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ラノベ: 『なれる!SE11 絶対?管理職宣言』感想

 七隈さんて誰?
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(2013/12/10)
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 という11巻最大の謎はとりあえず後回しにして、もう一つこちらは恒例の、「これのどこが『なれる!SE』ですか?」という疑問というか突っ込みをしておきます。今回も有効です。

 それにしてもこれ、金曜の帰りに読み始めたのは失敗でした。途中で疲れ果ててしまって……。結局週末以降は他の本を読んだり(うち一冊は明日レビュー公開予定)その他してました。
 まあ、このシリーズはどれも、途中で難関がある構成になっていますけどね。大変だったけど、レイヤー2(つまり第二章)を乗り越えれば後は急転回(いい方に)ですから。そういう意味では、7巻と比べればずっといいです。

 では今回工兵は何をしたのかというと、なんと、スルガシステムがまさかの企業買収!です。零細ですけど。で、工兵が部長代理としてマネジメントのお手伝いをする……予定が肝心の藤崎さんが例によって出張で、結局事実上工兵が責任者になってしまいました。
 その買収されグループとなったデジタル・ヴィレッジ社、通称DV社ですが、何やらみんな、何というのがいいのか、覇気がないというか……あまりに何でもやらされてそもそも何をやっているのかよくわからない。

 いや、彼ら別にやる気がないわけじゃない。それに、いましたいましたよ例によって銀髪美少女が。
 まあ彼女も大学出てる社会人なんで少女と言っていいのかという問題はあるかも知れませんが、昨今ではいくつになっても女子でいいらしいので(笑)。

 とそんな話はおいといて。
 どうにも掴み所がないのは結局、DV社は実際のところ、すでに企業として成立していないようなものなんですよね。業務はどうやっても赤字になることになっている。みんながいくら頑張っても。
 それで、工兵もいろいろ考えて案を練って、彼らに伝えようとするのですが、

「思い通りにならない会社ならいっそ潰しちまえっていうのか」

と誤解され、信頼関係は崩壊。

 というのがレイヤー2までの流れですが、ここで工兵が、とあるIT関連の見本市に行ったときに件の銀髪美少女とばったり出会うところで、話が大きく方向転換します。
 彼女、エリザベート・ラピス・アカサカ(リシー)は、DV社の中でも一番工兵と話が通りやすい人物です。
 ただ、真面目なんですがだからなのかちょっと取っつきにくく、頑ななところもある。

 本当に全くどうでもいい話ですが、銀髪美少女のラピスって、あのラピスを思い出しますねぇ。

 とまあそんな彼女が、このイベントで出会ったもう一人が、彼女の兄のクラウス・アカサカ。ちなみに二人はハーフで国籍は日本、殆んど日本で育っています。

 まあある意味この絵に描いたような悪役のお陰とも言えますが、工兵とリシーはDV社の状況についてやっと話し合う機会を得ることができました。
 でここが問題なんですが、……ややこしいんですよね(笑)。技術の話じゃなくなるんで、私の事情でわかりづらい。
 まあ結局、クラウスが個人的に抱える問題を除いて表現すれば、つまり現状を言ってみれば、オーストリアの企業であるオストベルク・テレコム(OBT)の日本支社にいたクラウスがメンバーを引っこ抜いて独立、しかし設立されたDV社も結局、協力していたパッケージメーカーのアルテリカから転売されました。
 これでどういう状況になったかというと、アルテリカとDV社の案件は二つで一つ、つまりパッケージを売って各種のサポートをただ同然でやっていたのですが、アルテリカが売る人、DV社が面倒見る人で、切り離してしまうと後者には収益がないのです。

 このスキームというか策謀というか、それを知った工兵、激怒(笑)。
 まあそれ以前に、イベントで出会ったクラウスのリシーに対する言動でかなり頭に血がのぼっていましたが。
 で、状況を知って絶望したリシーに工兵が何を言ったかというと……。

「一つ大事なことを忘れていませんか」
 強い口調で告げる。
「僕はリシーさんにとって何です?」
「何……」
「上司でしょう。たとえ代理でも、名目だけのものであるにしろ」
 白い面が電流でも流されたように揺れる。
「であれば業務上困ったことがあれば真っ先に相談してしかるべきです。さぁ、話してください。一体リシーさんはどうしたいんですか? 僕にどうしてほしいんですか」
「私は……」
 かすれた声音。
 たっぷり十数秒沈黙した後、彼女は歯ぎしりした。
「助けて……ください」
 感情があふれでる。あたかも堰が切れるかのごとく生の声がほとばしり出た。
「DVを、みんなの居場所をなくさないでください」
 その言葉が──聞きたかった。

