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ラノベ: 『妹さえいればいい。 〜4』感想

【悲報】京さんはやっぱりビッチだった

妹さえいればいい。 4 (ガガガ文庫)
平坂 読
小学館 (2016-03-18)
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 うそです(AA略

 ……すいません、昨日ちょっとリフレッシュしてきたせいか何かノリがおかしいですね(笑)。調整調整。

 というわけで、先日の1巻感想の後、4巻まで読み終わりましたのでその時点での感想。あと一部5巻の途中までの話も含みます。
 という辺りで未だに謎なのが、伊月の妹萌えというかキ○ガイの理由。そうなった経緯はある程度出てきていますがそういう意味ではなく、この作品の主人公が妹に固執していなければならない物語上の必然性というのがね。まあその辺りは追々ってところでしょうか。

 さて。
 ここまで読んで一番思ったのが京さんの件です。そもそも上記の1巻感想でも京をちょっと意識しているんですが……ってあまり出てこないですけど、最早今の私は、京ファンと言っても過言ではないのではないかと。

 まず、京の位置づけ。
 極めてクセの強い人物(あの千尋でさえそう)ばかりが並ぶ中、ほぼ唯一の一般人です。いつも、強烈な個性の光を放つ人々に捲き込まれる押しの弱さがあります。しかし、その「押さば引け」的な弱さは押してくる人々を全て絡め捕ってしまう。
 伊月だけは京自身が「押す」側ですが、例えばアニメ2話で描かれたように、那由多はすぐに引き込まれてしまいました。その後も、他の小説家のフラグを立てるし、漫画家のポリシーを曲げる……時に助力、そして5巻では編集部にまで影響力を及ぼし始めるようです。
 まったくもう、あちこちと関係を持ちまくってからに。これだからビッチは(笑)。

 いやつまり京は、各キャラの隙間を満たす、背景であったり地であったり場であったり、そんなある意味で強烈な存在感を見せています。

 そんな立ち位置にいるためか、この物語はかなりの部分が、京の存在により動いている、京がドライブしているようにさえ思えてきます。彼女がいなかったら動き始めない、そんな世界に見えてくるのです。それは、京が「場」として他のキャラ同士を結び付け、干渉させ、自身はその媒介役を担っている、というような構図です。

 そんな京が、彼等に興味を持ってしまっているわけで。

 なにも持っていない自分が、何十万人の読者を差し置いて那由多の作品の役に立てる——そのことに京は自虐的な恍惚感を覚える。

(2巻p114)

 全裸になってあちこち観察されただけだが、自分がこの作品に関わったことが誇らしくさえある。
(略)
 それはけっこう……かなり……素敵なことなのかもしれない。

(4巻p202)

 逆に言えば彼等もその影響から逃れられないわけで。

 とかいうようなことをつらつらと思いながら読んでいると、なんだか私自身もいつの間にか京という存在に絡め捕られて来てるような気がします。
 そんな京は、5巻で伊月に対して攻勢に出るようですが……まあ結果はわかっているにしても、京がそのように動いた以上は伊月もその影響からは逃れられないでしょう。果たして?

 とまあそんな感じで妙に偏った読み方をしてしまっているわけですが(笑)、まだ既刊の半分くらいですね。
 さて、どんな展開があることやら。

ラノベ: 『妹さえいればいい。』/『ゲーマーズ! DLC』感想

 あれ? 『妹さえ』の方、ナンバリングがないですね。まさかこの内容で一冊で終わる可能性もあったと……?
 いやまあよくある話か。

妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)
平坂 読
小学館 (2015-03-18)
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 というわけで、先日書いたようにアニメ見て即座に気に入ってまずは一巻を読んでみました。ちなみに、アニメのどの辺りに惹かれたかというと、一話のラスト、伊月が那由多のデビュー作『銀色景色』を読むシーンです。エンディング主題歌『どんな星空よりも、どんな思い出よりも(ピアノバージョン)』を背景に。
 最後のあの一言は原作にもありますが、伊月のキャラとか読んでいるうちに色々と見えてきた辺りで、彼は京にこんなことも言っています。

