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独り言: 山中伸弥氏のノーベル賞受賞……とは別に気になった記事を三つ

 タイトルに山中伸弥氏の名前を出しましたが、ノーベル賞の話ではありません。
 しかし、名前を出したのは、無関係ではないと思うからです。実際、一つ目に紹介するのはまさにそれを題材にしたものであるからです。それを除くとしても、気になる記事がほぼ受賞と時を同じくして目に入ったのは、書いた側に意図があったのか私が気にしていたからか、はたまた単なる偶然か。
 まあ、最初のケースはないか。

 私の意見はあまり書かず、引用を主体としますが、どこを引用したかがまあ意見と言えば言えなくないかも知れません。

「山中ノーベル賞」で日本が科学大国と思うのは誤りです!:日経ビジネスオンライン

「科学大国ニッポン」の実情について、サイエンスライターの竹内薫氏に聞いた。


 足元では、日本の科学力の基盤を揺るがす事態も起きています。例えば、高校では物理学を履修する生徒が急減しています。これは、文部科学省のカリキュラム変更によるものですが、私が高校生だった1970年代末から80年代初頭にかけては、高校生の物理学の履修率は恐らく8割は超えていました。それが今は3割を切っています。

3割未満ですか。それは驚きですね。

竹内:高校で物理学を勉強しない人が7割以上もいる。これが何を意味するかというと、例えば、将来エンジニアになってモノ作りに携わる人や理数系に進んでサイエンティストになる人が激減しているということです。

 結局のところ、最大の問題は若い人たちが科学を勉強しなくなっていることですね。大学でも理数系の学部・学科にあまり進学しない。背景には、科学者や技術者の給与が低いことがあると見ています。この点については、山中さんもノーベル賞の受賞決定会見の時や私がインタビューした時にも言及していました。

国の政策としては、科学研究を対象とした予算があまり優遇されておらず、金額が少ないですね。iPS細胞についても、これはいろいろな計算の仕方があって異論のある人もいるでしょうが、私の知っている情報に基づく感覚で言えば、日本の研究費の総額は米国の100分の1ぐらいでしょう。


 私は、日本は科学大国でも科学技術立国でも何でもないと思っていますがね。日本はただ単に、頑張った人が沢山いたというだけであり、多細胞生物と群体のような違いがあると思います。
 ちなみに私も、学校教育、特に大学に関してはちょっとした大転換のアイデアを持っていたりします。変な言い回しですが、発想としてはほんのちょっとしたものですが、実際にやろうとするとかなり大変だろうということで。

元気なIT職場を作るメンタルサポート - 中間管理職のメンタル不調を抑止する人事改革とは:ITpro

ソフトウエア開発の現場では、大きなメンタル不調の促進要因が2つある。

 第2の促進要因は、マネジメントスキルと技術スキルの混同が現場で起きていることである。

 多くのIT企業では、技術力のある者が、管理職になる。これは、管理職と技術職のスキル体系や給与体系が共通である場合が多いこと、プロジェクトを円滑に進めるうえで技術力も必要なので、技術力を売りにする企業ほど優秀な技術者が若くして管理職になること、の2つの事情によるものだろう。

 しかも、技術職のまま昇進できるキャリアパスが無い企業は現在でもかなり多い。《PG/プログラマ》→《SE/システムエンジニア》→《CE/チーフエンジニア》→《GL/グループリーダー》などのように、チーフエンジニアから以降のステップは突然管理職のGLとなってしまうのだ。

 これでは、たとえ管理職への適性やスキルが無くても(あるのかどうかが分からなくても)、給料を上げたい技術者は管理職になるしかない。


 この問題については昔からことあるごとにわめき散らして来ましたし、先日も共通するところのある指摘を紹介しました。
 私は実は、組織論についてもかなり大胆なアイデアを持っていたりします。まあ、まだ大きな欠点を解決できていないので、現時点では発表するようなものでもありませんが。

韓国に売った日本人「実行犯」の告白「技術流出-新日鉄の場合」  | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]

「新日鉄が技術者に報いることは少なかった。電磁鋼板の技術を集中的に開発していた'70年代から'80年代にかけて、技術者が発明した特許には1件につき、わずか1000円から1500円程度の手当が支払われただけでした。

 たとえば、鉄鋼生産でトン当たり2万円のコストダウンができる設備方式を開発したとしましょう。月に1万tの粗鋼を生産したら、2億円のコストダウンになる。しかし、これだけの功績を残しても、会社からもらう給料は何の発明もしていない社員と同じなのです。

