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ラノベ: 『機巧少女は傷つかない 12』感想

 この話、メインヒロインは硝子さんてことでいいんですよね?

機巧少女は傷つかない12 Facing 機巧少女は傷つかない12 Facing "Master's Doll" (MF文庫J)
(2013/09/21)
海冬 レイジ

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 アニメを見て読み始めて、やっと原作の最新刊に追い付いた、と思ったら今月13巻が出る予定のようですが。

 物語は一つの佳境を迎え、大きな山を越えようとした辺りで大きな秘密が明かされたところです。しかし、天全の周辺についてはまだ殆んど謎なので、全体の流れの中ではまだまだ道半ば、という感じでしょうか。
 それにしてもこの話、まあラノベにはありがちなこととは言え、女の子過多(笑)。もう数えるのも面倒なくらい。
 それでも私は、中からついメインヒロインを選んでしまう習慣があるわけですが、そういうときにB……年嵩……年長者を意識するのは私には珍しいことです。

 ただ、ラノベ的ヒロインとして、というのとはちょっと違いますね。確かに、数多登場する女の子の内では珍しく、というか唯一と言っていいくらい雷真が「意識している」女性であるとは思いますが、かと言って恋愛要素的な意味ではあまりマッチしている気がしません。
 そういう観点からの選択であれば、シャル辺りがいいのではないでしょうかね。

 では何故硝子さんなのか。

 12巻では、彼女の過去、最初の記憶から現在までが綴られます。もちろん飛び飛びではありますが。
 そして、彼女が何であるのか、ということもです。

 硝子さんの師である先代の花柳斎は、彼女が生まれたときからそこにいた人であり、有能ではあってもどことなく失意の人という印象を与える人物で、生活もどこか乱れている感じでした。
 そんな彼を慕うまだ幼い硝子さん。別れ、そして再会。

 そのあまり幸せそうに見えない再会もしかし、彼女が求め続けていたものをもたらすものであったと思います。花柳斎から教えを受け、技術を習得していく硝子さん。ですが、軍の思惑に巻き込まれ、最終的には花柳斎は殺害され、名を受け継いだ花柳斎硝子はその巧みの技で現在の立ち位置に至るのです。

 そんな硝子さんの過去の話と平行して、12巻では現在の彼女の動向も記されます。
 そして、その身を賭しての行動をいつものように邪魔した(笑)のが雷真だったわけですね。

 かくして、硝子の計画はあっけなくついえた。
「坊や……自分が何をしたかわかっている? それは本当に、最期の……手立て」
「最期なら、なおさら認めるわけにはいかねえよ」

 要するに、いつものフラグ立てパターンというかなんというか(笑)。

 今回、上記のように考えつつも硝子さんを特別な人物と考えるようになった理由は、結局のところ、ラストで明かされた彼女の素姓にあります。思えば、過去の話の最初にこんな描写がありました。

 最初の記憶は、ずいぶんとおぼろげだ。
 男は疲労で落ちくぼんだ眼窩の奥から、ぎらつく瞳を向けていた。
「わかるか、俺が?」

 SFなどでおなじみのシーンですね。「作られた」ものが目覚めたときに作者が語りかける、そんな情景です。
 今回硝子さんは雷真に、その裸体をさらしました。
 腰骨の上あたりには、墨で書いたような銘。

 そこには、「花柳斎」とありました。

 先代の花柳斎は、ついに「人間」を作ったのです。それが、硝子さんでした。
 本作ではこの後、タイトルの通り「マシンドール」に迫っていくことになりましょう。そんな中、その素姓、負っているもの、役割、そして雷真との関わりを見るに、主人公の雷真から見た世界の最も核となる部分であり、目指すところを指し示す存在でもある、そういった位置付けとして硝子さんが在り続けることになりそうな感じです。
 単なる人生の伴侶とも違い、求める先にあるものとも違うその存在は、図に対する地のように物語を支えていくことになりましょう。

 冒頭の一言は、そんな意味を込めて書いてみました。

おまけ:
 本文p200より。

『ええーっ!?』
 双子の声が裏返った。
「危ないよシャル!」「もう魔力がないくせに!」「上げ底なんだよ!?」
「宇宙の塵になりたいの!? 偽乳盛りも関係ない! 私は女王陛下から一角獣の紋章を賜ったブリュー伯爵家のシャルロット──困難を前にして退けないわよ!」

(強調等は引用者による)

 もう、最高ですねシャル。
 普通の意味ではやっぱりメインはシャルだね!

tag : MF文庫J 海冬レイジ

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Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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