「……お前が将来作家を目指す予定がないなら読んどけ。あれを読まないのは人生を損してる。俺の本なんて読んでる暇があったら、可児那由多の作品を読め……」

(p113)

 春斗辺りが言うのならともかく、伊月がですからね。しかもこれを言われた京にしてみれば、彼との出会いがあれだったわけで。
 まあ彼はぷりけつについても似たようなことを言ってたようですが。内容がじゃなくその作家としての姿勢が。
 でもその那由多は、その作品の他メディアへの展開を望まれてたりしても、「伊月先輩と会える時間が減るじゃないですか」とか言って拒否ってるわけですが(笑)。

 この物語、そういうところが基盤になってる感じです。春斗の伊月に対する色々にしても。京だって、作家としての才能という土俵でではないものの、そういうものと無関係ではいれらないようだし。

 あとその京の、「なにやってんだろーあたし」要員としてのご活躍も見逃せない(笑)。4巻くらいまでは口絵で勇姿が見られますね。

ゲーマーズ! DLC (ファンタジア文庫)
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 ちょw「あと四ヶ月」てwww
 出だしがあのアニメ第12話みたくアグリさんが爆弾を投下しまくる話だったので、しかもサブタイトルにDLCとあるのでそういう話かと思いきやほんとに外伝でした。
 しかし思うに、同好会の面子はもう大体それぞれの想いが(一部を除き)通じている関係からか序盤みたいな錯綜があまり発生しなくなっているような。今回、景太を全く知らなかった人が登場して「新キャラの美人さん達とフラグ立てたり」したために、そういう意味での風味が戻ってきた感があります。
 さすが「安いラブコメの主人公属性持ち」景太(笑)。

 ところで、ラストの辺りで天道さんがこれまでとちょっと違う登場の仕方をするわけですが。
 ああ、これが元々の(壊れる前の(笑))姿なのかな、などとちょっと感慨深いものが。さすが外伝というべきか、本編ではちょっと見られないですよね、あの「抜き身の刀がそのまま置いてあるみたいな」天道さんなんて。
 でも、所々に出てくる「景太の交際相手」って天道さん……ですよね?
 もしや「踏み込む」のって、次の外伝でってこと?

ラノベ: 『なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門』感想

 だいぶ長く続いたこのシリーズも、ついに本編完結ですね。ちょっと感無量です。いや私が書いたわけじゃないですけど。

なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門 (電撃文庫)
夏海 公司
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 最終巻らしく、前の巻から続く提案の件は実に血湧き肉躍るというか手に汗握るというか、とんでもない展開の末に見事な結末を迎えました。
 また、シリーズ全体を締める意味での結末も続きます。

 ネタバレがデフォルトと宣言している当ブログですが、こういう場合にたまにやっているように、一応この続きはトップには表示されないようにしておきます。

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ラノベ: 最近読んだラノベ - 2017.7

 このところあまり感想書いてないですけど、実は読んではいるんですよねそこそこ。

天使の3P!×10 (電撃文庫)
蒼山 サグ
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 最近この手の本って、帯がとても重要な役割を担っているような(笑)。

 響とリヤン・ド・ファミユは着実に歩んでいて、ついには他のバンドとのジャムセッションをやったりするまでに成長しています。うーん、まったく最高だね!(彼がそう言った理由に即した意味で)
 音楽についても、このシリーズでは毎回なんかためになるっぽいネタが出てきます。っぽいってのは、知ったからと言って音楽やってるわけでもない私としては、ということですけど、でもなんかそれでもためになったような気がするのは、やはりヒトというのはそういう種だということか(笑)?

