胸元の紐をほどいて)、王様ゲームでネットの向うのエロマンガ先生がムラマサ先輩に服を脱げと言ったり、抵抗するのでどんなぱんつはいているのか教えろとと命令を変えても答えないので理由を当てちゃったり、まあ色々ありました(笑)。
 しかし、そんなお楽しみがあってもやはり一番印象的なのは『エルフの森』でしたね。

 ところで、そこでエルフはマサムネにこう言いました。

「写真は厳禁よ。目で見て、覚えていきなさい」

 まあ、大切な場所だから写真撮影禁止、という解釈も可能と言えば可能ですが。
 しかし、やはり違いますよね。だってあのエルフなんだから。多分、色々な意味があるでしょう。小説家なんだからどう表現すべきかを考えるネタにしろというのもあるかも知れない。
 私が思いつく限り最も「らしい」のは、場景そのものよりも、ここで感じたことこそが本当なのだ、ということでしょうか。

 この作品、言葉の解釈をするのが楽しいです。必ずしも謎解きのような知性的なゲームというわけでなく、つまりその先にある何かに辿り着くことではなく、探ること自体が楽しいという感じ。
 例えば、正宗が紗霧に「家族が欲しい」と言い、夢に向かって前進したのかなと言ったとき、紗霧はこう答えました。

「すっごく遠ざかった」

 否定的な表現ですが、遠ざかったというのは距離の広がりは意味しても、必ずしも方向が違っていることを意味しません。とするとこれは、家族にはなれるけれども、一気に紗霧が妹になるのに比べ、段階を経る必要が生じた、という風に受け止めることができます。
 つまり、家族になることを前提とした特定の関係になりつつある、自分はそのつもりだ、と想いを伝えているように思えてきます。

 そして、正宗。
 彼は紗霧に対する気持ちを既にはっきりと伝えていますが……逆にそれは疑わしい。何しろこの作者さん、一人称の主人公がずっとモノローグでさえ気持ちを隠すような作品書いてますから(笑)。
 本当の気持ちは、実は……?

 ところで、次巻のサブタイトルは「エロマンガ先生VSエロマンガ先生G[グレート]」の予定だそうですが(まだ仮)、今回最後に、紗霧の他にエロマンガ先生を自称する人物が登場しますからね。
 あと、今回南の島へ向かうきっかけとなった『ラノベ天下一武闘会』の打ち上げを企画した同業のシドー(獅童国光)も、何だかこれだけではなさそうな感じですし。
 さあ、そうなるんでしょうか。

 などと書き終えてみると、この感想自体もなんだか夢の中みたいな曖昧模糊とした感じになってしまいました。

P.S.
 この本、読むのにどういうわけか二日もかかりました。正確には土曜から月曜なんですが土曜はあまり時間が取れなかったので実質二日。日月は台風が来そうだったのでほぼずっと家にいてごろごろしてたというのに。
 ちょっと読んでは別のことをという感じで二日、だったのですが、つまらなくてすぐ飽きて続かなかったというわけではなく、逆に一度に読むのが勿体なくてたまにストップをかけたというわけでもなく。
 どうしてなのかなんだかよくわかりません。
 楽しめたことは確かなのですが。

tag : 電撃文庫 伏見つかさ

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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