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アニメ: 『STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』感想

 昨日はこれ↓を見に、久しぶりに映画館に行ってきました。

 というわけで感想ですが、まあ一言で表現すると、……いまいち?

 まずは物語の概観から。ほぼ記憶だけで書いているのでやや不正確かも知れませんが。
 舞台は、岡部がシュタインズゲート世界線へ辿り着いてから一年後の秋葉原。紅莉栖もアメリカからやってきてラボメンも揃い、パーティが催されたりもする、岡部にとっては理想の世界とも言える平凡な日常です。
 しかし彼は、時折フラッシュバックのように再現される、これまでに通過してきた他の世界線の記憶に悩まされています。

 一方の紅莉栖ですが、岡部が言っていた他の世界線のことを考えているうちに、一つの着想を得ます。デジャヴは通常説明されているような理由で発生するのではなく、実は岡部だけでなく誰もが持っているリーディングシュタイナーの表出なのではないか、という仮説です。
 紅莉栖は、岡部の白衣の解れを縫いつつ、そのとき感じたデジャヴから他の世界線で自分が同じことをしたということを言い当てました。

 サブタイトルにもなっている「負荷」と「デジャヴ」(原語であるフランス語の"déjà vu"の発音は、ヴュみたいな音に近いんですけどどうせ日本語にはないし)についての紅莉栖のこの見解と、あとは鈴羽の言った「観測」というのが本作を表現するキーワードと言えます。

 岡部がフラッシュバック(のようなもの)に襲われているとき、実は彼は、この世界に存在していません。彼にとってこれまで辿ってきた世界の印象は強烈すぎて、つまりそれが「負荷」になっていて、今自分がいるこの世界が本当に現実なのか、それを確信できずにいるためです。また、そんな彼の存在もあり、シュタインズゲート世界線は不安定になっています。
 そしてついに彼は、紅莉栖が前述のデジャヴに関する仮説を話していたまさにそのとき、紅莉栖の目の前で消えてしまうのです。
 そこは、岡部倫太郎がそもそも存在しない世界。紅莉栖の記憶からも、彼の存在が失われていきます。

 この「負荷領域のデジャヴ」は、まあ私はテレビシリーズしか知りませんが、これまで岡部が様々な世界線を巡り、その先々で「受け止める」役割を担ってくれた紅莉栖が、彼の安住の地であるシュタインズゲート世界線では今度は彼を「つなぎ止める」人になる物語、と言えると思います。
 一つの完結を見た前のシリーズに一体何を付け加えるのだろう、と思っていたのですが、なるほど、という感じです。この発想はいいですね。
 そして、そこでポイントとなるキーワードが、紅莉栖が岡部を「観測」することであるという辺りも、この作品世界の設定と非常に親和性が高い。

 また、鈴羽が未来から来て語ったこと、つまり、紅莉栖がタイムマシンを作りつつ、それを使うこともできず封印してしまうという意気地のなさも、意外と打たれ弱い紅莉栖が、岡部に強く言われたことに対しどうするかという意味では「らしい」と言えるでしょう。

 岡部も、自分が消えてしまうかも知れないと言われても、それを避けるために紅莉栖やまゆりその他の周囲の人たちのことを考えれば受け入れる、そういうところは彼らしい。

 しかし。

 ここの辺り、つまり中盤までの様子、言い換えれば基本設定はいいんですが、その後色々な意味で違和感が。
 物語の展開、人の行動、そして描き方の面で、これは……?というちょっと疑問を挟みたいところが多い。まあ、幾つかは私が付いていけなかったという理由もあるんですが。

 まずは物語そのものですが、本作はそもそもかなり理屈が重要で、まるで岡部の厨二病が象徴しているかのように、物語も厨二病的である必要があると思いますが、そこのところが、あまり明確に描かれていない。
 岡部がいなくなった世界ではそもそも彼は存在しないのですが、では最初からいなかったのか。しかしどうやら、2006年頃(ちょっと違うかも)までは存在していたらしい。ならばもう少しまゆり辺りは憶えていそうなものだが。とか。
 2006年というのもやや唐突に出てきますし、岡部をつなぎ止めるために彼に強い印象を残すというのなら、「観測」はどうなったのか。

 また、紅莉栖の行動についてですが、紅莉栖がタイムマシンに乗ったのは何故か。実はここのところ、あまりに唐突に彼女の行動が変ったので、あれ?と思ったのですが、映画館なので巻き戻すこともできず。もしかしたら重要な台詞を聞き逃してしまったのかも。
 しかしそうであったとしても、実は紅莉栖の言動にはちょっと違和感がありました。科学者としては、というのを連発するのですが、それ、あまり科学的な考え方じゃないよね、というのが多くて。
 まあ前作でもそういうところがなかったとは言いませんが、それでも紅莉栖は、あくまで科学的論理的に物事を考え、その上で、溢れる情動に突き動かされる、という人物でないとなー、と思うのですが。

 そして、少年岡部。
 もうちょっと、彼が紅莉栖に興味を持つ、というよりぶっちゃけて言えば、紅莉栖に魅了されるという過程があってから対話に持っていかないといけないのでは、と思うんですよね。いきなりあんなことされても、いやそれ以前に自分からあそこまで語るのか、という疑問が。話の内容はいいと思うんですけど、でもそもそもそこに至るには、という感じ。
 例えば、当てもなくまた見つけてもどうすればいいかもわからず岡部を探す紅莉栖は、途方に暮れて雨の中に座り込んでしまい、そこで彼がやってくる。力なく少年を見上げる目に、そしてその変化に彼は……とか。

 そんなこんなで行き着いたラストシーンは良かったんですが、過程が過程なので。

 見終わっての印象としてはこんな感じで、つまりは、どういう物語なのか、というのが見ている自分の中で構築されていく中盤まではとても好印象なんですけど、ではそれがどう展開し結末に行き着くか、というところでは疑問符が沢山あった作品でした。「疑問符」とは、わからないという意味と、そう描くべきではないのでは、という意味と両方です。
 というわけなので、冒頭に書いた「いまいち」というのは、全般的にいまいちというよりも、大きな落差があって平均するといまいち、という印象です。

 そういうことになると、つまりは、詰めが甘いというか練れていないというか、そういう感じでしょうか。
 ほんと、繰り返しになりますが、今回の物語がどういうものか、その位置付けはよかったんですけどね。

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Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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