 今回は、即興みたいなのも結局はまず引き出しありきだよね、みたいな見ようによっては身も蓋もない話ですが、でも逆にどんなことでもそういうもんかも、という気がしてきます。また、そういう話題であるために、DTMの系統にある響も一緒にお勉強という感があり、一体感が増しているようにも見えてきます。
 そしてクライマックスシーンでは、リヤンのメンバーの感性が光り、それが問題解決の鍵となるって辺りが中々に熱い展開です。前作もそうでしたが、このシリーズも登場人物の割に熱血ストーリーですよね(笑)。

 ただ、ちょっと気になったのがエピローグ。
 アニメが始まった時期に出版された一冊が、こんな終り方しちゃって大丈夫?とちょっと心配になったり。

 あとこれはもう恒例と言える話ですが、あんなに素晴らしい人物であるくるみの兄への愛が、ますます暴走してるのが(笑)。
 まあ、ちょっと今回はストレスもあったのかな?

ゲーマーズ!8 星ノ守心春と逆転バックアタック (ファンタジア文庫)
葵 せきな
KADOKAWA (2017-07-20)
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 こちらは上記の『天使の3P!』とは逆に前の巻のラストが大変だったのですが、その事情やら何やらは(予想はされてたとは言え)概ね明らかになり、でもそれですっきりと解決しないのが本作。なんだよ≪背後にそっと這い寄られる月間≫って(笑)。
 ただ、巻を重ねたことで各人物の気持ちがだいぶ定まってきていたり、それが伝わってきていたりで、当初のようなシューティングゲームで敵の弾をすり抜けるみたいな際どいすれ違い(笑)はあまりなくなってきた感じかな。代りに増えてきているのが、人の意図による展開とか。
 具体的に言っちゃうと、コノハさんこと心春さん。
 個人的な趣味の話ですが、コノハさんいいですね。趣味(笑)といい、性格といい(いやいいのか?)、知恵が回るところといい(悪知恵かも)。

機巧少女は傷つかない16上 Facing
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機巧少女は傷つかない16下 Facing
海冬 レイジ
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 今回完結したこの物語、読み始めたのはアニメが始まってからですが、そこからでももうかれこれ4年近くになりますか。

 天全の行動原理についてはある程度予想していた通りのところがあって、それは計画通りに進んだと思うのですが、そのことが神性機巧の誕生時期に合わせるように遂行されていたのは人類にとって幸だったのか不幸だったのか。

 先日書いたようにこのところ自然科学、それも物理系のネタに頭が親和的になってたり、またこの間量子通信の実証実験の話とかあったためか、雷真が神性機巧に立ち向かう(必ずしも対抗/敵対を意味しない)際の計画がそっち方面の話に似ているように感じてしまって。
 どういうことかというと、魔術原理の話。例えば、硝子のこの言葉から始まる『見立て』の魔術に関する説明。

「単純な類似を超え、同一と呼べるほどの存在になったなら、それは本当に同じもの——という発想よ。(略)

上巻 p223

 なんだか、雷真が最後に神性機巧に対した時の作戦って、もつれた(エンタングルされた)量子の片方を確定させることによる伝達(?)、所謂量子テレポーテーションで夜々になった、みたいな(笑)。
 また、これはどこかにあったように思うんですがちょっと思い出せないのが、何なのかわからないならわかるものにしてしまえばいいみたいな考え方もなんかそんな世界の話みたい。
 で結局、そんなこんなで雷真は夜々をちゃっかり取り戻してるわけですね。

 考えてみるとこの話、賢者と愚者とか、王の正しさとか、そういう概念の「遊び」みたいなネタが沢山あって、私としてはそういうところが特に面白かったかな。
 あと、夜々のボケの面白さが意外と大きかったように思います。「雷々」とか(笑)。飛び出してくるタイミングがいいのかな。
 下巻の表紙イラストですが、考えてみるとこの作品、タイトルの「機巧少女」を「マシンドール」と読ませているところからして答えが書いてあったわけですね。
 ただ、撫子のキャラが今一定まってなかったようにも思いますが、多分あれは本当に定まってなかった、言い換えれば定まってないように定まってたということかも。