 ……うん、なんだかもうこれ、ドラマの中の非実在上司みたいですね。
 あれ? 元々非実在だった。

 ちなみにどうでもいい話ですが、このとき工兵はしっかりとリシーの手を握っていたりするわけですが(笑)。

 そんなこんなであとはもう急転直下。というか一気呵成というか。工兵の行動力の凄まじさは、何だかいつもにも増して驚異的です。あの貝塚さんにまでアプローチをかけていますし。
 これは、今回の工兵かなり燃えていますね。義憤に、とでもいいますか。

 というわけで、契約や何かを精査した末に辿り着いたのが、凶悪なブラフ。時間もなかったですし。DV社のメンバーへの説明も、気迫が籠っています。

「でも無理だろ! 明日までに改善のプランを出すとか」
「いいえ、できます」
 強い口調で言い切るとヤナガワは絶句した。周囲の人々もぽかんと口をあけている。
「で、できる……?」
「はい、ただこのプランは皆さんの協力が不可欠です。お膳立ては整えられますが実際に手を動かすのはDV社です。だからこそうかがいたいんです。皆さんにこの会社で頑張る気持ちがあるか、僕らと一緒に戦う覚悟があるか」

 勿論それは問題なし。まあ、リシーがそこで賛同の意を示すのは必然だったと言えます。

 そして工兵は立華と、アルテリカの製品のデモを見せてもらいたいと、素姓は隠してですが正式に申し込み、つまり正々堂々と乗り込み……いや、変装とかしていたからこの表現はおかしいかな(笑)。
 で、クラウスに会ったところで正体を明かし直談判をします。いや、工兵はこう言いました。

「ご心配なく。ちょっと報告に来ただけですよ。用がすめばすぐに帰ります」

 ただ、工兵はこのことを後でもう一度言います。

「言ったでしょう。僕は報告に来たんです。交渉じゃありません。あなたに求めることなんて何もないですよ」

 この間に一体何を言ったのか。
 DV社を精算し、つまり既存の契約は解約し、既存顧客のサポートについてはスルガシステムが巻き取り、更にはアルテリカから導入していた人事パッケージをスルガの協業ベンダーのものに乗り換えてもらう、という内容でした。
 もちろんそれはアルテリカの競合のもので、その辺りの事情には貝塚さんから仕入れたものもあったりします。工兵、恐るべし(笑)。

 まあ、本当にDV社を精算するつもりがあるわけもなく、最終的には譲歩、したように相手には思わせながら結局は目論見通りに事を進めた工兵。
 上記の言葉は、もう一度繰り返されます。

「勘違いするなよ、これは交渉じゃない。ただの通告だ」


 ……入社一年目のタフネゴシエイター(笑)。

 いやまったく凄いんですが、そう印象づけるシーンがもう一つあります。それは、後の立華との会話です。

「でも、まぁ」
 口調が和らいだ。鳶色の瞳が優しく微笑む。
「悪くなかったわよこの一年、楽しかった」
「……え」
「機械を自在に動かすのも面白いけど、色んな人と協力して仕事をやりとげるのもいいものよね。だから今回のDV社マネージメントも私そんなに抵抗なかったわよ。一年前なら絶対サボタージュしてたところだけど」
「………」
「ねぇ桜坂」

 工兵のしてきたことに気が気じゃなかったと言いつつも、立華はこういう感想を述べています。実際のところ、クラウスとの対面よりもこちらの方が工兵の成長具合いを実感できる気もします。

 しかし、ここで立華が続けて何を言おうとしたのかは、わかりません。
 何故なら、ここでどうやら立華の知り合いらしい人物が現れたからです。

 その女子高生は、驚いたように立華を見て、こう尋ねました。

「七隈さん?」


おまけ:
 リシーは、工兵にOBTの話をするとき「桜坂さんは外資で働かれたことあります?」と訊きました。
 これ、どう考えても工兵がまだ新卒一年目とは思っていませんよね(笑)。

おまけ2:

『私梢。今、あなたの後ろにいるの』
 ぎゃああああああ!?
 高速で振り向くも背後に人影はなかった。

 工兵君、下手に振り向いてはいけないんでは?

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

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