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アニメ: 宮崎駿『風立ちぬ』を見て

 宮崎駿監督、映画『風立ちぬ』を見てきました。

 とか言いながら、昨日はいつも通りにTVアニメの感想を書いてましたが。
 今回見に行ったのはとても予定外のことで、NHK Eテレの番組『SWITCHインタビュー 達人達』の8/3(土)の放送「宮崎駿×半藤一利」を見て急遽決めたのでした。

 宮崎アニメと言えば昔は大好物で散々見たものですが、それも私にとっての最高傑作の『紅の豚』まで。『もののけ姫』以降は特に面白いと思ったものもなく、今回もあまり興味はありませんでした。
 ただ、ここしばらくの作品とは何か違う、という印象はありました。

 『SWITCHインタビュー』を見たからと言って何か感銘を受けて、というわけでもなく、何となく見てみたくなった、実はそれだけです。しかし、そういうのが好きになる作品との出会いということは多いように思います。

 見てみての印象は、とても「風」を感じられる作品だったな、というものでした。
 タイトルからして『風立ちぬ』であるわけですが、だからというわけでもないでしょうけど。タイトル以外からも、間違いなく飛行機には関係あると思います。
 どうでもいい話ですが、私は風が好きなんですよね。作中でよく描かれているような、ちょっと強すぎるかも、くらいの風が。だから、まず感覚的に本作は好きです。

 さて、その他にもいくつか思ったことがあるので、それらについて書いてみます。

○ 感じたことと考えたこと
 宮崎駿本人がどうかは知りませんが、私が受けて来た印象として、『紅の豚』までと『もののけ姫』以降では、制作のスタート地点が違うような気がしています。
 『紅の豚』までは、作りたいと感じていたものを作ってきた。『もののけ姫』からは、作ろうと考えたものを作ってきた。
 そんな風に感じていました。
 してみると私は、思想的にはあまり彼と合わないのかな?

 今回、その二つが合流した、ような気がします。言い換えると、今回の『風立ちぬ』には、「宮崎駿」が丸ごと入っているような気がします。

 まあ、『風立ちぬ』は宮崎駿が趣味で描いていた漫画を鈴木プロデューサーが無理やり映画化させたものだそうですけど。

○ こちら側とあちら側
 飛行機が沢山出てくるし、象徴的な描写にも類似したというかほぼ同じものが登場するので、やはり『紅の豚』と比較したくなってしまいます。
 そうしてみたときに感じたことは、『紅の豚』は、「境界線」のこちら側からあちら側を垣間見た作品だったけれども、『風立ちぬ』は、あちら側に行ってしまった作品なのではないか、ということです。

 冒頭からしょっちゅう「夢」が登場しますし、そもそもその夢の中の世界は二郎にとっても観客にとっても重要なものです。特に二郎を誘うカプローニの登場するものは。
 今回の作品が「境界線」を超えてしまったように感じるのは単純にそのせいかも知れませんが、次の話題とも関係があるかも知れません。

○ 宮崎駿と里見菜穂子
 何だか、「人と違うこと言う俺カッケー」みたいな感想になりますが、感じてしまったのだから仕方ないですね。
 作中の人物で、宮崎駿とヒロインの菜穂子が、奇妙に重なって見えます。
 宮崎駿は飛行機が大好きで、でも飛行機を設計する人ではない。アニメ監督として物語を作ったり飛行機を描いたりする人ではあっても、それはどちらかというと、操縦する人に位置付けられるのかも知れない。
 だから、彼が投影された人物がいるとすると、二郎ではなく例えば会社の偉い人の服部とか?という風に思ったとき、二郎を愛し、仕事を、つまり飛行機の設計をしている彼を見るのが好きと言った菜穂子が連想されたのです。

「お仕事をしているときの二郎さんの顔を見てるの、好きなの」


 そうすると、本作『風立ちぬ』が、終盤に菜穂子が書いた手紙のように思えるんですよね。そして、「あちら側」に行ってしまったような感じと山に向かう菜穂子、とかもつながって見えてくる。

 本作について、あちこちで「遺」の文字が飛び交っているようですが、何だかそれもわかるような気がします。


 宮崎駿の作品の中で私が一番好きなのは上記のように『紅の豚』だったりしますが、本作『風立ちぬ』は、それと表と裏のように対をなす作品のように感じられますし、私の中ではそれと並んでの傑作、双璧となるかも知れません。
 しかし、どうでしょうね。物語性とかそういう面ではあってなきがごとしですし、あまり高い評価は得られないかも。いやでも、何だか難しいことを考える人は賞賛するかも知れないし。さてどうなるか。

 ともあれ、私は気に入りました。
 だから私はもうそれでいいんですけど。

P.S.
 主人公の名前、こういう風に改変が多いのなら例えば「堀越次郎」にするとかした方が良かったんじゃ、とか思ったり思わなかったり。

tag : アニメ

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水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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