 長いシリーズがついに完結したわけで、それもだいぶいい感じの終わり方なので、少しほっとしたような寂しいような?
 上記のように読み始めたのはアニメ開始からですが、お疲れ様でしたという感じ。

ラノベ: 『冴えない彼女の育てかた Girls Side 3』感想

 加藤は倫也の嫁。

冴えない彼女の育てかた Girls Side3 (ファンタジア文庫)
丸戸 史明
KADOKAWA (2017-06-20)
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 語呂は悪いけど、それを女子会で定める瞬間までの話でした。
 あと、ちょっと予想外だったのが、美智留の意外な活躍。前半は真面目に作曲とかしてるし、後半は詩羽先輩の傀儡(笑)?

 で流れとしては、巡璃を探るというゲーム制作にかこつけて、往生際の悪い加藤を女子みんなで寄ってたかって、
うぜぇんだよさっさとくっつけやこのヤロー!
と叩きまくる話(笑)。いやヤローじゃないですけど。あとみんなと言っても英梨々だけは、まだね。
 ある意味もうみんな諦めているとも言えますが、もうその先のことを考えているのだからさっさとしろという思いもありそうです。

 さて、重要な台詞を二つ挙げておきましょうか。
 一つは伊織によるもの。伊織が出海に伝えた言葉です。

『いいかい出海? 今日は一晩中、彼女から目を離すな』
『表情とか、喋り方とか、態度とか、全部盗むんだ』
『間違いなく、それが倫也君が思い描いた巡璃だからね』

 彼女とは勿論、加藤のことです。
 そもそもこの物語の出発点から、加藤は倫也のメインヒロインでした。ただ、それって一体何なのよ?ってのはね、わかっていつつもあったわけですよ。
 それがここに来て、まあある意味明文化されましたね。
 加藤は、倫也の理想の女の子である、と。

 もう一つは、女子軍団による苛烈な追求の末、加藤がついに口にした本音からです。
 巡璃が主人公をどう想っているか……というのは最早言い換えに過ぎず、加藤が倫也についてどのように感じているか。

「迷惑でも、変でも、空気読んでなくても……
 なんとなく、嫌じゃなければそれでいいやって。
 そういう、フィーリングみたいなものだけで、いいやって」

 …………「嫌じゃなければ」?
 それって所謂、アレですよね。
 円満な夫婦の条件(笑)?
 プラスがあることよりも、マイナスがないことが長期的な安定をもたらすわけですね。あばたをえくぼにするものがなくとも、そもそもあばたが気にならない、みたいな。勿論加藤だって「嫌なもの」はあるでしょうが、倫也はそれを持っていないというだけで。多分、伊織なんかは沢山持ってるでしょう(笑)。
 それにしても、秘訣とか以前にまずそこですか。道理で、初っ端から正妻感出ててたわけだわ。正妻戦争以前から正妻(の地位)の行方は決していたわけで。
 しかも、もう心を定めてからは早速、主導権を握り尻に敷くことを画策しているし(笑)。

 こうして、倫也と加藤の二人の意識が、片方は他者によるものですが明確にされたことになりますか。

 というわけでこの巻のラストは12巻のラストと重なったわけですが、次は本編そのもののラストとなる13巻ということのようですね。果たしてこの二人、加藤が優位のまま決着するのか、倫也が一矢報いるのか?
 まあ、あまり予想できるような展開にはならないだろうとは思いますけど。

ラノベ: 『冴えカノ 12』/『ゲーマーズ 7』感想簡略版

 簡略版というとこれと別に詳細版がありそうですが、いつも(これまで)よりは簡単な感想という意味で。
 二冊ともさっさと買ってすぐに読んだんですが、色々とあって、書けなかったというのとあまり書きたいと思わなかったというのとあります。後者については二冊それぞれ違いますが。

