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ラノベ: 『エロマンガ先生2 妹と世界で一番面白い小説』感想

 人は一体、どこまで残酷になれるのでしょうか。

エロマンガ先生 (2) 妹と世界で一番面白い小説 (電撃文庫)エロマンガ先生 (2) 妹と世界で一番面白い小説 (電撃文庫)
(2014/05/10)
伏見つかさ

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 だって、マリみて十巻(『レイニーブルー』)までしか売らないと宣言するとか(笑)。

 雨が降る。
 雨が降る。
 こんなはずじゃなかったのに。

 ここまでで一体どうしろと!

 いくらめぐみがライトノベルをキモオタ小説と呼んだからって、智恵のこの所行はあんまりですね(笑)。結局めぐみが買ったのは他のでしたが、そもそも智恵が勧めたのは完結していないのばかり。
 いやほんと、『学校を出よう!』とかどうなってんすかね。

 さて、前の巻のラストで小説家らしい(?)迂遠な方法ではありますが紗霧に告白し、あっさりと振られた正宗。今は紗霧とは、一つの共通の夢を追う間柄になっています。
 ただ、変な誤解をされないよう、断られたことはちゃんとわかっている、と言っても怒らせるばかりで、色々戸惑ってはいるようですが(笑)。

 今回は、その二人の夢の実現に向けて動き出すことになります。
 具体的には、前に書いたアレな小説を元にちゃんと公表できるものを書く。で、それを確実に出版してもらうために、訴求力のある企画書を作らなければいけない。
 そんなこんなで苦闘する二人、プラス山田エルフのドタバタは中々に微笑ましいです(笑)。

 ところで、そんな中で、彼らの家庭環境と言うか親族関係みたいなものも少し見えてきます。
 例えば、紗霧の母親。大きくなった紗霧に着せるためにえっちな服を買ってくれるような人だったようです。いや、もしかすると大きくなる前の服にもえっちなのがあった可能性も否定できませんが。
 そしてその人自身の描写については、正宗の言葉を借りましょう。

「まるでおまえがちょっぴり大人になったような、超美少女だったあの人が? 清楚で優しくていつもニコニコ笑っていた、あの女神のようだった母さんが……? こ、こここ、この、えっちな服を買ってくれたの? ローティーンの娘に?」

 ローティーンではあっても娘がいるような人が超美少女とは。それも、彼の口振りからすると、昨今の風潮(一体何歳まで「女子」なんだよ!)とは無関係のようですし。うーむ。
 それに、叔母さんというのも、「綺麗で若い方」と表現されていましたし。
 一体どういう家系なんでしょう。もしや紗霧って、世が世なら学園都市で活躍できたかも?

 で、その叔母さんとの約束で、正宗は『いまの生活』を続けるために小説家の仕事で実績を見せなければいけないのです。ところが、苦難の末でき上がった、マサムネとエロマンガ先生の共同作業の結実たる企画書は、出版の約束はもらえたものの、出版枠が埋ってしまったために一年後ということに。
 確保されていた筈の出版枠が埋ってしまった原因が、今回の騒動の中心人物、人気作家の千寿ムラマサです。

 さて。
 冒頭で悪魔……じゃなく書店の看板娘の仕打ちを紹介しましたが、実はこれ、この第二巻の主題に直結しているといっていい話なんですね。
 つまり、そんな作品に魅入られてしまい、続きを求めても求めても満たされず、それなら自分で書いてしまえ、と思った人、それがムラマサだったのです。

 前の感想で、マサムネとエルフとは随分タイプの違う作家であり、仕事の仕方も仕事に対する考え方も大きく異なっているという点について書きました。
 そして、まあエルフの言うことも確かだと思うのですが、それを結論とした風にも思えませんでした。
 今回登場した、エルフをも遥かに上回る売れっ子作家であるムラマサは、これまた違うタイプの作家です。

 彼女は、……そう彼なんですが。
 ムラマサは、売れてるかとかどうとか、そういうこと、つまり自分の書いたものがどうなったのかなどについては一切関心がありません。

「小説というのは、自分で読むために書くものだろう。面白い本文さえあれば、名前なんてどうでもいいじゃないか」

「私は小説を書くだけだ。あとは知らない。興味もない」

「私がプロデビューしたのは成り行きでしかないし、自分が書いた小説が出版されようが、されまいが、実のところ、どっちでもいいんだ。私の書いたものを面白いと読んでくれる人たちがいてくれるのは、とてもいいことだと思うがね。そのくらいだ。『一日中小説を書いていても家族にうるさく言われなくなるよ』──そんな文句で説得されたのが、最終的な、デビューのきっかけだったかな」


 まあ、そんな彼女がアツくなる原因となるような小説があるとするならば、そして彼女の強い意志が向けられるのがマサムネの小説であるならば、何があったのかは察しがつこうというものです。
 そして、相変わらずのエルフの慧眼、という感じですが、今回も何もかも見通していました。乗り込んできたムラマサに対し、こう言いました。

「『今日のあんた』は、マサムネじゃなくて、『わたしたち』に喧嘩を売ってるんだから」

 この『わたしたち』とは、エルフと、あと紗霧のことです。

 ところで、上記のムラマサの言葉を聞いたときに、マサムネが「努力」というものの意味合いについての意見を述べていましたが、この一節は興味深いですね。
 よく、天才も努力していると言ったり、努力できる人が天才なのだと言ったりしますが、私としては、あれを「努力」と言っていいのか常々疑問だったので。

 まあそれはおいといて。
 そんなわけで、実は紗霧やエルフ(多分)に続いてムラマサもフラグが立ったわけですけど、ムラマサはここでもまたタイプが違っており、……つまり、フラグの回収まで話が進んでしまいました。
 おいおい(笑)。

おまけ1:
 とまあ、こんな話の感想をこんな風に書きながら、物語(ストーリーの展開とか人物とか)の構造についてちょろっと思いました。
 智恵の鬼畜な言動(まあ正宗も『パラソルをさして』を抜いて貸してやろうかなどということを言ったりしましたが)と、メインの展開との関係とか、こういう流れを見たりしていると、なんとなく、タイミングチャートとか思い出してしまうんですよね。リンク先のWikipediaにある図にはありませんが、この信号が落ちたのを受けてこちらが、みたいなのを矢印で示したりしてるのを。

おまけ2:
 p297にこういうやり取りがあります。

「夢を語るときは、笑うものだからな」
 俺の小説に出てくるフレーズだった。
「あっそ」

 ここのところ、昔小説で使ったけどどれだったか、みたいにすると面白かったと思うんですよね。
 で、それが「真の処女作」であるアレだった、とか(笑)。

おまけ3:
 この第二巻のサブタイトル、妹と一緒に世界で一番面白い小説を書く、ということかと一瞬思いましたが、違うんですよねきっと。

tag : 電撃文庫 伏見つかさ

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
 

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