 ある技術者はあまりに悔しくて、特許訴訟で有名な弁護士に相談したそうです。ただ、そのときには出願から20年が経過し、特許は切れて時効になっていました。弁護士からは惜しかった、と言われたそうです」

 日本企業が抱える本質的な問題点はどこにあるのか。経済評論家の山崎元氏がこう話す。

「日本企業は技術者に対して、情報を漏らさないという誓約書を書かせるなどしています。しかし、そんなことをするよりも新しい商品開発に乗り出すことのほうが大切です。人材が流出するのは、韓国や中国の企業に問題があるからではない。技術者が活躍できなかったり、彼らのやる気を失わせたりしている日本企業の側に問題があることに気づくべきです」

「サムスン電子の日本人顧問から突然、自宅に電話がかかってきたのは'00年春のことでした」

 こう話すのは元ソニーの技術者、小黒正樹氏である。21年間勤めたソニー時代に、300件を超える特許を取得した小黒氏がサムスンに転じる決意をしたのは、会社に対する不満があったからだ。

「一言で言えば、ソニーは次世代の商品を発明できるエンジニアよりも、管理者を優遇する会社になってしまったのです。

 '95年に出井(伸之)さんが社長になり、〝デジタル・ドリーム・キッズ〟というスローガンを掲げていましたが、彼は技術が分からないばかりか、工場に足を運ぶこともなかった。技術も現場も分かろうとしないトップに、技術者は心を開きません。無駄を排除することだけに専念する企業に5年後、10年後に花が咲く技術を生み出す余力はないのです」


 サムスンには、色々と学ぶべきところがありますね。
 技術「者」を重視すること。技術は「人」にある。そして、技術が欲しければ人を買ってくればいい、という短絡思考は長期的には蓄積されるものが少ないという反面教師として。

 最後に、山中氏が受賞後のインタビューで言っていたことについて。
 言い回しは忘れましたが、「失敗なくして成功なし」というような意味のことを言っていました。そう言えばエジソンも、失敗について聞かれたとき、私はうまくいかない方法を発見したのだ、みたいなことを言っていたと思います。
 つまりは、うまく行かない方法を沢山見つければ、その隙間にうまくいく方法というのが見えてくるわけです。
 実際には山中氏は、ジャンプの前にはためが必要だみたいなことを続けていたので、ちょっと違う意味で言っていたのではという気もしますが、まあそれでこういう連想をした、ということで。

 先日本屋で、ふとこういう本を手に取ってぱらぱらとめくってみました。
人気講師が教える理系脳のつくり方 (文春新書)人気講師が教える理系脳のつくり方 (文春新書)
(2012/11/19)
村上 綾一

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 タイトルを見ると啓発本みたいですが、どちらかというと、理系的な子供の芽を潰さない方法、という感じです。なんだか、いいところを突いているなーと感心したのでつい買ってしまいました。
 その中に、「理系の子の「ひらめき」は幻想である」というのがあります。

 理系の子は、エレガントでスマートな解き方をしているように見えても、じつは頭の中ではトライアル&エラーの泥臭い作業を繰り返しているのです。

 昨今は、効率化だか何だか知りませんが、うまく行く方法だけ求めるような空気がある気がしますが、なんだかそれって、「わからないから答えだけ教えて」と言う子供みたいですよね。
 これは別に技術のことだけでなく、文化でも何でもそうなのではないかと思います。

 この本の「はじめに」に書いてある「「理系コンプレックス」の親が抱く思い込みの数々」と同種のものは今、社会に満ち溢れているように見えます。
 別に科学技術なんかどうでもいい、科学技術立国とかのスローガンは破棄、とかいうのなら別にそれでもいいのですが、そっちの方向でやっていくんだというのであれば、考えを大きく改めるべきなのではないかと思います。

コメント

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No title

最近はそのサムスンとかの韓国企業にもう用なしとばかりに切り捨てられる日本人技術者も増えてきてるらしいですね

Re: No title

> 切り捨てられる日本人技術者
でも、その辺りは最初から予想できたことですよね。
私が「反面教師」と書いたのはまさにそのことで、結局あそこは自分のところで一からやろうとしない、ということです。買ってきただけでは、またすぐに補充しなければいけないはめになる。

むしろ注意すべきは、それを見て「売国奴」とか逆恨みをしている者が多いのが日本のダメなところかな、と。
自分(の国)で切り捨てておいて何を今更、と言いたいですね。
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水響俊二

Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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