冴えない彼女の育てかた 12 (ファンタジア文庫)
丸戸 史明
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 冒頭のせいで懐かしい曲を聞き返したりしてましたが(笑)。
 前の巻であんな「引き」だったし表紙がこれ↑なので加藤のエピソードの、11巻が前半12巻が後半なのか、と思ったら……加藤の出番があまりないじゃないですかぁ……。
 いや確かにね、そこそこ出番はありましたし加藤にとっても色々考えなきゃいけない大変な時期になったかなとも思うんですが、それと物語の中心に誰がいるのかって別ですよね。まあ、作者によるとどうやら12巻は倫也の話だったようです。
 今期始まるアニメ二期「♭」も、期待してたらのっけでなんかナメたことしてくれるし。
 なんだかなぁ。
 あ、でも「♭」のキービジュアルのイラストは好きですよ。

ゲーマーズ!7 ゲーマーズと口づけデッドエンド (ファンタジア文庫)
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 雨野君、まさか、そこだけは避けるかと思ってたフラグまで立てちゃう(笑)?
 そんな7巻の232ページ辺り。いやなんか、彼がここまで本気で怒りモードに突入したのってもしや初めてでは。
 ただ、この巻のラストはちょっと重苦しい雰囲気なので。本作こういう作風なので8巻では180度引っくり返る展開が期待というか希望されるのですが、いかんせんここに辿り着くまでの流れがアレですからね。
 別にこういう展開や描写が悪いとか嫌いだとか言っているのではなく、ただ単に、疲れるなぁと。それに、ここまで関係が親密になってからでないとできないことってありますし。
 リア充は大変ですねぇ(笑)。

ラノベ: 『天使の3P! ×9』感想

 なんだか、前巻に引き続いて、何かが起きる前触れ段階的な感じです。

天使の3P!×9 (電撃文庫)
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 ところで私は、本作についてはこれまでに何度も言っている通りくるみのファンなんですが、実を言うと最近ちょっと桜花贔屓だったりもします。

 判官贔屓という言葉がありますね。
 源義経については、牛若丸としての人気と武将になってからの人気に若干違う意味合いがあると思うんですよ。前者は、小さな体で弁慶を翻弄する様、そして後者は、優秀でありながらも兄に疎まれる悲劇の武将。
 私の桜花贔屓には何となく、持っているモノの秀逸さ(何とは言いませんが(笑))に対して、残念と表現されてしまう不敏さが義経人気に近い感情を惹き起こさせているような印象が……(笑)。

 まあそれはおいといて、本編の感想を、まずは出だしについてから。
 いつもいつも紛らわしい始まり方をするのはもう様式美と言えると思うんですが、今回は割とあっさり、1ページめの2/3くらいでどういう状況なのかがわかってしまいます。つまり、響とくるみが怪しいことをやっているかのように見せかけておいて、実は単にお勉強しているだけだった、という。
 と思いきや、始まったのが『実妹検定』という変化球(笑)。
 いつもながらくるみの情熱には畏れ入りますし、【問4】は確かに難題です。しかしそれに正解する響は……ちょっと何と言うか……。

 さて、冒頭にも述べたように今回もさほど熱い展開があるわけでもないのですが。でも、リヤン・ド・ファミユは重要な一歩を踏み出したのかもしれません。
 本シリーズのこれまでも、各巻で様々な学びがあり彼女達の演奏は進歩を遂げてきましたが、今回はそういう意味での進展はあまりなかったように思います。
 ただ、そもそもリヤン・ド・ファミユというバンドは何でありどのようなものなのか、その本質を問うことになりました。バンドの方向性と言ってもいいし、文中では「色」という表現がなされています。それを見定めたのなら、いっそロックでなくてもいいとさえ。

 これは響がライブハウスでのバイトを通じて仕入れてきた見方です。まあこれまでもそうであったとも言えますが、響自身もリヤン・ド・ファミユのメンバーに教えるというだけでなく学んでいたというのが明確に描かれているということですね。
 思えば、彼の変化、進歩についてもいくつか描かれています。一章(PASSAGE 1)冒頭の、くるみと一緒のお出かけとかね。
 ところで、あのクリーニング屋のバイトさん、多分また出てくるんでしょうね。もしかすると重要な役回りで。

 で、桜花なんですけど。
 今回はPASSAGE 3で響と二人だけでデートだったというのに。……いやまあ、彼女的にはああいうところ、つまり釣りとかに一緒に出かけるのが一番だろうという意味でそう表現したんですけど。
 それなのに、ああそれなのにそれなのにあの展開。一体どうして水着の胸に手を突っ込まれるなんていうことに(笑)。
 いや勿論、相手は響なので必ずしも悲劇ということではないにしても。
 そういえば、口絵イラストの一枚が桜花ですね。

 ところで、くるみですが。
 響が色々と成長しているというようなことを言いましたが、そのためなのか、くるみについてはシリーズのこれまでとはちょっと違った描かれ方がされているように感じました。
 それは、変わっていく響を眩しげに見ているかのような描写だったり。あるいは、PASSAGE 3で響とやっと連絡が取れた時の言葉と声だったり。いや別に声は聞こえないんですけど。
 多分、後者についてはこれまででも同じことがあれば同じような様子を見せたでしょうが、この「×9」で描かれるとちょっと違った意味に受け取れます。

 とまあそんな感じの9巻でしたが、次巻では新たなガールズバンドが登場しそうです。それも、リヤン・ド・ファミユと近い位置で。
 まさかと思うんですが、そのメンバーって……?

ラノベ: 『エロマンガ先生 8 和泉マサムネの休日』感想

 似たタイトルの昔の映画とはだいぶ違う(笑)。

エロマンガ先生(8) 和泉マサムネの休日 (電撃文庫)
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 休日ってことでインターミッション的な内容であり、かつなんか短編集的なのにどこか完全に短編集でもないっぽい感じがしたのですが、あとがきによると、

今巻の二章は、以前電撃大王に収録した短編をベースに、加筆修正をし、本編エピソードとして再構築したものです。

とのこと。ということは、残る一章と三章もそこをベースにしているのかも?
 一章は、休日に至るまでの過程みたいだし、三章は二章で続いた回想の真打ち、主人公二人の分!という感じですから。

 というわけでこの「和泉マサムネの休日」は回想シーンが沢山です。一章の今の京香さんの様子、つまり今の正宗の目から見る京香さんも、回想を補助する役割がありそうな。
 それにしても、p33の京香さんはイラストが欲しかった。どうせ大して見えていない(笑)p70のエルフ削ってでも。だってエルフにはp101のもあるし。

 とは言え回想は正宗視点が基本。智恵、ムラマサ先輩、あと京香さんの分は紗霧との互いの回想に含めて、という感じですか。
 智恵がちょっと意外だった感じ。もうちょっと気持ち的に距離があったのかと思ったんですが、実は智恵、近づき損ねてあの位置に落ち着いたという経緯だったんでしょうか(笑)?

 そして三章に入ると、いきなり紗霧の一人称から始まります。三章は、正宗と紗霧の二人で互いの「会う前の話」を一緒にする、という二人きりでの内緒の話。
 智恵がそうだったように、紗霧も秘めたものを持っていたことが……まあ大方の読者は予想していたと思いますが(笑)、個人的には予想よりもそれがだいぶ激しいものだったことが明かされました。

 正宗には同じ作者によるちょっと似た話の主人公である京介と似たところがありますね。ここでは人物として似ているという意味ではなく、一人称も多い作品なのにその人物の言うことに嘘、というと語弊があるかも知れませんが秘匿し糊塗されたものがあるというところです。自分自身を騙すようなところと言ってもいいかも。
 この8巻の最後に正宗が放った一言が、その隠されてきた部分なのでしょうか?

 まあその辺りはよくわかりませんが、9巻でその続きが描かれないことはないでしょうからそれ待ちですね。
 一体どうなることやら。

ラノベ: 『なれる!SE15 疾風怒濤?社内競合』感想おまけ

 この間書いた感想で書き忘れたこととか後で思ったこととかをつらつらと。

なれる!SE15 疾風怒濤?社内競合 (電撃文庫)
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○ YAMAHAとのコラボ
 ちょっと前にこのシリーズの公式サイトでYAMAHAとのコラボ企画作品を読みましたが、この15巻ってなんかそこで立華が言っていたことが匂うような(笑)。

○ スルガの上場
 実は結局ポシャるんではないかなーとか思っちゃうんですけど。だって実現したら今みたいな会社ではなくなってしまい、ということはこのシリーズの舞台としても……。
 でも、三年後とかならもう物語完結してるかな?

○ 梢さん
 この15巻での梢さんの立ち位置、なんかいいなと思いました。いや本人は大変かも知れませんが、役どころとしてはいい感じですよね。試験官の一人、みたいな。
 ただ、工兵があそこまでの主人公体質を持っているとは思いませんでした(笑)。

○ 修了
 勿論、感想で書いた「修了試験」ってのは比喩であり、物語の世界よりちょっと上の(もしくは下の?)レイヤーでの話ですが。つまりシリーズの構成の話。で、貝塚さんが人を「売る」立場なら工兵は「買う」立場になるんでしょうか???
 この「修了試験」は多分、敗けても失格というわけではないでしょうね。いやまあ読む人の判断になるわけですけど。
 ところで、色んなことをやって遂に最後の課目を、という印象だったのですが、考えてみると工兵って、プログラミングはやってないですね。まあ全くやってないということはないでしょうけど、エピソードのメインテーマになるほどには。
 やっぱりあれですかね。スルガってあまり表舞台に立つタイプの会社じゃないし、ということになるとプログラム組むにしてもインフラに近い、つまりは目立たないところになるし、となるとあまり物語的に派手さがないからとか?

○ 巻末特別付録
 あとがきの後に「立華の優しいIT説教部屋」というのがあるのですが、何か今回はあまり本編と直接的な関係がなさそうな気がします。テーマはSSL。規格や仕様としてのSSLはもうあまり使われなくなりつつありますが、それでも後継のものも含めてSSLみたいに呼ばれますよね。
 もしかしてもしかすると、次巻の内容に何か関係でも?

ラノベ: 『なれる!SE15 疾風怒濤?社内競合』感想

 工兵の妹が吸血鬼だった件(笑)。

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 いやなんかエナジードレインとかできるらしいので。

 とかいう話はおいといて、今回のエピソードに対する印象を一言で表現すると、修了試験という感じでしょうか。
 これまで工兵は新入社員のクセに、万能人間に?いやいやもう超人?というか神かよ!という(笑)風に色んなスキルを、つまみ食い的なところはあるにせよ身に付けてきました。
 この修了試験は最後の科目というか課目の履修を兼ねていて、で、今回は遂に、経営者の視点という奴ですか。
 まあその辺りについてはまた後で。

 まず出だしですが、本編に入る前に目次を見ると、最後の章が「インターミッション」になっています。あの11巻ですら「クロージング」だったのに(笑)! つまりこの15巻は話が完結しておらず、次巻以降に続いているわけです。
 しかも最初の「レイヤー1」に入る前の導入で工兵は、例の採用担当から声をかけられ、総務のメンバーにならないかと誘われています。勿論、兼務みたいないい加減な話ではなく。どうやらスルガが上場する話があって、なら体制もきちんとせねばということになっての話で、驚くことに「役員」なんて単語まで出てきます。
 このこともまたこの巻では結論出ませんが、工兵の思考や行動にだいぶ影響を与えることになります。

 さて今回のお仕事ですが、サブタイトルにもあるように、社内競合しています。工兵が例によって例のごとくうやむやの内にアサインされた仕事が、実は立華達に来ている話と同じ顧客のものだったという流れ。
 立華は藤崎さんと組んでおり、工兵はあろうことか、例のアルマダの次郎丸と組むことに(笑)。
 工兵にとって、これまでずっと一緒に仕事をしてきた立華が藤崎と組んで最強の敵となり、8巻で工兵が(キャラとして)一人前になったと感じさせた「ライバルの次郎丸」と組んで挑戦する。そういう構図になっています。だから今回次郎丸はパートナーかな。そして競合なので当然ながら、立華達の行動は殆んど見えません。
 というか工兵側はオールスターキャストですね雰囲気的に。それだけ立華と藤崎さんは強大であるわけです。

 実際に工兵達が動き始めてからのスピード感は物凄いです。まあ次郎丸のキャラのせいというのもありますが、次から次へと色んな展開が待っています。
 それにしても、立華達が工兵達の案を潰した手腕はえぐい。いやこう言いましたが悪どい手段を使ったというわけではないんですよね。彼等の間で公開されることになっているQ&Aから推測した提案内容の中から顧客がなんとなく嫌がりそうな点を見つけて、こういうのいいですかぁ〜?と聞いて、あそれなんかイヤかもという回答を引き出しちゃう。
 まあ他にも色々展開するんですが、立華さん。そんなカリカリにチューニングして、ファームに致命的なバグがあってアップデートしたらいきなり破綻、なんてないですか? ってまあないですよね立華さんなら。

 ちょっと順番は前後しますが、そんな猛スピードのある意味爽快な展開が、あるところでいきなりストップして急転回します。この辺りの物語作りは大したものですね。
 そこで、工兵と立華の対話があるわけです。p160辺りから。
 そして、このシリーズのテーマの本質に迫る話題が出てきます。
 そもそも、エンジニアとは?

 これまでこのシリーズの感想をずっと書いてきて、工兵がどんどん成長し、今回遂に経営者の視点にまで手を伸ばそうと言う展開を見ているわけですが、そんな中で実はちょっと懸念していたことがありました。
 もしや工兵は、このまま「昇進」してしまうのだろうか?

 この同じ作者さんの別シリーズでも実はエンジニアが活躍している部分があって、彼(彼等)は確かにエンジニアでありつつ「渡り合って」います。
 それと通ずるものがあるかも知れませんが、個人的に、マネージャとか経営者とかそういうのが「上」と位置づけられる価値観、いやさ世界観は、このシリーズには馴染まないと思っています。そういう能力も一つのスキルなのではないか。
 でもまあ、この巻での工兵の有り様を見るに、それは杞憂と言っていいんじゃないかと感じました。特に薬院さんに「エンジニアというより経営の人の考え方」と言われ動揺する様(p47辺り)とか、実は全く逆の意味だと思いますが、梅林に「ちょっと変ったか」と言われる様子(p152辺り)とか。
 工兵は多分、シリーズのタイトルが示す道を踏み外すことはないのではないでしょうか。

 ということが何となくわかったところで、多分工兵は本当の意味でそっちの方へ踏み出すことになるのでしょう。
 15巻最終章となる「インターミッション」では、トラウマ級の人物と再会することになります。
 あの戦慄の7巻ではその人が過去に残していった言葉が印象的です。
 彼女は藤崎さんに、こう言ったのだとか。

 どうすれば人を売る立場になれるんでしょうね――って。

 その貝塚さんが工兵の前に現れるということは、多分続く16巻で工兵はきっと、彼女の力を借りることになるのでしょう。
プロフィール

水響俊二

Author:水響俊二
水響 俊二 [MIZUKI Shunji]

暫定的に、18禁作品の感想などは裏サイトで書いています。
   

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